医学界新聞

西川武二氏に第40回野口英世記念医学賞

「自己免疫性水疱症の免疫病理・分子生物学的研究」で


 このたび,第40回野口英世記念医学賞が西川武二氏(慶大教授・皮膚科)に決定。その授賞式が11月2日,東京の野口英世記念会館ホールにおいて行なわれた。
 西川氏の授賞理由は,「自己免疫性水疱症の免疫病理・分子生物学的研究」。
 慢性で難治,時に致死的な天疱瘡および類天疱瘡に代表される水疱性疾患は,1964年に天疱瘡患者に抗表皮細胞抗体が発見され,自己免疫疾患であることが明らかにされた。西川氏は,これら自己免疫性水疱症において,各疾患にはそれぞれ特異的自己抗体が関与することを明らかにし,自己抗体が認識し病原となる抗原決定基(エピトープ)を確定した。さらに,これらを用いた診断法,治療法を得ることをめざして広範かつ精細な研究を行ない,多くの成果をあげている。
 西川氏の研究はいずれも先導的で,臨床に有益な基礎的研究として国際的に評価されているが,ことにPv(尋常性天疱瘡),Pf(落葉状天疱瘡)の病原エピトープの確定,組換えDsg3(Pv抗原),Dsg1(Pf抗原)を用いての治療の可能性を示したことは臨床上極めて有益な成果として高く評価されている。