2023年版_系統看護学講座_全70巻
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動画動画 C チューブ類の事故防止 1 チューブ類の予定外抜去防止 1 チューブ類の予定外抜去防止の基礎知識 チューブ類留置中の予定外抜去とは,本来は留置しておく必要のあるチューブ類が抜去されてしまうことである。予定外抜去は,事故発生による患者への影響が大きく,場合によっては生命に危険を及ぼす可能性があるため,適切な方法で予防することが重要である。b.マンシェットの巻き方a.マンシェットの位置NOTENOTEMOVIE ◆衛生的手洗い ●衛生的手洗いを行う状況 衛生的手洗いは,患者に触れる前など,行うべき状況があり,正しいタイミングで行う必要がある(表2︲2)。 ●衛生的手洗いの方法 目に見える汚染の有無によって方法を検討する。手が血液や排泄物などの有機物で汚染されている場合,そのままでは消毒薬の効果が減少するため,物理的に汚染を流すことが必要である。(World Health Organization: WHO guidelines on hand hygiene in health care. 2009より作成)42 ●聴診法による血圧測定の原理 非観血的測定では,まずマンシェットを用いて動脈を周囲の組織ごと圧迫して駆血する。そこから徐々に圧迫を解除していき,マンシェットによる圧迫による圧力が動脈内圧と同じになったところで血流が生じ,その際に発生する音(コロトコフ音)を聴診器で聞きとる。徐々に圧迫を弱めていくと音色が変化するが,この変化する点をスワンの点という(図4︲15)。さらに圧迫を弱めていくと,音が消失する。音が聞こえはじめたときの圧力が収縮期血圧(スワンの第1点)であり,音が消失したときの圧力が拡張期血圧(スワンの第5点)である。収縮期血圧拡張期血圧①目に見える汚染がある場合 ①流水と石けんで手洗いする(図2︲2)。よごれの残りやすいところを意識して洗うようにする。そののち,擦式消毒用アルコール製剤で手指消毒を行う(図2︲3)。または,②流水と抗菌性石けんを用いて手洗いを行う。②目に見える汚染がない場合 擦式消毒用アルコール製剤を用いて手指を消毒する❶。 ●擦式消毒用アルコール製剤での衛生的手洗い 流水と石けんによる手洗いを有効とする研究の多くは,30~60秒間の手洗いの評価に基づいている。それに対し,実際の医療関係者の手洗いは7~10秒程度である。したがって,簡便に使用できる擦式消毒用アルコール製剤を優先的に用いることで,手指衛生の遵守率が高められる。んによる手洗い汚れが残りやすいところを意識して洗うことが重要である。③触診法 聴診法と同様に動脈内の血流をいったん遮断し,圧迫解除の瞬間から脈拍が触知できるようになるのを利用して,収縮期血圧のみを求める方法である。 医療用として用いられる血圧計は,圧力計,マンシェット(ゴム囊が内蔵された圧迫帯),送気ポンプ(ゴム球)が連結された構造になっている。 マンシェットの幅は,測定部位の周囲長の40%程度が適切であるとされ,成人の上腕での測定では14 cm幅のものが用いられる。小児やるい痩そうの激しい高齢者では上腕周囲長が短いため,マンシェットの幅が狭いものを選択する。根拠とポイント マンシェットの幅が広いと弱い圧迫で動脈を圧迫(駆血)してしまうために収縮期血圧が本来の値より低く測定され,逆に狭いとより高い圧力が必要となるために本来の値より高く測定される。アネロイド型血圧計による測定方法B.標準予防策(スタンダードプリコーション)❶アルコールに耐性をもつ病原体(ノロウイルス,クロストリジウム-ディフィシレなど)に接触した場合は,必ず流水と石けんによる手洗いを行い,物理的に洗い流すようにする。表2-2 世界保健機関(WHO)による衛生的手洗いを行うべき状況①患者に触れる前②清潔操作または無菌操作の前③体液に曝露された危険のある場合④患者に触れたあと⑤患者周辺の環境・物品に触れたあと①手掌を洗う。②指を交差させて指間を洗う。③手背・手の側面を洗う。図2-2 流水および石け④指先を洗う。⑤ねじるように,母指のつけ 根を洗う。⑥手関節を洗う。動画第4章 ヘルスアセスメント170第4章 ヘルスアセスメント❶水銀レス血圧計 2013年に締結された「水銀に関する水俣条約」(水銀を使った計測機器の製造,輸入,輸出の原則禁止をうたっている)の趣旨に合わせ,WHOは「2020年までに『水銀を使わない医療』の確立を目ざす」という指針を発表している。そのため,従来用いられた水銀血圧計は製造・輸出入が禁止となっている。圧力スワンの点第1点第Ⅰ相トントンと澄んだ軽くノックする清音,しだいに大きな音となる第2点第Ⅱ相ザーザーという感じの雑音第3点第Ⅲ相音が澄んで大きく,ドンドンと太鼓のような性質の音第4点第5点図4-15 コロトコフ音の変化第Ⅳ相ファッファッと濁音で急に小さくなるC.