HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 57巻7号(2020年6月号) 特集の理解を深めるための28題
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特集の理解を深めるための28題


問題1

下記の選択肢で正しいものはどれか.2つ選べ.

A
オリンピック期間中,選手が受診した理由はほとんどが整形外科疾患であった.
B
海外におけるスポーツ医学のフェローシップは主に整形外科領域を扱うことが多い.
C
スポーツ医学には,チームドクターや大会救護に参加することで初めて関わることができる.
D
システムや政策レベルで運動を推奨していくことも,スポーツ医学の領域である.
E
プライマリ・ケアの現場で,運動に関わる患者は約半数存在する.

問題2

WHOが2018年に発表した調査では,座りがちな生活による運動不足が原因で疾患リスクにさらされているのは,日本の成人の約何%とされているか.

A
約3%
B
約5%
C
約10%
D
約33%
E
約50%

問題3

スポーツ内科の啓発がうまく進まない原因として考えられるものはどれか.

A
スポーツ現場に,非科学的な指導(根性論など)が残っているため.
B
スポーツ内科疾患は,急な経過で増悪するため.
C
スポーツ内科疾患は,早期から明らかな症状があり診断が容易であるため.
D
一般社団法人日本スポーツ内科学会が既得権益を抱えているため.
E
スポーツ内科医の数は十分であるものの,首都圏への一極集中がみられるため.

問題4

次のうち,スポーツ貧血の原因とならないのはどれか.

A
汗からの鉄の喪失
B
運動によるヘプシジン分泌
C
筋肉量の増大
D
足底での赤血球破砕
E
ケガによる運動量の低下

問題5

運動誘発性気管支収縮(EIB)の予防として,推奨されていないものはどれか.

A
十分なウォーミングアップ
B
運動15分前の短時間作用性β2刺激薬(SABA)吸入
C
マスク装着
D
副腎皮質ステロイド内服
E
ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA)内服

問題6

原因不明のパフォーマンス低下を主訴にアスリートが外来受診した際に,不適切な対応はどれか.

A
血液検査で貧血,感染症,内分泌疾患の評価を行う.
B
非機能性オーバーリーチングやオーバートレーニング症候群を疑い,病歴聴取と誘因の有無を確認する.
C
練習不足によるパフォーマンス低下を疑い,練習プログラムの強化を行う.
D
練習量の確認を行い,必要に応じて練習量の軽減や休養を指示する.
E
POMS(profile of mood status)などで気分の状態を評価する.

問題7

思春期の女子アスリートの無月経について正しいものを選べ.

A
初経年齢は運動性無月経と関連がある.
B
すぐに治療を開始せず,年齢とともに回復してくるのを待つ.
C
低体重(やせ)がなければ利用可能エネルギー不足(LEA)による無月経とは診断しない.
D
運動性無月経にエストロゲン補充は無効である.
E
ホルモン治療を長期間行うと将来の妊孕性が低下する.

問題8

22歳男性,サッカー選手.生来健康であり健康診断などは受けていない.遠征のため長時間深夜バスに乗り,本日朝に地元に戻った.本日午後の練習中に胸痛,失神しそうになるという症状が出現したため外来を受診.以下の中で最初に考えるべき鑑別疾患を2つ選べ.

A
労作性狭心症
B
肺血栓塞栓症
C
肥大型心筋症
D
大動脈解離
E
肋骨骨折

問題9

次の選択肢のうち正しいものを1つ選べ.

A
緊張によって起こる腹痛をETAPと呼ぶ.
B
ETAPによる腹痛は左側腹部に多い.
C
過敏性腸症候群は1カ月間の症状の推移で診断する.
D
過敏性腸症候群は,排便によって症状がやわらぐことが特徴の一つである.
E
ロキソニン®を2週間程度飲んだ程度では,腸は傷つかない.

問題10

運動後のふらつき,立ちくらみがある場合に留意すべきではないことはどれか.

A
運動中から脱水に注意し飲水する.
B
筋力トレーニングを徐々に負荷をかけるようにする.
C
貧血や心機能に問題がないかチェックする.
D
体を温めるために運動後すぐに入浴する.
E
通常よりもしっかりとしたクールダウンを行う.

