HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 57巻13号(2020年12月号) 特集の理解を深めるための26題
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特集の理解を深めるための26題


問題1

以下のうち正しいのはどれか.1つ選べ.

A
くも膜下出血では発症初期から項部硬直を認める.
B
脳幹梗塞発症初期でも頭部MRIで必ず異常を認める.
C
Guillain-Barré症候群では7割で先行感染を認める.
D
前庭性片頭痛では必ず頭痛とめまいが併発する.
E
手根管症候群では肘や肩の痛みは生じない.

問題2

一次性頭痛の診断に特に有用なものはどれか.2つ選べ.

A
脳波
B
髄液検査
C
脳MRI,MRA
D
頭痛ダイアリー
E
国際頭痛分類第3版

問題3

中枢性めまいでしか出現しない眼振を2つ選べ.

A
Dix-Hallpike testで誘発される回旋性眼振
B
supine head-roll testで誘発される方向交代性向地性眼振
C
自発性に出現している方向固定性水平性眼振
D
自発性に出現している回旋性眼振
E
左右への視標提示で誘発される注視誘発眼振

問題4

以下のうち正しいのはどれか.1つ選べ.

A
脳梗塞では通常片麻痺の対側の顔面麻痺を呈する.
B
急性期麻痺の診断にはBabinski徴候よりも腱反射が役立つ.
C
延髄外側症候群は急性の四肢麻痺を呈する.
D
脳梗塞による片麻痺は構音障害を高頻度に伴う.
E
単麻痺を脳梗塞で呈することはない.

問題5

67歳女性.約1週間前からの下肢の疼痛を主訴に来院した.最初は右足趾のジンジン感のみであったが,徐々に範囲は拡大し,診察時には両側で右側優位の膝下以下の触覚低下,痛覚過敏を認める.右足関節は背屈が不可能で,左はかろうじて可能である.腱反射は膝蓋腱反射,アキレス腱反射は低下している.
既往歴:糖尿病,喘息.血液検査:WBC 24,300/μL(好酸球 72%),CRP 2.7 mg/dL,IgE 2,700 mg/dL,HbA1c 8.5%,MPO-ANCA陰性.
この患者でまず行うべき検査はどれか.2つ選べ.

A
頸椎MRI
B
腰椎MRI
C
末梢神経伝導検査
D
胸部X線写真
E
抗ガングリオシド抗体測定

問題6

50代男性,降圧薬服用中の一人暮らしのトラック運転手.救急隊員の情報で,徹夜麻雀中の午前5時頃,急にゆっくりと後ろに倒れるような姿勢になり,30秒ほど上肢を屈曲し震えているようで,開眼し眼球上転していたと救急受診してきた.身長175 cm,体重105 kg,血圧165/113 mmHg,脈拍125/分・整,呼吸数25/分,酸素濃度99%,体温36.8℃.特記すべき身体所見・神経所見なし.心電図・心エコー・頭部CTに異常なし.頭部MRIでは軽度動脈硬化のみ.次に行うべき検査を2つ選べ.

A
脳波
B
Holter心電図
C
血糖負荷試験
D
下垂体ホルモン測定
E
簡易睡眠検査

問題7

以下のうち,意識障害について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
一側の散瞳+対光反射消失を認めたときは,緊急事態である.
B
頭位変換眼球反射(oculocephalic reflex:OCR)を認めないときは,緊急事態である.
C
初期対応のときは全例血糖測定を行う.
D
栄養異常のリスクが高い患者では,ビタミンB1製剤を静注する.
E
片麻痺をきたしているので,すぐに頭部CTを撮像する.

問題8

以下のうち強直間代発作よりも心因性非てんかん性発作を示唆する症候はどれか.2つ選べ.

A
突発発症
B
左右への首振り運動
C
チアノーゼ
D
閉眼状態
E
舌縁部の咬傷

問題9

Alzheimer型認知症の初期から出現しうる症状として誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
日時の失見当識
B
記銘力障害
C
鏡現象
D
取り繕い反応
E
振り返り反応

問題10

正常圧水頭症患者にみられる歩行障害はどれか.1つ選べ.

