HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 57巻5号(2020年4月号) 特集の理解を深めるための31題
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特集の理解を深めるための31題


問題1

次のうち,意識障害に関して誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
意識障害では脳卒中を想定し,直ちに頭部CTを撮影する.
B
収縮期血圧>180 mmHgの意識障害は,頭蓋内病変の可能性が高い.
C
収縮期血圧<110 mmHgの意識障害は,頭蓋内病変以外の可能性を疑う.
D
低血糖も片麻痺や共同偏視を呈することがある.
E
脳底動脈閉塞や両側視床梗塞では意識障害をきたしうる.

問題2

COPDに関して誤っているものをすべて選べ.

A
本邦には未診断・未治療の「隠れCOPD患者」が多い.
B
症状に乏しければCOPDに罹患している可能性は低い.
C
COPD-Q質問票は,COPDのスクリーニング法として有用である.
D
スパイロメトリーで1秒率(FEV1/FVC)<80%であればCOPDと診断する.
E
胸部CTを実施する際はHRCTが推奨される.

問題3

特発性肺線維症(IPF)において誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
抗線維化薬であるニンテダニブの使用により,急性増悪を抑制することができる.
B
急性増悪時の多くは,血液検査でKL-6,SP-A,SP-Dが上昇する.
C
呼吸機能検査において,通常DLcoの低下はVCやTLCの減少より先にみられる.
D
予後推定,経過の評価に気管支肺胞洗浄(BAL)は有用である.
E
プレドニゾロンや免疫抑制薬による治療は,現時点で有効な治療法ではない.

問題4

結核のリスクファクターでないものはどれか? 1つ選べ.

A
最近の結核への曝露
B
糖尿病
C
医師・看護師などの医療従事者
D
慢性腎不全
E
土壌への曝露

問題5

急性心不全の診断において,次のうち最も陽性尤度比が高い自覚症状はどれか.1つ選べ.

A
体重増加
B
労作時呼吸困難
C
咳嗽
D
動悸
E
夜間発作性呼吸困難

問題6

以下のうち,心原性失神の可能性が高い失神患者はどれか? 2つ選べ.

A
座位で生じた失神であり,心電図でQT延長の所見を認める60歳男性.
B
階段昇降時に生じた失神で,聴診で収縮期駆出性雑音を聴取する79歳女性.
C
20歳頃より繰り返す,不快なにおいを前兆とした失神をきたした48歳女性.
D
起立時に失神したParkinson病で投薬中の82歳男性.
E
長時間の立位後,大量に発汗したのちに失神をきたした26歳女性.

問題7

以下の説明のうち,誤っているものはどれか.以下のうちから2つ選べ.

A
心原性失神の場合,初診の段階で50%以上が診断可能である.
B
臥位での失神は,心原性失神の可能性は低い.
C
前兆や前駆症状を認めない失神では,心原性失神の可能性が高くなる.
D
初療での心電図では診断がつかないことも多く,ホルター心電図や埋め込み型ループレコーダーなどのデバイスも考慮すべきである.
E
心原性失神に,聴診所見は有用な所見である.

問題8

以下のうち正しい記載はどれか.

A
吐血も黒色便も認めなければ貧血精査の内視鏡検査は不要である.
B
大量黒色便を評価するには便潜血検査を施行する.
C
胃洗浄を行ったところ洗浄液が透明であったため,上部消化管出血を否定した.
D
患者が黒色便を訴えたため,直腸診を省略した.
E
上部消化管出血でも鮮血便を認めることがある.

問題9

49歳女性.半年前から肝胆道系酵素上昇が指摘されており,AST 46 U/L,ALT 96 U/L,ALP 773 U/L,γGTP 110 U/L,総ビリルビン0.7 mg/dL,LDH 222 U/L,PT-INR 1.05.どの疾患が最も考えやすいか.