問題11

22歳の男性.四肢の筋痙攣を主訴に来院した.朝から陸上部での練習を行っており,午後になり気分不快とふらつきが出現し,四肢に筋痙攣が生じるようになってきたため救急外来を受診した.朝から尿は出ていないという.意識レベルはJCSⅠ-2.脈拍120/分,整.血圧98/70 mmHg,体温39.4℃,呼吸数18/分.皮膚,口腔粘膜,腋窩は乾燥している.血清生化学所見:蛋白8.4 g/dL,アルブミン4.5 g/dL,血糖96 mg/dL,尿素窒素47 mg/dL,クレアチニン2.2 mg/dL,Na 135 mEq/L,K 4.7 mEq/L,Cl 98 mEq/L.治療として適切なのはどれか.2つ選べ.

A
重炭酸ナトリウム投与
B
血液透析
C
細胞外液点滴
D
フロセミド投与
E
身体冷却

問題12

専門医に紹介すべき着色尿として,適切ではないものはどれか.

A
コンタクトスポーツ後の着色尿
B
持続する着色尿
C
一過性の着色尿
D
長時間の激しい運動後
E
高温多湿環境下での運動後

問題13

日中に外気温37℃の環境で長距離走行のトレーニングを行ったところ,同日の夜に下肢の脱力を呈し,茶色い色調の排尿を認めた.このときの病態に関して正しいものは次のうちのどれか.

A
血液検査で低カリウム血症を呈する.
B
稀にクレアチンホスホキナーゼ(CPK)円柱による急性腎障害が生じる.
C
CPK値が5,000 U/Lを超える場合(正常上限150~250 U/L),入院加療が必須である.
D
本病態は低ナトリウム血症でも,補正によるナトリウム値の上昇でも生じやすい.
E
CPK値が1,000 U/L程度まで低下すれば運動の再開は許可される.

問題14

感染予防の方法とその理由として適切ではないものはどれか.

A
口の中の乾燥を防ぐためにマスクをする.
B
ほかの人に風邪をうつさないようにするためにマスクをする.
C
鼻や口を触らないようにマスクをする.
D
休養してもいつも以上に疲労が残っているので,ウェイトトレーニングから長距離ランニングのメニューに変更する.
E
免疫機能を高めるために通勤時に1つ前の駅で降りて歩くことにする.

問題15

運動負荷試験の禁忌項目はどれか.2つえらべ.

A
安定狭心症
B
慢性肺梗塞
C
陳旧性心筋梗塞
D
症候性高度大動脈弁狭窄症
E
コントロールされていない症候性心不全

問題16

有酸素運動のポイントとしてあてはまらないものはどれか.

A
座位時間を減らす.
B
中2日間空けない.
C
1週間に最低でも150分以上の中等度~高強度運動を行う.
D
週に連続しない2~3日に行うことが望ましい.
E
可能であればレジスタンス運動との併用は重要である.

問題17

下記のうち誤っているものはどれか.2つ選べ.

A
基本的な運動処方は,頻度(frequency),強度(intensity),時間(time),種類(type)の頭文字をとった「FITT」の形で作成する.
B
高血圧では週に150分の中強度の運動もしくは週に75分間の高強度の運動が推奨される.
C
脂質異常症において運動の効果は,リポ蛋白および止血因子に対する有酸素運動の影響が関与していると考えられている.
D
末期慢性腎臓病患者では,運動により蛋白尿や腎機能の悪化するのではないかという懸念があり運動療法は禁忌である.
E
慢性閉塞性肺疾患では,呼吸リハビリテーションを行うことによって生存率が改善する.

問題18

64歳の女性.2型糖尿病で通院中である.自覚症状やその他の合併症は認めていない.糖尿病と診断され,半年ほど前から週に3回程度,スポーツジムで水中ウォーキング(中強度運動)を始めている.運動を継続してよいのか,どの程度運動を行ってよいのか質問があった.この患者に対して米国スポーツ医学会から推奨されている運動アルゴリズムに沿った対応として正しいものはどれか.

