HOME雑 誌medicina誌面サンプル 47巻6号(2010年6月号) > 連載●手を見て気づく内科疾患
●手を見て気づく内科疾患

第18回テーマ

皮膚硬化,爪上皮出血点,全身性強皮症の典型的所見

松村正巳(金沢大学医学教育研究センター リウマチ・膠原病内科)


(写真は本誌をご覧ください)
図1 指は硬化が強く,光沢を帯び,屈曲している.
図2 右第4指に爪上皮出血点,爪上皮の延長を認める.

患者:61歳,男性
病歴:1年前から右手のこわばり感が始まり,左手にも同様の症状が出現した.3カ月前からは寒冷刺激で指が白くなる現象(レイノー現象:Raynaud’s phenomenon)も出始めた.
身体所見:指は硬化が強く,光沢を帯びている.また,近位指節間関節(proximal interphalangeal joint),遠位指節間関節(distal interphalangeal joint)が屈曲しており(手指屈曲拘縮),伸展できない(図1).右第4指に爪上皮出血点(nail fold bleeding:NFB),爪上皮の延長を認める(図2).顔面,胸部,腹部にも光沢を帯びた皮膚硬化を認める.

診断:びまん型全身性強皮症(diffuse cutaneous systemic sclerosis)

 全身性強皮症の手の皮膚硬化は,初期に浮腫状の変化を示します.進行すると光沢を帯び,硬化が明らかになってきます.硬化がさらに進行した場合は,手指に屈曲拘縮をきたし,手の機能が低下します.爪上皮出血点は,全身性強皮症,混合性結合組織病,皮膚筋炎患者で認められることがあります.全身性強皮症の合併症では,消化管病変,間質性肺疾患,肺高血圧症,腎クリーゼに注意が必要です.

(画像は本誌をご覧ください)