系統看護学講座
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サンプルページ人体の構造と機能 ❶ 解剖生理学頸椎鎖骨上肢上肢帯下肢帯下肢肩甲骨胸骨胸郭上腕骨上腕前腕手肋骨腰椎胸椎脊柱体幹体肢寛骨腸骨坐骨恥骨仙骨尾骨橈骨尺骨手根骨中手骨指骨大腿骨大腿下腿足膝蓋骨脛骨腓骨足根骨中足骨趾骨頭蓋(神経頭蓋)(内臓頭蓋)図7-1 全身の骨格(前面)4第7章 身体の支持と運動初校た外界と血漿の間で水分の出し入れが行われるが,おもに消化管で水分が取り入れられ,尿や汗,呼気などとして水分が排出される。 ●電解質と非電解質 体液にはさまざまな物質がとけており,それは電解質と非電解質に分けられる(●ページ)。(1)電解質:ナトリウムイオン(Na+),カリウムイオン(K+),カルシウムイオン(Ca2+),マグネシウムイオン(Mg2+),塩素イオン(塩化物イオン,Cl-),重炭酸イオン(炭酸水素イオン,HCO3-),リン酸水素イオン(HPO42-)など。正(+)の電荷をもつものを陽イオン,負(-)の電荷をもつものを陰イオンとよぶ。タンパク質も電荷をもち,イオンとなっているものもある。(2)非電解質:グルコース,尿素,クレアチニンなど。 イオンは,体液の浸透圧(●ページ)やpHを調節し,また神経細胞や筋細胞が機能するために重要な機能を果たしている。 細胞内液と細胞外液とでは,その組成に大きな違いがある。血漿の主要なタンパク質タンパク質有機酸固形成分40%水分(体液)60%細胞内液40%間質液15%消化管腎臓皮膚血漿5%細胞外液20%タンパク質0255075100125150175200(mEq/L)K+K+K+Cl-Cl-Cl-SO42-SO42-HPO42-SO42-HPO42-Na+Na+HCO3-HCO3-Mg2+Mg2+Ca2+Mg2+Ca2+HPO42-HCO3-有機酸Na+全体重H・HCO3H・HCO3H・HCO3血漿細胞内液間質液血漿図1-24 体液の区分とその組成体液は,細胞内液と,細胞外液である間質液と血漿に分けられる。図中の は,体液の移動が可能な向きを示している。34第1章 解剖生理学のための基礎知識初校 1 体表から触知できる骨格部分 骨格は身体の支柱となる構造で,多数の骨が連結してできている。体表から触知できる骨格部分は,人体の部位を知るためのよい目印になる。 1 頭頸部で触知できる骨格部分(図11-1-a) ◆顔面の骨格 頭部では,頭とう蓋がい冠かんをつくる前頭骨・頭頂骨・後頭骨を広く触れることができる。顔面では以下の部分がとくによく触れる。・ 頰きょう骨こつ弓きゅうはこめかみの下で耳の前に触れ,頰骨と側頭骨をつなぐ。・ 乳にゅう様よう突とっ起き(側頭骨の一部)は,耳の後下で丸く下方に突き出る突起である。・ 外がい後こう頭とう隆りゅう起き(後頭骨の一部)は,後頭部の中央に軽く突き出る骨部分である。・ 眼がん窩かは眼球を収める大きなくぼみで,上縁を前頭骨が,外側縁~下縁中央を頰骨が,内側縁~下縁中央を上じょう顎がく骨がつくっている。眼窩の下外側あたりには頰骨が高まりをつくっている。・ 外がい鼻びの上部は鼻骨からできていて固いが,外鼻の下部は軟骨(●ページ)からできていて弾力性がある。・ 下か顎がく骨は,オトガイから下顎の下縁に沿って広く触れる。耳の下方には下顎角が軽く突き出ている。