HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 57巻8号(2020年7月号) 特集の理解を深めるための22題
目次詳細・ご注文はこちら  電子ジャーナルはこちら

特集の理解を深めるための22題


問題1

古典的熱中症の特徴はどれか.1つ選べ.

A
若年者に好発
B
軽症が多い
C
急激に発症
D
予後不良
E
基礎疾患なし

問題2

熱中症症例において,クリニックから高次医療機関への搬送を要する症状はどれか.最も適切なものを1つ選べ.

A
見当識障害
B
大量の発汗
C
こむら返り
D
めまい
E
嘔吐

問題3

熱中症の鑑別診断で下記のうち間違っているものはどれか?

A
高体温に解熱薬は無効である.
B
急性前立腺炎は発熱以外の所見に乏しいことがある.
C
異常高熱の原因として,脳出血は稀である.
D
抗コリン系薬中毒の皮膚は乾燥している.
E
高体温を来す内分泌疾患に,甲状腺クリーゼがある.

問題4

血圧の季節性変動に関する説明で正しい文章は以下の選択肢のどれか.2つ選べ.

A
血圧の季節変動を最も鋭敏に捉える測定法は,診察室血圧である.
B
一般に,夏季には血圧は下がりやすく,冬季には上昇しやすい.
C
夏季の過降圧の基準は拡張期血圧50 mmHg未満である.
D
夏季に収縮期血圧が120 mmHg未満になり血清クレアチニン値の上昇を認めたため,降圧薬を一時的に中止した.
E
運動療法は血圧を下げるため,夏季には運動はあまりする必要がない.

問題5

以下の文章で内容が正しいのはどれか.1つ選べ.

A
血管疾患における患者数の季節変動の原因は主に気温であり,気圧の影響はない.
B
冠動脈は夏に詰まりやすい.
C
心原性脳塞栓症は冬に多い傾向にある.
D
アテローム血栓性脳梗塞やラクナ梗塞は冬に多い傾向にある.
E
静脈は夏に詰まりやすい.

問題6

以下の測定項目のなかで,夏季の透析患者において,上昇・増加しやすいものはどれか.

A
血圧
B
ドライウェイト(DW)
C
透析間の体重増加
D
Hct値
E
血清Na値

問題7

糖尿病のシックデイについて誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
脱水症の可能性があればビグアナイドは内服禁忌である.
B
食事摂取が困難なときは医療機関を受診する.
C
食事を摂れないときは,低血糖を避けるためインスリンを中止する.
D
できるだけ経口的に水分,炭水化物,塩分を摂取する.
E
インスリン拮抗ホルモンが増加することで高血糖となる.

問題8

次のうち正しいものはどれか.2つ選べ.

A
サンバーンはUVAの曝露によって生じる短期的な皮膚障害である.
B
繰り返すUVAの曝露は,しみ・しわなどの光老化をもたらす.
C
症状の強いサンバーンにステロイド外用剤は禁忌である.
D
UVBの曝露による長期的な皮膚障害の1つに皮膚癌がある.
E
最近の日焼け止めは性能がよいので,朝1回薄く塗れば効果が1日持続する.

問題9

アトピー性皮膚炎の夏季増悪にもっとも関与する悪化因子はなにか.

A
ほこり
B
C
紫外線
D
感冒
E
ストレス

問題10

紫外線につき正しいものはどれか.1つ選べ.

A
緯度が高くなるほど強い.
B
1年のうちでは,春から初秋にかけて強い.
C
日焼け止めを塗っていれば,皮膚への障害は起こらない.
D
曇った日には日焼けをしない.
E
サンバーンは日光に当たった後,2,3日でピークになる.

問題11

手足口病について,誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
流行の程度と温度・相対湿度の間には,正の相関を認める.
B
潜伏期は3~5日である.
C
日本国内でも手足口病による死亡例の報告は認める.
D
時に脳炎・髄膜炎・急性弛緩性脊髄炎といった中枢神経症状を引き起こす.
E
爪甲脱落症は,罹患早期から認める.

問題12

以下のうち誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
髄膜炎疑い症例の初回髄液検査で多形核球優位の細胞数上昇があれば,ウイルス性髄膜炎ではない.
B
ウイルス性髄膜炎の原因ウイルスのうち最も多いのは,エンテロウイルスである.
C
アシクロビル投与時には腎機能障害の副作用に注意する.
D
髄液中VZV DNAがPCR法で検出できなくても,水痘帯状疱疹ウイルス髄膜炎は否定できない.
E
単純ヘルペス脳炎を疑った場合は,早期にアシクロビルを投与する.

