第9回テーマ
スワンネック変形,ボタン穴変形,
関節リウマチに特徴的な手の所見
松村正巳(金沢大学医学部付属病院 リウマチ・膠原病内科)
 |
図1 中手指節関節に腫脹を認める. |
図2 左第4指にスワンネック変形,第5指にボタン穴変形,ばち指を認める. |
患者:60歳,男性
病歴:12年前に関節リウマチと診断され,加療中である.
身体所見:中手指節関節(metacarpophalangeal joint)の腫脹,スワンネック変形,ボタン穴変形,ばち指を認める(図1,2).両側肺底部に吸気時のfine cracklesを聴取する.
画像所見:胸部CT で両下肺野に間質性陰影を認める
診断:関節リウマチ,間質性肺炎
関節リウマチでは近位指節間関節(proximal interphalangeal joint),中手指節関節,手関節に関節炎を認めます.罹病期間が長いとスワンネック変形,ボタン穴変形,尺側変形をきたします.
本例のばち指は肺病変の反映と考えられます.ばち指をきたす疾患にはチアノーゼをきたす先天性心疾患,動脈管開存,動静脈瘻,肝硬変,炎症性腸疾患,慢性間質性肺炎,気管支拡張症,肺悪性腫瘍,感染性心内膜炎,小児期から認められる原発性のものがあります.
関節リウマチに伴う肺病変には,間質性肺炎,胸膜炎,肺リウマトイド結節,カプラン症候群(Caplan’s syndrome:炭坑労働者の塵肺に肺リウマトイド結節を伴ったもの),血管炎による肺病変,器質化肺炎があります.
(画像は本誌をご覧ください)
文献
1)Lipsky PE:Rheumatoid athritis, Fauci AS, et al(eds):Harrison’s Principles of Internal Medicine, 17th ed, pp 2083-2092, McGraw Hill, New York, 2008 |