系統看護学講座
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サンプルページ母性看護学 ❷ 母性看護学各論277A.新生児の生理脳症をきたすため注意が必要である。とくに生後24時間以内は慎重な管理が必要となる。 母斑は皮膚の先天的局所的な異常をさし,一般に「あざ」とよばれる。新生児には特徴的な母斑がいくつか存在する。[1] イチゴ状血管腫 小児血管腫に分類されるものの1つにイチゴ状血管腫がある。通常,出生時にはみられず,生後まもなく出現して1歳ごろまで大きくなるが,その後は消退する。合併症があればレーザー治療の適応となる。最近,β遮断薬による治療の有効性が明らかとなり,診療応用されている。[2] サーモンパッチ サーモンパッチは中心性紅斑ともよばれ,額ひたいや眼がん瞼けんにみられる(▶図5-14)。毛細血管の拡張で出生時から存在し,生後ゆっくりと消退し,1歳ごろまでに消失する。[3] ウンナ母斑 頸部の母斑はウンナUnna母斑とよばれる(▶図5-15)。成人▶母斑▶図5-14 サーモンパッチ▶図5-15 ウンナ母斑▶図5-13 大理石様皮斑シーンセレクト①顔,耳をふく②脱衣③洗い方④着衣,臍処置⑤耳,鼻の掃除沐浴の手順21(約11分)【p.311~314】(1分)(50秒)(5分20秒)(2分50秒)(1分30秒)頸部を支え,殿部の下に手を入れて全体を支える。新生児の抱き方(人形)22(30秒)新生児の抱き方23(25秒)①横抱き(25秒)②縦抱き(25秒)③移動608動画一覧スマートフォンなどの携帯機器でQRコードを読み込むと、手順を動画で確認できます。動画313C.新生児の看護ガーゼで水分をふき取っておく。これは,新生児の体表面積は頭部が最も大きく,ぬれたままにしておくと体温が奪われるためである。(4) 身体は,上から下に,洗いやすい順番で洗う。具体的には,頸部→上肢・腋窩または胸腹部→下肢などの順番である。頸や腋窩などの,しわが多く皮膚が重なり合う部分は,洗い残し・すすぎ残しが生じやすい。洗い残し・すすぎ残しがあると,湿疹の原因となるため,しわを開いてしっかり洗う。手を洗う際は,把握反射により握ってしまうことが多い。この場合は,新生児の小指側から母指を入れ,手のひらを軽く押すことで,手を開き洗いやすくなる。児は口もとに手をもっていくため,洗ったあとはすみやかに泡を流す(▶図5-36-e,f)。(5) 右手の手のひらを児の左脇に差し込み,腋窩を把持するように支えながら,児を腹ばいにし前腕に寄りかからせ,背中から殿部を洗う(▶図5-36-g)。(6) 再び左手で頭部を支えながらゆっくりと仰臥位に戻し,陰部・肛門を洗う。男児の場合は,陰茎→陰囊→肛門の順に洗う。女児の場合は,大陰唇→小陰唇の間→肛門の順に,それぞれ上から下,前から後ろに洗う(▶図5-36-h)。(7) 最後に,肩まで湯につかり,洗面器またはシャワーを用いてかけ湯をし,h.陰部・肛門を洗うi.バスタオルで押さえてふくl.鼻を綿棒でふくk.頭髪を整えるj.臍処置①人形を用いた動画②実際の沐浴動画動画▶図5-36 (続き)(動画の分割版は▶607ページ)多くの手技を動画で学習することができ、視覚的な理解につながります。図内にQRコードを掲載。すぐに見ることができます。437Ⅱ.分娩の異常と看護 2 前置胎盤 胎盤が正常よりも子宮の下方に付着し,内子宮口をおおうものを前置胎盤という。 前置胎盤は,内子宮口をおおう程度により辺縁前置胎盤,部分前置胎盤,全前置胎盤に分類される(▶図7-14-b~d)。 妊娠中期以降の経腟超音波検査で,胎盤が内子宮口をおおう所見をみとめた場合,前置胎盤を疑う。妊娠の経過とともに子宮下部が伸展し,胎盤の上方移▶分類▶診断b.副胎盤c.分葉胎盤a.正常胎盤e.周郭胎盤f.膜状胎盤d.画縁胎盤▶図7-13 胎盤の形の異常a. 正常位置胎盤b. 辺縁前置胎盤胎盤の下端が内子宮に達しているもの。e. 低置胎盤胎盤の下端が内子宮口付近に及ぶが,内子宮口には達しないもの。胎盤下端から内子宮口まで2cm未満のものをいう。d. 全前置胎盤胎盤が内子宮口を完全におおっているもの。c. 部分前置胎盤胎盤が内子宮口の一部をおおっているもの。▶図7-14 前置胎盤と低置胎盤533Ⅳ.産褥の異常と看護産後の身体的回復に通常より時間がかかる。これらのことから,回復状態に合わせた授乳支援が必要となる。[1] 児にあわせた授乳支援 多胎妊娠の場合,帝王切開で出産することも多いため,できるだけ早期から児の要求に合わせた授乳を開始し,適切な抱き方と含ませ方ができるように支援する。また,早産での出生や低出生体重児の場合,児の未熟性などに合わせた支援も必要となる。このような児は,筋緊張が弱いことが多く,疲れやすいため,しっかり吸着できるように抱き方などを支援する(▶表7-37)。その際,ダンサーハンドポジションも有効である(▶図7-42)。 また,眠りがちな児を起こす工夫として,おむつをかえる,掛け物などをとり四肢を動かしやすくする,児の四肢や背中をやさしくマッサージして話しかける,抱き起こしてみるなどがある。刺激を与えようと足の裏を強くこすり,泣かせることはストレスを与えることになるので避ける。[2] 双子の場合の授乳支援 双子に対する直接授乳には,1人ずつ授乳する方法と2人同時に授乳する方法がある。はじめは1人ずつ授乳して,それぞれの児の個性や要求を褥婦が把握でき,また児が適切に母乳を飲むことができていることを確認する。その後,褥婦が児の扱いに慣れたら,同時授乳をすすめる。児が疲れやすいため,しっかり吸着が維持できるようにする児の耳の位置から後頸部にかけてしっかり保持する児を乳房に密着させるように抱く児の顔が乳房と同じ高さで,乳房にまっすぐ向いているようにする児の頭は軽く後屈し,下顎が乳房についている直前のストレスが多いと疲れてしまうため,授乳直前の採血などの処置は避ける( 水野克己編著:エビデンスにもとづく早産児母乳育児マニュアル.p.109-114,186-188,メディカ出版,2015による,一部改変)▶表7-37 早産児・低出生体重児の授乳時の抱き方のポイント乳房と児の下顎を包みこむように支える。母指と示指を頰に添え,乳房を口腔内に密着させる。▶図7-42 ダンサーハンドポジション61専門分野

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