問題13

30代女性.1日前から37℃台の発熱と軟便,臍周囲の腹痛があった.徐々に痛みが増悪し,腹痛部位は右下腹部へ移動している.悪心・嘔吐を伴うようになったため救急外来を受診した.数日前に1歳の息子が感冒症状をきたしていたが改善している.周囲に同様の症状の人はいない.腹部は平坦 軟,右下腹部に圧痛を認めた.採血ではWBC 12,000/μL, CRP 2.0 mg/dL, CK 28 IU/Lであった.この時点で最も考えられる疾患を2つ選べ.

A
心筋炎
B
Bornholm病
C
ヒトパレコウイルス感染症
D
虫垂炎
E
リウマチ性多発筋痛症

問題14

18歳男性.季節は初夏.来院前日の夜から悪心が出現,徐々に心窩部の不快感を自覚した.自宅で様子をみていたが改善せず,来院当日の朝から38℃の発熱と右下腹部痛を主訴に救急室を受診した.既往歴に特記すべき事柄なし.バイタルサインは血圧:120/70 mmHg,脈拍76回/分,体温39.6℃,呼吸数22回/分,SpO2 99%(room air).本症例を診断するうえで重視すべきバイタルサインはどれか.2つ選べ.

A
血圧
B
脈拍
C
体温
D
呼吸数
E
血中酸素飽和度(SpO2

問題15

旅行者下痢症について,適切なものを2つ選べ.

A
高級ホテルへの宿泊客で発生することは稀である.
B
多くは細菌性であり,ルーチンでの糞便培養検査が推奨される.
C
キノロン耐性菌による下痢症が東南アジアで増加している.
D
有症状期間短縮のため,血便を伴う場合も含め止痢薬の使用が推奨される.
E
下痢が2週間以上持続する場合には寄生虫感染の可能性を考慮する.

問題16

毒蛇咬傷で正しいのはどれか.1つ選べ.

A
受傷者が咬まれた蛇をビニール袋に入れて外来に持ってきたので,どれどれと袋を開けた.
B
傷痕が2つないので,無毒蛇と判断した.
C
直ちに創部の近位側を縛り,メスで細かい切創を入れ,先をとった注射器で吸引した.
D
ヤマカガシは無毒蛇である.
E
何の蛇かわからなかったので,へび研の堺氏に相談した.

問題17

蜂刺症による致死的な急性症状への治療薬として適切なのはどれか.1つ選べ.

A
ステロイド
B
H1受容体拮抗薬
C
H2受容体拮抗薬
D
アドレナリン
E
グルカゴン

問題18

急性高山病の診断基準となる項目に含まれないものはどれか.1つ選べ.

A
悪心
B
頭痛
C
乾性咳嗽
D
浮腫
E
睡眠障害

問題19

50代男性.谷川岳(1,979 m)登山を予定しており,高山病が心配なため予防的内服薬の処方を希望し受診.この患者に対しての説明で誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
水分をしっかりと摂取するように気を付けてください.
B
高山病を発症する可能性は低いので,予防的内服は必要ないです.
C
吐き気やめまいなどの症状が出たら,直ちに下山してください.
D
症状が出たとしても,下山すればほとんどは良くなります.
E
事前にしっかりと睡眠をとるようにしてください.

問題20

溺水について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
頸髄損傷の合併が5%程度でみられる.
B
溺水におけるCPRでは,通常通りまずは胸骨圧迫を行う.
C
軽症例でも24時間の経過観察が望ましい.
D
淡水の溺水ではAeromonasが肺炎の起炎菌になることが多い.
E
溺水後24時間以内に肺炎が合併することはない.

問題21

海の危険生物による刺咬症について正しいものを2つ選べ.

A
アンボイナガイ刺症では,抗毒素血清を迅速に投与する必要がある.
B
ヌカカ刺症による皮膚症状は極めて軽く,特に対処する必要もない.
C
ハブクラゲ刺症では,食酢をかけながら触手を取り除く必要がある.
D
ウンバチイソギンチャク刺症では,海水をかけながら刺胞球を取り除く必要がある.
E
オニダルマオコゼ刺症の症状は軽いため,医療機関を受診する必要はない.

問題22

川やプールなどの淡水曝露が感染原因とならない病原体・感染症はどれか.1つ選べ.

A
腸管出血性大腸菌
B
クリプトスポリジウム
C
レジオネラ
D
梅毒
E
レプトスピラ

(解答は本誌掲載)