レジデントBOOKカタログ 2025
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●B5 ●1112頁 ● 定価10,450円 (本体9,500円+税10%)[ISBN 978―4―260―04936―8] 第1章abc*8 C 治療技術体系としての 整形外科の役割肩関節 B 検査 1 単純X線検査肩関節の単純X線検査は前後方向,scapular Y 2 超音波検査,MRI,CTD 疾病構造の変化と診断や治療技術の進歩A 骨の構造肩の診察・検査法―B. 検査●451鎖骨肩鎖関節鎖骨肩峰烏口突起肩峰上腕骨頭烏口突起上腕骨骨幹部大結節小結節上腕骨頭鎖骨関節窩上腕骨骨幹部肩甲骨体部図27-12 成人肩関節の正常X線像a.前後方向撮影像,b.scapular Y撮影像,c.軸射撮影像.関節窩肩峰図27-13 Stryker撮影Hill-Sachs損傷(矢印)が明瞭に描出される.三角筋棘上筋腱骨頭大結節*断裂部図27-14 腱板断裂の超音波画像棘上筋腱と大結節との連続性が断たれ(*),棘上筋腱の全層断裂と診断できる.撮影,軸射の3方向を基本とする(図27-12).疾患によっては,内外旋位での撮影や挙上位での撮影を追加する.特殊な撮影として手首の回りに重超音波検査は,外来で手軽に行えること,動的錘をつけて下方牽引負荷をかけ,骨頭の下方への観察ができること,患者への説明にも便利である動揺性を調べる下方負荷撮影,結節間溝の形態をこと,検査費用が安いこと,さらには高解像度の調べる結節間溝撮影,不安定肩におけるHill-機種が次々に開発されていることから,近年,整Sachs(ヒル-サックス)損傷をみるStryker(ストライカー)撮影(図27-13)などがある.形外科領域でも急速に普及した.超音波診断は特に体表近くに存在する腱板断裂(図27-14),石灰27 1 骨の形態 2 長管骨の構造 3 短骨の構造標準整形外科学 第15版2●序章 整形外科とは力を重視し,肢体の成長力を利用して形態を矯正し,運動機能を回復させる」という整形外科固有の治療原理が存在するからである.運動器疾患の治療においても,他の診療科と共通する一般的な治療方法を熟知することは当然である.しかし,どのような治療を行うにせよ「生体に備わっている治癒力と矯正力への介入と利用」という原理を忘れてはならない.骨折を例にとると,手術の基本は骨折片をきちんともとの位置に戻すことであるが,骨片が癒合するのは骨折部に存在する生体の組織修復力による.運動器の変形や機能異常に対する組織の矯正力や治癒力は,年齢や部位により異なる.骨折が変形を残して癒合した場合にも,小児ではかなりの程度は成長とともに矯正される.しかし,成人の骨折が変形治癒すると,その後の矯正は得られにくい.こ図1  Nicolas Andryの整形外科の木のように整形外科では,常に生体の修復力,自家矯正力を念頭に置いて状況に応じてその治療法を選択することが重要である.および消毒法の開発に伴い外科的手技が導入され,20世紀には手術が整形外科の重要な治療手段になった.わが国の大学に最初に整形外科学講座が開設されたのは1906年である.1926年には整形外科が診療科として独立した19世紀から日本外科学会から分かれて日本整形外科学会が設20世紀にかけては小児の先天性疾患や感染症,立された.当初118名だった会員数はその後著特に結核が不治の病として恐れられていた時代でしく増加し,2022年現在,会員数約26,000人のある.小児の先天性内反足や側弯症の保存療法や大きな学会になっている.結核,結核性脊椎炎(脊椎カリエス)に対する排膿やギプスベッド上の安静などの治療が主に行われてきた.各種抗菌薬の発見に伴い結核は激減し,その他の感染症も少なくなる一方,耐性菌による感染症が増えてきた.また,先天性疾患の1つである発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)は現代では臓器別診療が標準化され,それぞれが生後に脱臼を誘発する肢位をとらないようにするさらに細分化と専門化がなされているなかで整形教育により,発症頻度そのものが減ってきた.