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JJNスペシャル No.81
救急ケア最前線
知っておくべき救急初期対応

編集:箕輪 良行  聖マリアンナ医科大学病院救命救急センター長

書 評

救急研修中の研修医にも勧めたい一冊
書評者:山中 克郎(藤田保衛大准教授・一般内科/救急総合診療部)

 私が心から尊敬する箕輪良行先生の編集と聞き,ワクワクしながら本書を読んだ。皆さんもよくご存じのことと思うが,箕輪先生は救急医療の第一線で活躍し,教育や患者・医師関係にも熱い情熱をお持ちの先生である。

 まず執筆者の顔ぶれがすごい! 救急の現場で働く若手や超一流の指導者によって「プレホスピタルケア」「ER」「ディスポジション」の順に,救急医療最前線の様子が解説される。色彩を効果的に用いた分かりやすいイラスト,ふんだんなカラー写真,重要点を効果的に示す表の挿入は,作り手のセンスの良さと教育にかける熱意を感じる。

 特に「気道異物除去」「トリアージナースとプロトコール」「セカンダリーABCD 院内で患者が急変したら」「同期,非同期って何だ?」「プライマリー・サーベイとFAST 外傷患者の初期診療」「Killer Diseaseを見逃すな!」「帰宅時リーフレット」「新しい創傷ケア」の記載は分かりやすく実用的だ。

 「う~ん あるある こんなこと!」
 「へー こんなふうに対処すればいいのか」

 読み進めながら,思わずニンマリ声が出てしまう。若手ナース向けの本であるが,ERでのローテートを始めたばかりの研修医にとっても救急のプレホスピタルケア,そしてディスポジションまでを分かりやすく学ぶには最高の本である。

 「あ~ 救急って やっぱりチーム医療だよな~」

 しかも,これだけの内容でありながら,2730円という懐が痛まない経済性も大変うれしい。救急をより深く学びたいナースはもちろん,共に働く救急隊員,医学生や初期研修医にも広く勧めたい救急入門書である。