A
動揺歩行
B
痙性歩行
C
片麻痺性歩行
D
前頭葉性歩行障害
E
小脳性失調性歩行

問題11

数年前より2型糖尿病に対してメトホルミンを内服中の31歳男性.1カ月前から夕方になると右まぶたが下がり,物が二重に見えるのが気になっていたが放置していた.次第に階段を昇るのもつらくなり,話しにくさも感じるようになったため,脳血管障害が心配で救急外来を受診した.めまい,難聴,片麻痺などはなかった.血液検査の結果を待つ間に身体診察を行った.上を向かせて20秒ほどすると複視を生じたが,右眼を覆ってもらうと消失した.脳神経領域に一致した眼球運動障害はなく,瞳孔不同もなかった.診断は何か.1つ選べ.

A
白内障
B
脳血管障害
C
Fisher症候群
D
重症筋無力症
E
糖尿病性動眼神経麻痺

問題12

以下のうち正しい文章はどれか.1つ選べ.

A
咀嚼運動は嚥下の5期モデルのうち口腔期にあたる.
B
延髄外側梗塞では声帯麻痺と同側の上肢に痛覚低下を認める.
C
破傷風は嚥下障害や開口障害だけでなく,後頸部痛や腰痛を呈することがある.
D
Parkinson病の嚥下障害に抗Parkinson病薬は著効するので嚥下リハビリテーションは不要である.
E
筋萎縮性側索硬化症における舌萎縮は偽性球麻痺を反映した所見である.

問題13

横隔神経が障害されることによる呼吸不全をきたす疾患はどれか.2つ選べ.

A
Parkinson病
B
Guillain-Barré症候群
C
Duchenne型筋ジストロフィー
D
筋萎縮性側索硬化症
E
多系統萎縮症

問題14

機械的血栓回収術の適応となる主幹動脈閉塞の脳梗塞を検出するために,初期診療の段階で確認する項目に含まれるものは以下のうちどれか.2つ選べ.

A
眼位
B
顔面神経麻痺の有無
C
物品呼称ができるか
D
感覚障害の有無
E
上肢麻痺の有無

問題15

てんかんについて以下のうち正しい記述はどれか.1つ選べ.

A
初回の数秒間の意識消失発作で来院した患者に脳波異常を認めたため抗てんかん薬の投薬を開始した.
B
目撃者が痙攣の存在を確認していれば,初回でもてんかんと診断可能である.
C
初回の痙攣重積状態で来院した患者はてんかんであるため,生涯の抗てんかん薬の内服が必要である.
D
高齢発症てんかんは認知症に間違われやすいため注意が必要である.
E
意識を失わない発作はてんかん発作ではない.

問題16

52歳の男性.発熱と頭痛にて発症.初診時,髄膜刺激徴候陽性,軽度の意識障害と右不全片麻痺を認め,直ちに頭部CTを施行した.頭部CT所見を別()に示す.
 本例において,直ちに行うべきこととして,正しいのはどれか.

写真は本誌をご覧ください

 頭部CT造影所見

A
抗菌薬の投与
B
頭部MRI
C
脳血管造影
D
脳波検査
E
腰椎穿刺

問題17

初診時のGuillain-Barré症候群らしい脱力はどれか?

A
強いしびれ感を伴う下肢末梢優位の脱力
B
下痢後3週目に始まった脱力
C
およそ1カ月前から始まった脱力
D
上気道炎後2週目に始まった両側近位筋と遠位筋の脱力
E
腱反射は減弱しているがBabinski徴候を伴う両下肢の脱力

問題18

国際頭痛分類第3版において,「前兆のない片頭痛」の診断基準の項目はどれか.2つ選べ.

