遇D寧か益原月牛1看護職の責務患者が考える目標専門職としての目標共有する問題を認識して相互作用かかわり24患者サービスの患者は自分でできることはする受け手看護者患者ができないことをたすけるサービスの提供者図1―4 患者―看護者関係と援助の方向130倫理の原則に基づいた思考援助の説明と同意患者へ害を与えないプライバシーの保護図5―3 看護の場における倫理的な思考と行動図8―11 養生訓(貝原益軒著)図8―12 病家須知(平野重誠著)はぐくねいあんとう当えきけんかいばらじゅうせいそうぐうつきざんぎゅう第1章 看護とは第5章 看護と倫理行動患者の身体をふこうとする・・・説明をして同意を得る・・・ふき方を検討する・・・カーテンを閉め,露出を防ぐ身体をふきはじめるC.わが国における仏教と看護231(資料提供:内藤記念くすり博物館)(資料提供:内藤記念くすり博物館)』(図8―11)や香患者自身でほとんど行う患者の自立に向かって両者の目標を近づけ一致させる見まもるD.看護研究187問われる。患者を人間として尊重し,患者に共感する能力や看護者自身の感性を養うため,自分の行動をふり返りながら看護を行う姿勢が求められるのである。苦痛や不安の多い患者と良好な人間関係をつくることは容易ではないが,試行錯誤をしながら誠実にかかわることによって可能になるだろう。 患者─看護者関係においては,一般の人間関係と同様に,互いがひとりの人間として対等の立場にたつことが前提になる。専門的サービスという観点からいえば,看護者はサービスの提供者であり,患者はサービスの受け手であることが特徴的である。 看護者は専門的な知識と技術を使って看護の目標を目ざすが,一方的なはたらきかけのみでは患者に受け入れられず,相互作用は生まれない。その人の考え方や価値観を理解することによって,はじめてその人の看護目標を達成することができる(図1―4)。最終的には,相互の信頼関係が生まれ,患者が自立できることを目ざしたかかわりが,患者にとっては「援助」となるのである。●インフォームドコンセント インフォームドコンセントinformed consentとは,患者が治療や看護について医療従事者から十分な説明を受け,内容に同意し,自分で治療を選択することである。しかし,患者は医師から説明を受けても十分に理解できていなかったり,あるいは理解できても自分で治療を選択するとなると,悩み,迷い,苦しむことがしばしばある。 このようなときに看護者は患者の悩みを聞き,説明を補足し,苦しみを分かち合い勇気づけることによって人間関係をつくり,最終的に患者が自分で選択できるように支える役割をもっている。インフォームドコンセントにおいても,患者─看護者関係が大切な要素である。 看護の場におけるインフォームドコンセントは,倫理的な側面からも重要な考え方である。詳細は第5章「看護と倫理」(127ページ)で学ぶ。 医療チームの一員として,准看護師がその役割を十分に果たすためには,看護に関するさまざまな研究の動向に注目し,その成果を看護の実践のなかに有効に取り入れて,よりよい看護が提供できるように努力していかなければならない。1看護研究の意義 人間は長い歴史のなかで生命をまもり,育みながら生活してきた。出産・育児・病・老い,そして死に直面するなかで,さまざまな状況を観察しのために獲得した経つつ知恵を出し合い,工夫して,みずからの安全や安験値を次の世代に引き継いできた。それらは,今日の看護のありように大きな影響を与えるとともに,現在の看護をかたちづくってきたといえよう。 しかし,よりよい看護の技術が提供できるようになるため,また看護がその専門性を高めるためには,看護について研究することが不可欠である。経験的・伝統的に行われてきた看護は,研究によってその良否や根拠が確認されて,はじめて科学的な看護となりうるのである。また,患者や医療チームだ性を理解してもらうのメンバーに,看護の必要性や選択した看護行為の妥ためには,事実を示しながら科学的・論理的に説明することが必要であり,そのためにも看護研究の意義は大きい。 看護は,つねに変化する社会や,医学・科学技術の発達と密接に結びついて発達してきた。また,心理学や社会学・家政学・教育学などの分野との関係も深い。いまや看護の枠のなかだけで考えるのではなく,他分野の知識や学問的業績を導入し,活用する学際的な研究が必要とされている。 看護研究とは,看護学および看護管理・看護学教育などに関するすべての研究をいう。研究とは,ものごと(事象)のなりたち(道理)を調べ,その本質をとらえ真理をきわめること,つまり現象のなかに新たな解釈や法則性を見いだすことである。 看護者であれば,誰もが目の前にいる人(患者)の不安や苦痛を少しでも軽減し,安心して自分の生き方をまっとうしてほしいと願うであろう。そしてそのために,より適切で有効な看護の実践を目ざしている。看護は実践されてはじめて看護となりうるので,このような看護の本質的な意味を考えると,看護研究の目的の1つは,臨床における看護ケアの改善であり向上であるといえる。 このような意味において,すべての看護者はなんらかの意味で研究的視点原則に基づいた思考や行動をとっている。 また,看護師は,医療や看護の場面において,しばしば解決が困難な問題に出くわし,悩むことがある。それは,「よいことか,わるいことか」や「正しいことか,間違っていることか」というような,倫理的な要素を含んでいる問題であることが多い。 たとえば,認知症のために大声を出して,同室者から苦情が出ている患者がいたとしよう。このとき,看護師の対応の例として,以下のものがあげられる。(1) 「認知症のために大声を出すのはしかたがないので,がまんしてもらえませんか」と同室者に説明する。(2) 認知症の患者,もしくは苦情を言っている患者をほかの部屋へ移動させる。(3) 認知症の患者が大声を出す理由を考えて,大声を出さなくなるように対処する。全身麻酔による乳がんの手術に成功している。 また,養生書も多く出され,庶民にも衛生に関する知識が得られるように山なった。儒学者貝の『老人養やしない草ぐさ』などが代表的なものである。看護書としては,江戸の町医』(全8冊)があり(者であった平野重図8―12),この時代にあっては高い水準の看護書として評価されている。 産婆は江戸時代になると純然たる職業となって発達してきたが,多くは未亡人や身寄りのない老婆が,生活のためにやむをえず職業としているといった状態であった(図8―13)。江戸時代中期には職業的な看病人も出現してきた。1722年に貧しい人々のための医療施設として,江戸の小石川薬園内に設けられた小石川養生所では,開設当初から男女の看病人が雇われていた。(1630~1714)の『養よう生じょう訓くん軒(元良)があらわした『病びょう家か須す知ち誠■基本的人権と個人の尊重 「日本国憲法」には,国民の基本的人権の尊重(第11条)と個人の尊重(第13条),法のもとの平等と差別を受けないこと(第14条),生存権(第25条)が定められている。また,「医療法」にも,生命の尊重と個人の尊厳の保持したときに,なにを根拠に自分のすべ このような問題(倫理的問題)に遭きこと(援助)を判断すればよいのか,そして自分の判断は倫理的に正しいのかという問いに答えるために,倫理について学ぶ必要がある。看護研究2看護研究の目的と倫理看護研究の目的看護研究の目的17イラストや写真を多用し、概念や理論をスムーズに理解できるよう工夫をこらしました
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