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『肝胆膵画像診断の鉄則』より

連載 山下 康行

2024.11.13

肝胆膵画像診断の鉄則』は,部位・画像所見別の37のシナリオに沿って,主要疾患の症例を提示。肝胆膵脾の画像診断のポイントを“鉄則”形式でズバッと示した一冊です。各疾患の画像所見の解説に留まらず,所見をみた際にどのようにして鑑別診断を進めるかといった診断のプロセスについても言及しています。またモダリティの選択など,画像診断を進めるうえでの留意点についても適宜取り上げ,読影の腕試しができるWeb付録も収載しています。

「医学界新聞プラス」では本書のうち「Chapter1 肝臓 シナリオ1 多血性の腫瘤」の内容を4回に分けてご紹介します。

 

まずは,First Touch,鑑別診断のリストに目を通して,Check Points を参考に,各症例の画像を読影してみましょう!

First Touch

 ダイナミックCTの動脈相にて濃染する腫瘍は多血性腫瘍と呼ばれる.代表的な多血性腫瘍は肝細胞癌であるが,他の様々な腫瘍も多血性の所見を呈する.その鑑別においては患者の背景因子や腫瘍マーカーが鑑別の手助けとなる.一方,多くの良性腫瘍は若年者や基礎疾患が特にない場合にみられることが多い.
 画像所見においては,被膜の有無,石灰化や脂肪の有無,washoutがみられるか,濃染が遷延するか,中心瘢痕がみられるかなどに注目する.

表1-1.jpg
Check Points
  年齢,性別,背景因子,腫瘍マーカーを含む血液生化学データ
  画像所見として腫瘍の被膜,石灰化や脂肪,中心瘢痕の有無
  造影パターン−washoutがみられるか,濃染が遷延するか

 

 

|症例1|80歳台女性.全身倦怠感で腹部超音波を施行し,肝腫瘤を指摘された.
主な検査データ:AST 25 IU/L, ALT 12 IU/L, AFP 19,284 ng/mL, LDH 232

図1-1.jpg

 

|症例2|40歳台女性.軽度の肝機能異常がみられ,腹部超音波を施行したところ,肝腫瘤を指摘された.

図1-2.jpg

 

|症例3|30歳台女性.子宮頸癌で子宮全摘術が予定されている.術前検査で肝腫瘤を指摘される.肝機能は正常.

図1-3.jpg

 

|症例4|10歳台男性.発熱,右肩痛で近医受診,腹部超音波が施行され,肝腫瘤を指摘された.肝機能は正常.

図1-4.jpg

診断

|症例1|肝細胞癌
|症例2|肝血管腫
|症例3|限局性結節性過形成(FNH)
|症例4|肝細胞腺腫(β-catenin活性型)

 

第2,3回はQ&A形式で画像診断を進める際のポイントを解説します.必ず知っておいてほしいポイントは「鉄則」としてまとめています.第4回では鑑別のポイントと,シナリオ「多血性の腫瘤」に関連して,知っておきたい疾患,事項をまとめています.
 

肝胆膵脾の画像診断においてこれだけは押さえておきたい“鉄則”を1冊に!

肝胆膵脾の画像診断のポイントを“鉄則”形式でズバッと示した1冊。部位・画像所見別の37のシナリオに沿って、主要疾患の症例を提示。各疾患の画像所見の解説に留まらず、所見をみた際にどのようにして鑑別診断を進めるかといった診断のプロセスについても言及する。またモダリティの選択など、画像診断を進めるうえでの留意点についても適宜取り上げる。読影の腕試しができるWeb付録を収載。

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