HOME雑 誌medicina誌面サンプル 47巻10号(2010年10月号) > 連載●手を見て気づく内科疾患
●手を見て気づく内科疾患

第22回テーマ

爪甲剥離:外傷歴がなければ,サルコイドーシス,乾癬,甲状腺機能亢進,アミロイドーシスを鑑別する

松村正巳(金沢大学医学教育研究センター リウマチ・膠原病内科)


(写真は本誌をご覧ください)
図1 左第5指に爪甲剥離を認める

患者:66歳,女性
病歴:1カ月前から下腿に痛みを伴う盛り上がった紅斑(結節性紅斑)が出現した.1週間前からは37℃台の発熱も出現した.胸部X線写真で両側肺門リンパ節腫脹,皮膚生検では非乾酪性肉芽腫を認め,サルコイドーシス(レフグレン症候群,L【o¨】fgren syndrome)と診断した.
身体所見:左小指に爪甲剥離を認める(図1).右示指,環指にも同様の所見を認める.

診断:サルコイドーシスによる爪甲剥離

 爪甲剥離(onycholysis)は,爪甲の爪床からの遊離を指します.爪の遠位端,もしくは側縁から始まり,空間ができるためゴミ,角化物が入り込むことがあります.最も多い原因は外傷です.外傷以外では,サルコイドーシス,乾癬,甲状腺機能亢進症,アミロイドーシスで起こることがあります1).爪甲剥離では,ときに緑膿菌が付着し,緑色色素産生により,緑色爪(green nail syndrome)を呈することがあります2)

(画像は本誌をご覧ください)

文献
1)Fawcett RS, et al:Nail abnormalities:Clues to systemic disease. Am Fam Physician 69:1417-1424, 2004
2)Hengge UR, Bardeli V:Green nail. N Engl J Med 360:11, 2009