2023年度版[全15巻]新看護学
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か過尖せん足そくをまねくおそれがあるため。タックをつくることにより,足先の部分のシーツにゆとりができる。第1章 日常生活行動の援助技術J創傷の処置・ケア1創傷の処置・ケアとその目的1創傷とは▶防水シーツと横シーツを敷く⓾⓾ 防水シーツを敷く。防水シーツは,失禁のある患者では殿部の位置を中心に,手術後の患者では創のある部位の下を中心にといったように,必要な箇所に敷く。側面に垂れた防水シーツは,マットレスの下に入れ込む。     防水シーツは病床内の湿気を増す原因にもなる。必要な箇所だけに使用し,不要になれば取り除く。横シーツは防水シーツの上にかけて肌触りをよくするために使うので,防水シーツがいらない患者であれば,横シーツも取り除く。 防水シーツをおおうように,横シーツを敷く。横シーツも中心線に合わせ,余った部分をマットレスの下に入れ込む。POINTPOINT▶上シーツを掛ける 上シーツを掛ける。上シーツの表が下になるようにして,シーツを広げる。理由・根拠患者は下シーツと上シーツの間に臥床するため。患者に触れる面を表にして敷く。タック 上シーツに,タックをつくる。タックとは布のひだのことである。理由・根拠足もとにゆとりがないと患者の足先がのび,■ 患者の臥床時に足が来る位置で,シーツを頭側に1回折り返す。■ 折り返したら,上シーツを10 cm程度重なるようにして,再度足側に折り返す。 タックをつくったあと,足側のマットレスを看護師2人で持ち上げ,シーツでくるむ。 足もとのかどを四角に処理する。理由・根拠三角よりも四角のほうがシーツがゆるみやすく,足を自由に動かしやすいため。■ 下シーツと同様に,側面に垂れているシーツを,マットレスと直角になるように持ち上げる。■ マットレス側面のシーツを押さえずに,上の三角形の部分を垂らす。看護師の役割看護師の役割1214第2章 診療に伴う援助技術76第1章 日常生活行動の援助技術152第2章 診療に伴う援助技術しょうさっへん辺そう■ 清拭後は必ずバスタオルでおおい,皮膚に残った水分を取り除いておく。■ 各部位について■から■を繰り返す。POINTPOINT     特段の汚染がない場合,顔→首から耳の後ろ→上肢→胸部→腹部→下肢→背部から殿部→陰部の順で清拭する(別途,陰部洗浄を行う場合もある)。この順は,体位変換を最小限にでき,清潔度の高いところからふくという考え方に基づいている。しかし,排便後は陰部の保清から行うなど,患者の不快感の軽減に努める。顔と首から耳の後ろのふき方ab■ はじめにあたたかいタオルで鼻孔を除いた顔全体をおおうと気持ちよく,爽快感を得られる。     枕カバーなど周囲がぬれないように,タオルで枕をおおうとよい。POINTPOINT■ 目のまわりの皮膚をやさしくふく。理由・根拠理由・根拠       目のまわりの皮膚は薄いため。感染予防のため,汚染の状況に合わせてタオルの面をかえながらふく。■ 額から鼻にかけてと小鼻の周りをふく。     皮脂が多いため,入念にふくとよい。留意点留意点■ 首や耳介,耳の後ろをふく。留意点留意点     よごれがたまりやすい部位であるため,忘れずに清拭する。■ 清拭後,乾いたタオルで押しぶきをする。POINTPOINT     必要時,ひげそりや,耳垢・鼻垢の除去を行う(NOTE)。 創傷とは,いわゆる傷やけがのことであり,外部からの力によって,皮膚や粘膜などの身体組織が損傷を受けた状態のことである。鋭利な刃物などで生じる開放性の損傷を「創」,鈍器による打撲などで生じる非開放性の損傷傷・切創・裂を「傷創・褥瘡などとさまざまな種類がある。2創傷の処置・ケアにおける看護師の役割」といい,両者をあわせて創傷とよぶ。創傷には擦 看護師が手術創,褥瘡,糖尿病足病変などの創傷の処置・ケアに携わる機会は多い。創傷は,痛みなどの身体的苦痛を伴うだけでなく,心理・社会面にも影響を与える。たとえば,創傷による外観の変化は,患者の自尊心を低下させ,社会生活において他者との接触を控える行動につながることがある。 看護師には,損傷した組織の回復を促進し,患者のQOLを高める役割がある。創傷をよく観察して,正常な修復の過程をたどっているかどうかを評価し,創傷の種類や修復の段階に応じた局所的な処置・ケアを実施することが求められる。それとともに,栄養状態や循環などの患者の全身状態を把握し,創傷の治癒を妨げる因子を除去していくことが重要である。 創傷が形成されてから治るまでの過程を創傷治癒過程という。基本的なしくみは身体のほとんどの臓器や組織で共通しているが,ここではわかりやすい例として皮膚をとりあげる。 皮膚は表皮・真皮・皮下組織の3層からなる(68ページ,図1―24)。皮膚の表面をおおう表皮は,平べったい細胞が重なった重層■平上皮である。表皮の一番下の基底層にある細胞(基底細胞)が分裂することで,新しい上皮がつくられる。■再生治癒と瘢痕治癒 真皮の浅い層までの欠損の場合,皮膚は損傷前とかわらない状態に回復すえんる。これを再生治癒という(図2―38―a)。創縁(創傷周囲の表皮)と毛包に▶経鼻栄養チューブが胃へ挿入されたことは,複数の方法で確認する。カテーテルチップシリンジで空気を送り込み,〔④    〕を確認する方法のほかに,医師の指示により〔⑤    〕写真撮影を行う方法などがある。▶胃瘻から栄養剤を注入し,栄養セットを取り外したら,カテーテルチップシリンジを用いて〔⑥     〕を20〜30 mL注入する。顔の整容ひげそり:安全かみそりや電気シェーバーを使用する方法がある。患者がふだん行っている方法を確認し,適宜皮膚保護剤などを使用するとよい。蒸しタオルを使用してひげをやわらかくしたり,皮膚を引っぱるようにするとそりやすい。患者は健康時よりも皮膚が傷つきやすくなっている可能性があるので,逆ぞりをしないなど,皮膚を傷つけないような配慮が必要である。耳垢・鼻垢の除去:先端のやわらかい綿棒などを使用する。奥のほうまで無理にとろうとせず,数回に分けて行う。11〔 〕内の正しい語に丸をつけなさい。①静脈栄養法の特徴は,〔小腸粘膜の萎縮を防ぐことができる・栄養剤の取り扱いに無菌操作が必要になる〕ことである。②経鼻栄養チューブを挿入するとき,患者の頸部は軽く〔前屈・後屈〕させる。22次の文章の空欄を埋めなさい。▶経鼻栄養チューブの挿入の長さを決める際は,図aのように〔①    〕から〔②    〕までの長さをはかり,図bのように〔②〕から〔③    〕までの長さに印をつけて目安とする。2創傷の基礎知識1創傷治癒過程21環境調整の援助創傷の処置・ケア清潔の援助学生の理解を助けるため、看護技術の解説には大きな写真を多用しています根拠や関連する知識の説明をアイコンで明示し、看護技術を実施するための要点をまとめました各節末の「復習問題」を拡充しています

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