医学界新聞

2010.06.28

第83回日本整形外科学会開催


四宮謙一会長
 第83回日本整形外科学会が5月27-30日,東京国際フォーラム(東京都千代田区)他にて四宮謙一会長(東京医歯大大学院)のもと,「整形外科の進歩が支える人間100年の世紀」をテーマに開催された。本紙では,シンポジウム「ロコモティブシンドロームと介護予防」(座長=東大・中村耕三氏,藤野整形外科医院・藤野圭司氏)のもようを報告する。

 “ロコモティブシンドローム”とは,運動器の障害のために要介護となる危険性の高い状態のことであり,運動器の健康には医学的評価と対策が不可欠なことから,日本整形外科学会より2007年に提唱された。シンポジウムではまず星野雄一氏(自治医大)が,氏らが開発したロコモティブシンドローム診断ツール(足腰指数25)を提示。これを用いることで,整形外科専門医と同等の精度での診断が一般医にも可能となるとし,今後は効率的な介入プログラムの策定を進めていくという。続いて岩谷力氏(国立障害者リハセンター)が,「要介護高齢者割合の減少に資する運動器リハビリテーション治療指針」の開発をめざし作成した,運動器疾患患者の要介護化モデルについて紹介。運動器の変性に伴うさまざまな疾患が複合し要介護化に至ることから,総合的治療戦略の確立の必要性を説いた。坂田悍教氏(埼玉県立大)は,高齢者の体力を評価する際には,高齢者自身が測定してはじめて行動変容が生まれると言及。その上で,簡便かつ有用なスクリーニング法として開眼片足起立時間の測定を紹介した。

 2009年4月末時点の65歳以上の被保険者2838万人のうち要介護認定者数は469万人に上り,この10年で250万人増加したとされる。最後に登壇した堀裕行氏(厚労省老健局)はこれを踏まえ,介護予防を取り巻く現状と介護予防事業の課題について説明。一般高齢者施策と特定高齢者施策を組み合わせた事業を行い,並行して運動器疾患に関する包括的研究を実施していると述べ,医療者の協力を求めた。

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