小外科診療もそのあり方が変化してきている.保存児の絶対数の減少も小児整形対象疾患の減少につ療法から始まった整形外科ではあるが外科的分野ながっている.一方で,高齢化が進み,わが国はの進歩と拡張は著しく,21世紀の整形外科はま世界に先駆けて超高齢社会になった.2022年9月さしく運動器外科となった.しかしながら,多種15日現在の高齢化率(人口推計による)は29.1%多様な外科的手技を駆使するにもかかわらず,整となり,国民の3人に1人は高齢者という社会形外科はいわゆる「臓器別外科」とは異なった側面が目前に迫っている.それに伴い,骨粗鬆症,脆を有する.その理由は運動器疾患に対する治療的弱性骨折,変形性関節症,脊柱管狭窄症など加齢介入には,Nicolas Andryが体系化した「自然治癒に伴い増加する疾患が急速に増えつつある.成長軟骨板関節軟骨骨端海綿骨骨幹端ヒト新生児には約350個の分離骨が存在するが,成長過程においていくつかの骨の癒合が生じ,成人では206個に減少する.これらは形態によっ骨幹海綿骨て,四肢を形作る長管[状]骨long bone,手根骨,足根骨などの短骨short bone,頭蓋骨,肩甲骨,腸骨などの扁平骨flat bone,その他の不定形の骨皮質骨irregular boneなどに分類される.発生学的な観点からは,結合織内(膜性)骨化intramem branous ossificationと軟骨内骨化endochondral ossifica-tionの区別が存在するが,これについては後述す成長軟骨板関節軟骨る(→→21頁参照).図1-1 長管骨の構造模式図四肢を形作る長管骨は軟骨内骨化によって形成で,骨幅が広がる部分を骨幹端とよび,骨幹端のされるが,支柱となる骨幹diaphysisと骨端骨髄bone marrowには海綿骨が豊富に含まれ,epiphysisの2つの部分に分けられ,それぞれ一次骨化中心primary ossification center,二次骨化外壁は薄い皮質骨で形成される(図1-1).成長期に骨端と骨幹端を境界する成長軟骨板は,成長終中心secondary ossification centerに由来する.了後には,板状に横走するプレート状の骨となる.骨端は長管骨の両端に存在し,硝子軟骨これを骨端板epiphyseal plate(またはepiphyseal hyaline cartilageである関節軟骨articular cartilagescar)という.(→→50頁参照)で覆われる.その支持機構として軟骨下骨subchon dral boneがあり,海綿骨cancellous boneの骨梁構造へ移行する.成長期の骨端は成長軟骨板growth plateにより,骨幹端短骨は皮質骨でできた外壁で囲まれ,内部に海metaphysisと明瞭に境界される.綿骨,骨髄腔を有する.通常近くの骨とともに可骨幹は長管骨の中央で皮質骨cortical boneに動関節(→→49頁参照)を形成し,関節表面は硝子軟囲まれた管状の部分であり,屈曲,圧などの外力骨で覆われる.に強靱な抵抗性を示す.骨幹から骨端への移行部運動器疾患の確かな知識が身につく。整形外科を学ぶ上での高評書、充実の改訂版。医学生の知を育てる教科書シリーズ。「標準」の名の通り体系的・網羅的に学ぶのに最適で、レジデントにもおすすめ。ここでは、ほかに参考書籍が少ない外科系・マイナー診療科のタイトルを中心にご紹介。  |  20 監修 井樋 栄二 / 津村 弘編集 田中 栄 / 髙木 理彰 / 松田 秀一運動器疾患を学ぶ人にとって、最適な1冊。豊富な写真やイラスト、丁寧な解説により、初学者が運動器疾患を易しく、かつ詳細に理解することができる。今版では関節リウマチや骨腫瘍など、最新の知見もさらに盛り込まれた。また代表的な身体検査や超音波検査(エコー)など、より学習を深めるための付録Web動画も収載。 目次や立ち読みはこちら>>骨の構造,生理,生化学sample標準整形外科学 第15版標準医学シリーズ

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