▲ 超音波検査は,非侵襲的で手軽に実施できることにより,ベッドサイドでも頻繁に行われる。助産師による超音波検査として胎児観察や分娩時の活用は周知であるが,看護師による超音波検査も活用範囲が広がっている。 看護師による超音波検査としては,残尿測定,褥じょく瘡そう部の深度アセスメントが以前から行われている。それに加え,最近では血液透析におけるバスキュラーアクセス管理でも活用されている。バスキュラーアクセス管理では,もとNNSNSS b.8区域分類(クイノーCouinaudの分類)向に倒れ横方向の磁化(横磁化)を生じる。90■,すなわち真横に倒れるようなラジオ波は90■パルス,180■,すなわち正反対方向まで倒れるようなラジオ波は180■パルスとよばれる。横磁化が発生することにより電流が生じ,外部におかれたアンテナに信号として受信可能となる(▲図4-5-③)。 看護師の役割は,有害反応などに伴う苦痛を予防・軽減しながら患者が治療を完遂できるよう支援することである。放射線治療は,治療目的を達成するために必要な放射線量を分割して照射するため,治療の「完遂」が重要なポイントになる。 前述のように,患者がかかえる苦痛は身体面だけに限られない全人的なものであり(▲図9-2),身近な家族がかかえる負担も大きい。そのような患者や家族を支援するためには,看護師自身も放射線治療の基本的な知識を習得し,個々の治療計画や流れを理解したうえで,時宜を得たケアを提供する必要がある。 また放射線治療は外来で実施されることも多いため,患者や家族のセルフケア能力を高め,主体的に必要な対処を行ってもらえるようかかわる必要がある。ている。それぞれの型で超音波所見は異なるが,典型的な肝細胞がんの所見は,一般に低エコーレベルで(脂肪変性を伴うときは高エコーレベル),腫瘍内部にさまざまなエコーの小結節がランダムに配列したモザイクパターンがみとめられるのが特徴である(▲図5-26)。また,腫瘍の辺縁に低エコー帯(halo)をみとめ,ハンプサインhump signとよばれる腫瘤による肝臓表面の膨隆を示す。を画像にしたT1強調像T1-weighted image(T1WI),横緩和(T2)の速度による信号強度の差を画像にしたT2強調像(T2WI)が基本となる。得られた画像からT1およびT2強調像を判別するには,水(脳脊髄液や腸液など)が低信号(黒い)を示すのがT1強調像,高信号(白い)を示すのがT2強調像と理解するとよい(▲図4-7)。 なお,後述のMRI造影剤(ガドリニウム製剤)は,縦緩和に影響を与えるこS8S2S4S3S5S4S5S3S6S7S1S2(90°パルス)S7S6(total pain)(total pain)モニター各領域から出された信号に位置情報を与えることにより,MRI画像ができあがる。*傾斜磁場:撮像範囲,スライスの厚さを決定するために使用する。▼図4-6 MRI装置の概略(模式図)緩和速度の差信号強度の差D.超音波診断門脈右肝静脈c.探触子のあて方(右肋弓下走査)肝臓の内部エコーはびまん性に上昇し,深部減衰がみとめられる。高度な脂肪肝である。肝臓に境界明瞭な円形の無エコー腫瘤がみとめられる。▼図5-24 脂肪肝の超音波像▼図5-25 肝囊胞の超音波像スピリチュアルペイン死への恐怖自責や後悔 など看護師の行う超音波検査T1強調像(a)では,脳脊髄液(*)や眼球(硝子体)(→)の水は低信号を示し黒く表示されるが,T2強調像(b)ではこれらの組織は非常に高信号に(白く)描出される。眼窩内や皮下の脂肪組織はT1およびT2強調像ともに高信号を示す(→)。8311382第4章 MRIプロトン回転軸縦磁化歳差運動②静磁場の中に入ると,バラバラな各プロトンの回転軸が静磁場の方向にそろって並び,縦磁化が生じる。さらに静磁場の方向を軸として,コマのような回転運動(歳差運動)を行う。①プロトンの回転軸はさまざまな方向に向いており,まとまった信号としてとらえられない。位相の一致ラジオ波横磁化電流の発生③同じ周波数のラジオ波を与えると,原子核がこのエネルギーを吸収し励起状態となる(共鳴現象)。このときプロトンの磁化は,回転数と方向がそろう(位相の一致)とともに,横方向に倒れ横磁化を生じる。④ラジオ波を切ると,磁化はもとの安定状態に向かって,位相はバラバラとなり縦磁化方向に戻ろうとする。この過程が緩和とよばれる。緩和速度は,身体の各臓器や組織により異なるが,これらの違いが信号強度の差となる。