A
現在の運動継続を許可.高強度運動を希望するのであれば医学的クリアランスを推奨.
B
現在の運動強度を下げるように指示.継続したいのであれば医学的クリアランスを実施.
C
現在の運動をいったん中止し,医学的クリアランスを実施.
D
現在の運動継続を許可するが,医学的クリアランスを推奨.
E
現在の運動継続を許可.高強度運動を希望する際も医学的クリアランスは不要.

問題19

食物依存性運動誘発アナフィラキシー(FDEIA)に関して正しいものはどれか.

A
原因食物として果物が多い.
B
女性の頻度が高い.
C
運動負荷量と発症誘発との関連性がある.
D
解熱鎮痛薬内服は制限しない.
E
食物運動誘発試験の陽性率は高い.

問題20

溶血を疑う血液検査所見としてあてはまらないものを2つ選べ.

A
ASTの上昇
B
ALTの上昇
C
LDの上昇
D
直接ビリルビンの上昇
E
間接ビリルビンの上昇

問題21

運動愛好家の24歳男性が健康診断で心電図異常を指摘され受診した.循環器内科へ紹介すべき症例はどれか.2つ選べ.

A
心電図上完全房室ブロックを認めるが自覚症状はない.
B
心電図V4とV5誘導にJ波を認めるが失神歴はない.
C
喫煙歴があり心電図V4~V6誘導で2 mmのST低下所見あり.
D
心電図V1誘導でsaddleback型ST上昇であるが自覚症状や既往はない.
E
心電図上の心拍数は46回/分であるが自覚症状はない.

問題22

スポーツシーンにおいて接触によって感染する皮膚疾患として誤っているものはどれか.

A
伝染性膿痂疹
B
尋常性痤瘡
C
トンズランス感染症
D
ヘルペス感染症
E
伝染性軟属腫

問題23

次の説明文のうち正しいものはどれか.

A
若年者のtrap door型眼窩壁骨折では待機手術が望ましい.
B
trap door型眼窩壁骨折はCT所見が軽微である.
C
運動誘発性喉頭閉塞症は,高齢者に多い.
D
運動誘発性喉頭閉塞症では,呼気性喘鳴を伴う.
E
運動誘発性鼻炎は,寒冷下の競技や水泳競技には少ない.

問題24

月経周期によるコンディションへの影響について正しいものを選べ.

A
黄体期は体重が落ちやすい.
B
月経終了直後が最もコンディションが良くなる時期である.
C
月経前症候群は排卵が未確立のアスリートに発症しやすい.
D
月経周期のすべての時期において下腹部痛は起こりうる.
E
月経周期によるコンディションの変化を感じるアスリートは50%程度である.

問題25

アスリート特有のうつ病発症に関するリスクファクターでないのはどれか.

A
キャリアの引退
B
疼痛
C
キャリアに関わるけが
D
集団競技
E
競技での失敗経験

問題26

29歳女性.前歯部の歯肉発赤と腫脹を主訴に来院.歯磨きは1日2回,朝食後と就寝前に2分電動歯ブラシを使っている.マラソン愛好家で1カ月後に迫った大会でのサブスリー(完走タイム3時間未満)を目指して練習に励んでいる.歯科用X線で上下顎ともに顕著な歯槽骨吸収は認めない.内科的な疾患はなく,現在服用中の薬もない.疑うべき歯科疾患はどれか.

A
アフタ性口内炎
B
酸蝕症
C
口呼吸性歯肉炎
D
薬物性歯肉増殖
E
智歯周囲炎

問題27

アンチ・ドーピングについて
競技種目によって,禁止物質が異なることがある.下記競技のうち,「特定競技」に該当するものはどれか.

A
アーチェリー
B
サッカー
C
バスケットボール
D
自動車
E
マラソン

問題28

スポーツ整形外科を受診し,リハビリを開始することになった選手のなかでスポーツ内科的疾患を有しているのは約何パーセントか.一つ選べ.

A
4%
B
8%
C
14%
D
18%
E
24%

(解答は本誌掲載)