上顎骨と下顎骨には歯がはえていて,上唇・下唇におおわれている。 ◆頸部の骨格 頸部前面では次の部分に触れる。舌ぜっ骨こつは頸の最上部に触れる。甲こう状じょう軟なん骨こつ前頭骨側頭筋咬筋眼窩胸鎖乳突筋上顎骨下顎骨オトガイ舌骨甲状軟骨胸骨柄鎖骨頸切痕頰骨弓b.触知できる筋a.触知できる骨図11-1 体表から触知できる骨・筋(頭頸部)2第11章 体表からみた人体の構造初校(喉頭の一部)は頸の中央に触れ,成人男性の場合には突き出して「のどぼとけ」をつくる。頸けい切せっ痕こん(胸骨柄の一部)は頸の下端で胸鎖乳突筋の間に触れる。 2 体幹上部で触知できる骨格部分(図11-2) 体幹上部の前面では,鎖さ骨が頸部と胸部の境目で横方向に走っている。 ◆胸郭の部分 胸部の前面から側面にかけては,胸郭の以下の部分に触れることができる。・ 胸骨は胸部の前面に触れる。胸骨角は胸骨の上部に軽く突き出ており,ここに第2肋軟骨が関節をつくり,その高さは第4・第5胸椎間にほぼ一致する。胸骨の下端には剣状突起が突き出ている。・ 肋ろっ骨こつは胸部の外側部に広く触れ,胸骨に近い部分は軟骨からできている。・ 肋骨弓は胸郭の下縁で,中央から左右に向かって低くなっており,第7~第10肋軟骨からできている。第11・第12肋骨は先端が遊離しており,腸骨稜前頭骨下顎骨胸骨角大胸筋三角筋上腕二頭筋外腹斜筋腹直筋縫工筋大腿四頭筋腱画胸骨小結節大結節剣状突起肋骨外側上顆腸骨稜膝蓋骨外側上顆腓骨頭脛骨の外側顆脛骨の内側顆内側上顆内果外果脛骨(内側面)※1 橈骨の茎状突起※2 尺骨の茎状突起※3 豆状骨内側上顆肋骨弓鎖骨恥骨結節※1※2※3僧帽筋三角筋広背筋上腕三頭筋大殿筋中殿筋大腿二頭筋下腿三頭筋(腓腹筋とヒラメ筋)半腱様筋半膜様筋踵骨腱(アキレス腱)頭頂骨乳様突起後頭骨肋骨肘頭橈骨頭尺骨体中手骨仙骨指骨棘突起肩甲棘内側縁肩甲骨 肩峰下顎骨坐骨結節大転子大腿骨外側上顆内側上顆内果外果腓骨頭脛骨の外側顆踵骨腸骨稜寛骨a.前面b.背面図11-2 体表から触知できる骨・筋3 初校正確で詳細な解説と豊富な図版によって解剖・生理の理解を深めることができます。59 本文で示したように,身体のさまざまな部位で動脈の脈拍を触知することができるが,それぞれの部位で脈拍を触知できる血圧は異なる。たとえば,上記であげたなかで心臓からもっとも遠い足背動脈の脈拍は,最高血圧が100 mmHg以上ないと触知できない。同様に,橈骨動脈では80 mmHg以上,大腿動脈では60 mmHg以上,総頸動脈では40 mmHg以上ないと脈拍を触知できない。 したがって,心拍動の有無(心臓が動いているか・とまっているか)を橈骨動脈の脈拍の有無によって判断することはできない。必ず左前胸部に手をあてて,心尖拍動の有無を確認すべきである。 また,血圧計が手もとになくても,どの部位で脈拍を触知でき,どの部位で触知できないかによって,おおよその最高血圧を見当づけることもできる。臨床との関連脈拍の触知と血圧臨床での実践につながるコラムを掲載。解剖生理学『系統看護学講座』準拠2022年版坂井建雄・岡田隆夫・宇賀貴紀 編■ 『解剖生理学 ワークブック』表紙デザイン 2020.7.20A-1本書に準拠した2022年版『系統看護学講座』準拠解剖生理学ワークブックも発行予定。73専門基礎分野

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