HOME雑 誌medicina誌面サンプル 47巻8号(2010年8月号) > 連載●手を見て気づく内科疾患
●手を見て気づく内科疾患

第20回テーマ

紫斑,表皮の菲薄化,ステロイドの副作用

松村正巳(金沢大学医学教育研究センター リウマチ・膠原病内科)


(写真は本誌をご覧ください)
図1 全体に表皮は菲薄化し,前腕から手背に紫斑を認める

患者:60歳,男性
病歴:6カ月前から倦怠感,両下肢に紫斑,しびれ感が出現した.近医を受診したところ尿蛋白陽性,血清クレアチニン10.7 mg/dlを指摘された.抗好中球細胞質抗体(MPO-ANCA)は高値で,腎生検では半月体形成性腎炎の所見を認めた.3日間のメチルプレドニゾロンのパルス療法後,プレドニン50 mg/日の投与を開始した.両下肢の紫斑は消退し,血清クレアチニンも2 mg/dl台まで回復した.現在,プレドニゾロン17.5 mg/日を内服中である.最近,手,前腕に青あざができやすいという.
身体所見:全体に表皮は菲薄化し,前腕から手背にかけて,径1~1.5 cmの紫斑が散在している(図1).

診断:ステロイド紫斑,ステロイドによる表皮の菲薄化

 通常,紫斑は問題ありません.ただし,表皮の菲薄化は,わずかの擦過で剥離することがあります.よく説明しておくことが大切です.

(画像は本誌をご覧ください)