A
アルコール性肝障害
B
原発性胆汁性胆管炎
C
自己免疫性肝炎
D
Wilson病
E
下部胆管癌

問題10

特に既往のない50歳女性.来院2週間前より発熱と全身倦怠感,多関節痛が出現した.来院3日前に近医を受診したところ,尿検査で潜血尿(2+),蛋白尿(3+)が認められ内科外来を紹介受診した.確認すべき病歴や身体所見,行うべき検査で最も不適切なのはどれか.

A
過去の健康診断結果
B
皮膚所見
C
血液培養
D
尿沈渣
E
尿細胞診

問題11

数日前からの四肢脱力と筋肉痛を主訴に外来受診した35歳男性.血液検査で血清カリウム値2.5 mEq/Lであった.低カリウム血症の原因精査として確認すべき病歴や行うべき検査で最も不適切なのはどれか.

A
過去の血清カリウム値
B
消化器症状の有無
C
内服歴
D
喫煙歴
E
尿中電解質

問題12

現在,1型糖尿病に使用できる薬剤は以下のうちどれか.

A
シタグリプチン
B
ビルダグリプチン
C
リラグルチド
D
ダパグリフロジン
E
デュラグルチド

問題13

積極的にインスリンの導入を検討する必要がある糖尿病を以下から3つ選べ.

A
肥満2型糖尿病
B
膵全摘後
C
糖尿病合併妊娠
D
1型糖尿病
E
認知症を併存した糖尿病

問題14

片頭痛の症状の中で筋緊張型頭痛との鑑別に最も有用なものはどれか.1つ選べ.

A
嘔気
B
光過敏
C
音過敏
D
日常生活動作での増悪
E
片側性の頭痛

問題15

次のうち,顔面神経麻痺を呈さない疾患はどれか.1つ選べ.

A
顔面神経鞘腫
B
乳突洞炎
C
悪性外耳道炎
D
サルコイドーシス
E
滲出性中耳炎

問題16

良性発作性頭位めまい症の特徴として誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
頭位変換によって生じ,安静にすると1分程度でめまいが落ち着く.
B
繰り返し同じ頭位をとると,めまい症状が軽減する.
C
起床時など,長期臥床後はめまい症状が増悪する.
D
難聴など,蝸牛症状を伴う.
E
年齢とともに発症頻度は多くなり,女性に多い.

問題17

以下のうち,急性緑内障発作の可能性が最も高い病歴はどれか.

A
近視眼
B
白内障手術歴
C
当日の散瞳検査
D
老人環
E
結膜充血

問題18

反応性関節炎と関連がある微生物はどれか.

A
サルモネラ
B
赤痢菌
C
エルシニア
D
カンピロバクター
E
クラミドフィラ・ニューモニアエ

問題19

高カルシウム(Ca)血症の原因として多いトップ3の疾患はどれか.

A
悪性腫瘍
B
原発性副甲状腺機能亢進症
C
カルシウム・アルカリ症候群
D
サルコイドーシス
E
多発性内分泌腺腫症1型

問題20

Stevens-Johnson症候群や中毒性表皮壊死症の重症度分類に当てはまらないのはどれか.1つ選べ.

A
粘膜疹
B
皮膚の水疱,びらん
C
38℃以上の発熱
D
呼吸器障害
E
LDH上昇

問題21

原発不明がんの特徴として正しいものを選べ.

A
原発不明がんは手術が適応になることが多い.
B
原発巣精査でPETにて原発巣がなければ原発不明がんといえる.
C
原発不明がん疑いでリンパ節生検したところ,低分化腺癌だったので予後不良群と判断した.
D
原発不明がんは病理診断を参考に臨床診断に基づく疾患である.
E
原発不明がんの診断では腫瘍マーカーはまったく有用ではない.

