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【特集】

プライマリ・ケアのための
ポリファーマシー「超」整理法

吉田 英人(西伊豆健育会病院内科)


 1993年に出版されベストセラーになった,『「超」整理法ー情報検索と発想の新システム』(野口悠紀雄・著,中央公論新社)がある.25年以上前の書籍であるが,書類やアイデアの整理法を論理的に解説した名著である.ところで,そもそも「整理」とはどういう意味だろうか.『新明解国語辞典 第七版』(三省堂)には,「乱雑な状態にあるものに秩序を与えて,すぐ利用出来るようにしたり,事がうまく進むようにしたりすること」と書かれている.これを「ポリファーマシーの整理」として照らし合わせてみる.「乱雑な処方に対して,適切性を考慮し薬を減らしたり増やしたりすることで秩序を与えて,患者・家族・医療者・介護者がすぐ利用出来るようにする.そして患者さんのその後の人生がうまく進むために関わりを持つこと」─ざっと,このような形に解釈することができる.単に,10剤内服していたのを5剤に減薬することを「ポリファーマシーの整理」というには不十分であることがわかる.

 今回,プライマリ・ケアを担っている先生方に,ポリファーマシーの整理法をお届けする企画に至った.まず最初に,ポリファーマシーの基本的な知識(定義,疫学,原因,問題点)を解説していただき,その次に,各領域の第一線で奮闘されている先生方から,専門医が提案する整理法やセッティングの違いから見えてくる整理法など,実臨床に沿ったポリファーマシーの整理法をうかがう形とした.そしてポリファーマシーを整理するうえで必要となってくる関連知識(高齢者総合機能評価,高齢者施設,クライテリア,非薬物療法など)をまとめ,最後に多職種連携(薬剤師,看護師,ポリファーマシー外来など)について概説している.

 意外にも,『medicina』でポリファーマシーがテーマに選ばれるのは初めてとのこと(『medicina』は1964年創刊,すごい!!).本特集が,臨床の最前線で日々ポリファーマシーの患者と向き合っている医療者の指南書になれば幸いである.