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第3326号 2019年6月17日


視機能ケアの取り組みと展望を紹介
第20回日本ロービジョン学会の話題より


 第20回日本ロービジョン学会学術総会(会長=井上眼科病院・井上賢治氏)が5月24~26日,「ひかり」をテーマにソラシティカンファレンスセンター(東京都千代田区)にて開催された。学会設立から20年が経過し,視野や視覚の障害によって生活に不自由のある方の生活の質を向上させるロービジョンケアはどのように変容してきたのか。本紙では特別記念講演「日本ロービジョン学会20周年を迎えて」の模様を報告する。

医療・福祉が連携し視覚障害者にいち早く情報提供を

 登壇した本学会前理事長の加藤聡氏(東大)は,学会が注力してきた4つの柱としてEducation,Practice,Collaboration,Scienceを紹介した。これまでロービジョン患者に対する医療者側の認識不足により,患者が適切な対応をしてもらえず医療機関から遠ざかってしまうことがあった。Educationの領域では,こうした患者を減らすため,眼科医や視能訓練士向けに実習を含む講習会を開催し,ロービジョンケアの認知度向上に取り組んできたという。

 他方,視覚障害者は災害時に適切なケアを受けられるのだろうか。東日本大震災をきっかけに災害時の対応に注目した学会は,被災時の対応法を記載したパンフレットの作成,日本盲導犬協会や全国盲学校長会などの他団体との連絡会議を設立し,さらなる連携拡大をPractice領域の目標として推進してきたと語る。この取り組みと連動し,Collaboration領域では眼科医や医療・福祉機関の連携不足解消のため,疾患や生活上の問題の相談先や拡大鏡などの視覚補助具に関する情報提供を行う「スマートサイト」の導入を積極的に進めており,複数機関による患者情報の把握を目的とした「ロービジョン連携手帳」も開発中と報告した。

 4つ目のScienceの領域について氏は,ロービジョンケアに関する研究の実施・発信をこれからの課題に挙げ,失明疾患の病態解明に加えて視覚障害者へのケアに関する研究にも予算を割くべきだと主張した。日本医療研究開発機構(AMED)での視覚障害に関する研究の1つとして,「視覚障害者の就労実態を反映した医療・産業・福祉連携による支援マニュアルの開発」(研究開発代表者=産業医大・近藤寛之氏)などを紹介。「今後一層のロービジョンケアシステムの構築や学術的な研究の発展に期待したい」と締めくくった。

写真 加藤聡氏