第22回 最終回［腎臓内科編］
急性腎不全と慢性腎臓病：血尿と蛋白尿の診かた
津川友介・西崎祐史・小松康宏（聖路加国際病院腎臓内科）
急性腎不全（AKI）の診療 まずはここを押さえよう
- 血清クレアチニン値が高い患者を見たら，まずはエコーを当てて，慢性腎臓病（CKD）と腎後性腎不全をルールアウトしよう！
- 次に，腎前性腎不全と腎性腎不全のどちらなのか，FENa，FEUNなどで鑑別しよう！
- 腎性腎不全だとわかったら，（1）大血管病変，（2）糸球体および小血管病変，（3）間質性腎炎，（4）急性尿細管壊死（ATN；Acute tubular necrosis）の4つのうちどれだろう？ と考えよう！
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指導医 血清クレアチニン値が急激に上昇したり，乏尿になったりしたときに，以前までは急性腎不全と言われていましたが，最近ではAcute kidney injuryと呼ばれ，AKIと略されています（AKIを訳すと「急性腎障害」となりますが，混乱を防ぐために本稿では急性腎不全で統一します）．RIFLE分類（表1）1）と，RIFLE分類を基に作られたAKIN criteria2）という2つの診断基準が知られていますが，いずれにしても血清クレアチニン値が上昇する場合と尿量が低下する場合のいずれかを認めたときにAKIとしています．今日はこのAKIについて学びましょう．
■症例1
発熱を主訴に救急外来を受診し，腎機能障害が見つかった72歳男性
指導医 最初の症例は特に既往のない72歳男性です．発熱を主訴に救急外来を受診しました．外来で採取された血液検査にて，血清クレアチニンが高値でした．
指導医 さあ，どのようにアプローチしますか．
研修医A 血清クレアチニン値が高いですね．薬剤性腎障害ですかね．まずは薬をチェックしたほうがよいと思います．
指導医 腎機能障害のワークアップの仕方に関しては，苦手な研修医が多いようです．クレアチニン値が高い人を見たら，3段階のアプローチをすると，見逃しがなくてよいと思います（表2）．
研修医B では，なにはともあれエコー所見を知りたいです．
指導医 そうですね．腹部エコーで確認した腎臓を示します（図1）．
（つづきは本誌をご覧ください）
文 献
1） Bellomo R, et al：Acute renal failure-definition, outcome measures, animal models, fluid therapy and information technology needs；The Second International Consensus Conference of the Acute Dialysis Quality Initiative（ADQI）Group. Crit Care 8：R204-212, 2004
2） Mehta, et al：Acute Kidney Injury Network；Report of an initiative to improve outcomes in acute kidney injury. Crit Care 11：R31, 2007
3） Carvounis CP, et al：Significance of the fractional excretion or urea in the differential diagnosis of acute renal failure. Kidney Int 62：2223-2229, 2002
4） Pepin MN, et al：Diagnostic performance of fractional excretion of urea and fractional excretion of sodium in the evaluations of patients with acute kidney injury with or without diuretic treatment. Am J Kidney Dis 50：566-573, 2007
5） Ginsberg JM, et al：Use of single voided urine samples to estimate quantitative proteinuria. N Engl J Med 309：1543-1546, 1983
6） Fairley KF, et al：Hematuria；A simple method for identifying glomerular bleeding. Kidney Int 21：105-108, 1982
7） 血尿診断ガイドライン検討委員会（編）：血尿診断ガイドライン，2006
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