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【特集】

不明熱を不明にしないために
実践から考えるケーススタディ

鈴木 富雄(大阪医科大学附属病院総合診療科)


 「3週間以上,38.3℃以上の発熱が数回あり,入院,または外来での3日以上の検査でも診断がつかない」というのが不明熱の定義である.その後,最後までずっと不明の場合もあるが,思わぬところから手掛かりが掴めて,解決する場合もある.その鍵はどこにあるのだろうか? 謎を解き明かす原理原則を語ることは大切なことではあるが,机上で原則を振り回していても問題は解決しない.臨床という不確実で先の見えにくい現場では,実践での経験値が大きくものをいう.混沌とした状況のなかで,原則をどのように用いるのかが重要なのだ.

 今回は「不明熱を不明にしないために~実践から考える ケーススタディ」と題して,その分野の一流の実践者の方々に依頼し,不明熱に関する珠玉の症例を惜しみなく出していただいた.一見原因不明と思われたこれらの熱の原因がなぜ解明できたのか,その鍵はどこにあるのか? 不明熱を不明にしないために,達人たちの実践を丁寧にたどり,鍵を解き明かす原理原則(クリニカルパール)の重要性を学んでいただきたい.珠玉のケース1つひとつに対して是非主治医になったつもりで向かっていただければ嬉しく思う.