●手を見て気づく内科疾患 | ||
第16回テーマ 逆ゴットロン徴候,皮膚筋炎の皮膚病変 松村正巳(金沢大学医学教育研究センター リウマチ・膠原病内科)
病歴:1カ月前から,顔,手に皮疹が出現し,床からの立ち上がりに困難を感じるようになってきた.近医を受診したところ,クレアチニンキナーゼ高値を指摘され,紹介された. 身体所見:近位指節間関節,中手指節関節の背側にゴットロン徴候(Gottron’s sign)を認める(図1a).爪囲紅斑も認められる.遠位指節間関節,近位指節間関節の掌側にも紅斑を認める(逆ゴットロン徴候,図1b).三角筋,腸腰筋の筋力が両側で低下(4/5)している. 診断:皮膚筋炎における,ゴットロン徴候,逆ゴットロン徴候 皮膚筋炎の皮膚所見ではゴットロン徴候,眼瞼のヘリオトロープ疹(heliotrope rash)が有名です.ゴットロン徴候は掌側にも認められることがあり,これを逆ゴットロン徴候,もしくは鉄棒まめ様皮疹といいます.皮膚筋炎では爪囲紅斑,爪郭の毛細血管拡張,爪上皮出血点も頻繁に観察されます.皮膚筋炎は悪性腫瘍の合併率が15%と高いので注意が必要です. (画像は本誌をご覧ください) |