▼図4-5 MRIの基本的原理緩和▲ ラジオ波を切ったあと,磁化はもとの安定状態に向かって,位相は再びバラバラになるとともに,静磁場の方向(縦磁化方向)に戻ろうとする。この過程が緩和relaxationとよばれ,縦磁化方向が縦緩和(T1),横磁化方向が横緩和(T2)となる。これらの緩和速度は,身体の各臓器や組織により異なるが,これらの違いが信号強度の差となる(▲図4-5-④)。こうして各領域から出された信号に位置情報を与えることによりMRI画像ができあがる(▲図4-6)。T1強調像・T2強調像▲ MRIで用いられるさまざまな撮像法はパルスシークエンス(シークエンス)とよばれ,一般的には,各組織間での縦緩和(T1)の速度による信号強度の差a.肝臓の正常超音波像▼図5-23 肝臓の正常超音波像肝細胞がん▲ 肝細胞がんは,肉眼的には,結節型・塊状型・びまん型の3型に分けられ214第9章 放射線治療と看護職種間の連携▲ 放射線治療にはさまざまな職種がかかわる。具体的には,主治医,放射線治療医,放射線治療専門放射線技師,医学物理士,歯科医,栄養士,そして看護師などである(▲図9-3)。患者や家族がチーム医療の中心になれるように,看護師がこれらの専門家とかかわることが重要である。そのために看護師は,多職種間のコミュニケーションを促進するためのカンファレンスの運営や,有効身体的苦痛放射線治療や併用療法に伴う有害反応■痛,■怠感や粘膜炎・皮膚炎 など心理的苦痛疾患・治療に対する不安被曝への恐怖焦燥・■藤・抑うつ など全人的苦痛全人的苦痛社会的苦痛社会・家族における役割遂行の困難経済的負担 など▼図9-2 放射線治療を受ける患者の全人的苦痛B.MRI画像のなりたち磁石傾斜磁場*コイルラジオ波照射コイルラジオ波受信コイル位置情報コンピュータ**a.T1強調像b.T2強調像▼図4-7 T1およびT2強調像(眼窩横断面)119C.超音波検査の実際検査前▲ 検査前の準備は,超音波検査を実施する部位により異なる。正確な検査結果を得るために,検査前準備を確実に行うことが必要である。認知機能の低下がある患者には,そのつど説明を行い,家族や介護者の協力を得て安全で正確な検査が実施できるようにする。 甲状腺・乳腺・心臓・頸動脈・下肢動静脈の検査の場合には食事制限,飲水制限,排尿制限はない。肝臓・胆囊・膵臓・脾臓・腎臓などの腹部の検査の場合には,排尿制限はないが,食事制限,飲水制限がある。検査が午前中の場合には朝食を絶食とする。飲水は,検査の2~3時間前までに制限する場合や少量であれば許可する場合がある。乳製品やジュースなどの摂取は,胆囊が収縮し正確な検査結果が得られない可能性があるため禁止とする。また,膀胱・腟・子宮・卵巣・精巣などの検査は膀胱内に尿がたまっているほうが見やすいため,可能な範囲で排尿を制限し,膀胱内に尿をためる。 造影剤を使用する場合には,事前に造影剤の副作用の有無について問診しておく。検査中▲ 検査は肌を露出し,プローブを密着させて行う。そのため,不必要な露出を避け,検査部位以外はバスタオルなどでおおい羞しゅう恥ち心の軽減に努める。とくに産婦人科での経腟超音波検査は羞恥心を伴うため,バスタオルやカーテンでプライバシーの保護を十分に行う。 また,プローブと肌の密着度を上げるために,検査部位の皮膚表面にゼリーをつけて検査する。事前にゼリーをつけることを説明する。 心臓など検査部位によっては体位変換が必要になるため,必要時には体位変換の介助を行い,患者が安楽であるようにかつ検査がスムーズに進むようにする。 造影剤を使用している場合には,急性(即時性)副作用の症状として蕁じん麻ま疹しん,瘙そう痒よう感,吐きけ・軽度の嘔吐などがあらわれていないか注意する。検査後▲ 検査が終了したら,肌に付着したゼリーをきれいにふきとる。ふき残しがあると不快感の原因になる。検査のために露出した部位を衣服でおおい,身だしなみを整える介助をする。 検査結果は,病気の診断や治療方針の決定などに用いられるため,医師からの説明の際には看護師も同席し,患者の理解度や反応を確認する。サンプルページ 臨床放射線医学133 3 MRIの撮像法(パルスシークエンス) 1 チーム医療としての看護 B 放射線治療における看護師の役割 2 超音波検査を受ける患者の看護 各検査の正常像、代表的疾患の画像を豊富に掲載。カラーのイラストで検査の原理・しくみもわかりやすく解説。コラムも充実しました。放射線医学における看護の理解が深まります。
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