今月の主題

内科医のためのクリニカル・パール
診療のキーポイントと心にのこる症例

藤田芳郎(トヨタ記念病院腎・膠原病内科)


楽しくもあり苦しくもある充実した研修医時代.苦しい時を乗り切るコツは“No pain, no gain”である.あるいはそれを発展させた“No rain, no rainbow”で,苦しい時に美しい虹を思い描こう.生身の人間に懸命に対峙する臨床医は,いくつになっても万年研修医である.

ことわざは,生きるコツ.臨床医学にも先達たちが培ってきた多くのコツがある.そのコツ,技を伝授されるとまた大きく一歩踏み出せる,目の前が開けてくる.そのコツ,秘密の技を少しでも受け継ぎたい.職人技を受け継ぎさらに今現在も自らそれを発展させてきている鍛えられた先生方の技の一端を,ぜひわれわれにも伝授していただきたい.そして自分の日常診療のさらなる飛躍をそれに求めたい.

考えようによっては,きわめてずるい考え方である.一流の先生の血と汗と涙の結晶の技をご披露願うのだから.そのうえさらに技の背後にある「心にのこる経験」までもお願いするとは!

そんなずうずうしいお願いをお引き受けいただいたことへの恐縮と感謝が,原稿を拝見した後は感動となりました.

最後に読者の方のために2つの格言を.1つは,「例外のない規則はない」.もう1つは,「まさかの時の友こそ真の友」にかけて,臨床医にとって「まさかの時の友こそ真の格言集」,すなわちこの特集をぜひご参照いただきたい.視界が開けるクリニカル・パールと珠玉の経験の宝庫がありましょう.