チューブ類の事故防止99b.流量間違いの防止C.全体の概観43b.マンシェットの巻き方動画a.患者誤認防止携帯情報端末でのバーコードの照合を行う。図3-5 輸液の実施段階での事故防止法指を差し,声を出して確認する。ポイント 確認は,できる限り2人以上でダブルチェックを行う。a.マンシェットの位置上腕動脈の走行とゴム囊の中心を合わせる。上腕動脈の走行とゴム囊の中心を合わせる。マンシェットを腕に密着するように押さえながら,ゴム囊の位置がずれないように巻く。マンシェットを腕に密着するように押さえながら,ゴム囊の位置がずれないように巻く。c.マンシェットを巻くかたさc.マンシェットを巻くかたさ図4-16 マンシェットの巻き方マンシェットと腕の間に指が1~2本入る程度のかたさに巻く。マンシェットと腕の間に指が1~2本入る程度のかたさに巻く。▶図4-16 マンシェットの巻き方(1)ゴム球,マンシェット,圧力計がしっかりつながっているかを確認する。(2)マンシェットに空気を入れ,もれがないことを確認する。ゴムに亀裂な(3)聴診器を確認する(膜型を用いる)。(4)ゴム囊の空気を完全に抜く。空気が入ったまま測定すると,得られる値(2) 測定の高さ(マンシェット装着部位)が心臓の高さになるように体位を調整し,血圧計を安定した位置に置く。測定部位が心臓より低いと実際の値よりも高い測定値となり,心臓より高いと実際の値よりも低い測定値となる。根拠とポイント 血液には重力による影響を受けて静せい水すい圧がはたらくため,血圧は心臓より高い部位では低く,低い部位では高くなる。(3) 上腕に圧迫がかからないように上腕を露出する。(4) 以下の点に注意し,マンシェットを適切に巻く(▶図4-16)。  ゴム囊の空気が抜けていることを確認する。  動脈を均等に圧迫するため,上腕動脈の走行とゴム囊の中心を合わせる。   マンシェットと腕の間に指が1~2本入る程度のかたさで巻く。 ●触診法 初診などで参考値がない場合や血圧の変動が激しい場合は,まず触診法によっておおよその値を得たあとに,聴診法で測定する。(1)患者に説明をする。最初におおまかな値を確認したあと聴診法を行うた(2)測定の高さ(マンシェット装着部位)が心臓の高さになるように体位を調整し,血圧計を安定した位置に置く。測定部位が心臓より低いと実際の値よりも高い測定値となり,心臓より高いと実際の値よりも低い測定値となる。根拠とポイント 血液には重力による影響を受けて静せい水すい圧がはたらくため,血圧は心臓より高い部位では低く,低い部位では高くなる。根拠とポイント 巻き方がゆるいと,駆血の際にゴム囊が通常よりも丸くふくらんで圧迫面積が小さくなり,大きな圧力を必要とするため,実際の値よりも高い測定値となる。逆にきつく巻きすぎると,低い測定値となる。初校したときに心臓の拍動に合わせて生じる断続的な血流の音をとらえる方法である。聴診法では,水銀レス血圧計❶やアネロイド型血圧計(図4︲14︲b~e)を用いる。 ここでは,アネロイド型血圧計を用いた測定方法について述べる。 ●準備 必要物品の準備と点検は準備室にて行う。初校テムでは,看護師が携帯情報端末を用いて,患者識別バンドのバーコードと,輸液のラベルについたバーコードを照合することで,投与する輸液がその患者に処方されたものであることを確認できる(図3︲5︲a)。 ●操作間違いの防止 輸液ポンプやシリンジポンプを使用する際に,たとえば,1時間10 mLで設定するべきところを100 mLと誤って設定してしまうことがある。このような操作間違いや操作忘れを防ぐために,指を差して,声を出して確認する。(図3︲5︲b)。 経管栄養のための経鼻栄養チューブや輸液のための静脈ライン,気管内チューブや膀胱内留置カテーテル,ドレーン類などの挿入や留置は,侵襲の大きな処置である。留置中のチューブ類に関連する事故には,予定外抜去や,閉塞,外れ・抜けなどがある。また,薬剤注入時には,接続間違いによる誤注入などの事故がおこりうる。どがあると,空気がもれて正確な測定が行えない。に影響を及ぼす(収縮期血圧が低く測定される)。め,合計2回加圧することを伝える。   マンシェットの下端の位置が肘窩より2 cm程度上側になるようにする。初校初校サンプルページ基礎看護学 ❷ 基礎看護技術Ⅰ11コミュニケーションの動画を掲載しています。また、教授用資料として、「してはいけない」 コミュニケーションの動画もご用意しています。水銀レス血圧計の動画を掲載しています。実習前に必ず身につける必要のある、感染予防と医療安全について、ビジュアルに解説しています。アセスメント技術について、豊富な写真・動画をまじえて解説し、「根拠」「ポイント」も多数示しています。

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