A
両側性
B
性状は圧迫感または締め付け感
C
中等度~重度の頭痛
D
日常的な動作により増悪する
E
悪心や嘔吐はない

問題19

82歳男性.言動の変化を主訴に妻とともに来院した.5年前から時々鮮明な怖い夢をみて,夜中に大声をあげるようになった.1年前から動作緩慢で,小刻み歩行となり転倒することが増えてきた.2カ月前から同居している妻が偽物であり本人ではないと時々言うようになった.Mini-Mental State Examination〈MMSE〉では21点(満点30)であった.既往歴に特記すべきことはなく,常用薬はない.考えられる疾患はどれか.1つ選べ.

A
妄想性障害
B
血管性認知症
C
前頭側頭型認知症
D
Lewy小体型認知症
E
Alzheimer型認知症

問題20

Parkinson病では見られない運動障害はどれか.1つ選べ.

A
静止時振戦
B
企図振戦
C
運動緩慢
D
筋強剛
E
姿勢保持障害

問題21

80歳の男性.両側手根管症候群,腰部脊柱管狭窄症の手術歴がある.最近,息切れ,下腿浮腫が出現し,心臓超音波検査で全周性の著明な心室壁肥厚と拡張障害,ピロリン酸(99mTc-PYP)シンチグラフィで心臓への異常集積を指摘された.最も考えられる疾患を1つ選べ.

A
慢性炎症性脱髄性多発神経炎
B
野生型トランスサイレチンアミロイドーシス(老人性全身性アミロイドーシス)
C
糖尿病性ニューロパチー
D
Charcot-Marie-Tooth病
E
サルコイドーシス

問題22

70歳男性.「朝テレビをみていたら急に右腕が動かなくなった」という主訴で来院した.既往に高血圧,脂質異常症,頸椎症があった.来院時血圧は170/82 mmHg.構音障害や顔面の運動に異常はなく,腱反射は右上腕二頭筋で低下,右三頭筋で亢進していた.まず優先して行うべき検査はどれか.1つ選べ.

A
頸椎X線
B
頸椎MRI
C
頭部MRI
D
神経伝導検査
E
筋電図

問題23

神経疾患よりも筋疾患を示唆するのはどれか.1つ選べ.

A
筋肉のぴくつき
B
動揺性歩行
C
階段が降りにくい
D
大腿屈筋群の筋力低下
E
CK値の軽度上昇

問題24

重症筋無力症で症状を悪化させる薬剤はどれか.1つ選べ.

A
ドネペジル
B
ウブレチド
C
ストレプトマイシン
D
ピリドスチグミン
E
セファクロル

問題25

以下の説明のうち正しいものはどれか.1つ選べ.

A
筋萎縮性側索硬化症(ALS)では経過を通じて球麻痺をきたすことはない.
B
ALSでは経過を通じて呼吸筋麻痺を生じることはない.
C
線維束性収縮はALSのみに認める所見である.
D
ALS患者ではしばしば頸椎症を合併する.
E
ALS患者では血清CK値は正常である.

問題26

35歳女性.歩行障害を主訴に来院.約1週間前から両下肢のビリビリしたしびれ感があり,2日前から歩きにくくなったとのこと.同時期にうがいの際に左口角から水がこぼれるようになったことに気づいている.既往歴として20歳の時に右視神経炎にて加療歴がある.また,数年前からときどき左上肢のビリビリしたしびれ感を自覚していたが,自然に消失していたため特に受診はしていなかったとのこと.血圧134/75 mmHg,脈拍72/分,整.視力は明らかな左右差なし,対光反射は保たれるが,swinging flash light testにて右RAPD陽性,左口角下垂あり,明らかな麻痺は認めないが,Romberg徴候陽性.
 以下のうち最も疑わしい診断はどれか.1つ選べ.

A
多発性硬化症
B
視神経脊髄炎
C
頸椎症性脊髄症
D
脳梗塞
E
Bell麻痺(特発性顔面神経麻痺)

(解答は本誌掲載)