問題22

44歳女性.発熱と頸部リンパ節腫脹を主訴に来院した.2カ月前から左頸部に腫瘤を自覚していた.2週間前に発熱と寝汗が出現し,改善しないため受診した.3カ月で4 kgの体重減少があった. 体温37.8℃.脈拍96/分・整.左頸部,左鎖骨上窩および両側鼠径部に弾性硬,圧痛のない径2~3 cmのリンパ節を4個触知する.下のような左頸部リンパ節の生検組織のH-E染色所見を認め,免疫染色ではCD20陽性の細胞を認める. この患者に行う治療に含むべき薬剤はどれか.

A
トラスツズマブ
B
エロツズマブ
C
エクリズマブ
D
トシリズマブ
E
リツキシマブ

問題23

ヒトT細胞白血病ウイルスⅠ型(HTLV-1)感染症について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
HTLV-1感染者は九州・沖縄地区のみで,関東や中部地区などの都市部ではほとんどみられない.
B
HTLV-1感染経路としては母乳による母子感染のみが考えられている.
C
成人T細胞白血病・リンパ腫(ATL)は予後不良であり,予後不良因子を有さない慢性型,くすぶり型においても化学療法の適応がある.
D
ATLの臨床所見はリンパ節腫脹,肝脾腫,皮膚病変,高Ca血症による意識障害など多岐にわたる.
E
血清可溶性インターロイキン2受容体(sIL-2R)は悪性リンパ腫やATLに特異的な腫瘍マーカーであり,その他の疾患で上昇することはない.

問題24

急性虫垂炎で誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
非穿孔性虫垂炎に対する最適な治療は虫垂切除術である.
B
非穿孔性虫垂炎の診断から手術までの時間が遅れるほど穿孔のリスクが増える.
C
アスピリン,クロピドグレルの使用は非穿孔性虫垂炎の手術成績に影響を及ぼさない.
D
非穿孔性虫垂炎に対する虫垂切除術後の抗菌薬投与は不要である.
E
全身状態が安定した穿孔性虫垂炎で症状が右下腹部局所にとどまる場合は,抗菌薬治療を優先し,すぐに手術は行わない.

問題25

次のうち足関節骨折の可能性が低くなる項目はどれか.2つ選べ.

A
「内反」の受傷機転.
B
足関節外果前方に圧痛がある.
C
足関節外果後方に圧痛がない.
D
痛みがあるが,なんとか歩行可能.
E
圧痛部位を確認せずに読影したX線で骨折あり.

問題26

高齢者の腰痛において新規の脊椎圧迫骨折を診断するために有用な検査はどれか? 2つ選べ.

A
腰椎X線2方向
B
腰椎X線2方向+腰椎立位側面X線
C
腰椎CT
D
腰椎MRI
E
叩打痛の有無

問題27

未破裂脳動脈瘤において正しいものはどれか.1つ選べ.

A
成人の保有率は約10%である.
B
全ての脳動脈瘤の平均年間破裂率は5%を超える.
C
切迫破裂徴候として動眼神経麻痺がある.
D
大きさが3 mm以上のものは破裂のリスクが高い.
E
治療方法としてはほとんどの症例でネッククリッピングが選択される.

問題28

29歳女性.主訴:2日間続く下腹部痛 現病歴:来院前日の夜から下腹部に鈍痛を自覚し,翌日改善しないため夕方に救急外来を自立歩行で受診した.発症は緩徐で最初は生理痛だと思っていたが,下腹部正中に7/10の絞られるような痛みがあるという.歩く振動で全体にひびくとのこと. 来院5日前から月経が始まっている.月経量は2~3時間でナプキンを交換する程度. 陰性症状:発熱・嘔気・嘔吐,下痢・便秘 最終性行為:1週間前 コンドームは途中からつけた 性交歴:特定のセックスパートナーはいない.コンドームを使用しないときもある 既往歴・内服歴:特記すべきことなし 女性の腹痛診療について正しいものを1つ選べ.

A
月経5日目のため妊娠検査は不要である
B
緩徐発症の腹痛では卵巣嚢腫茎捻転の可能性が高まる
C
発熱がないため骨盤内炎症性疾患の可能性は低くなる
D
性感染症の既往歴があると,性感染症や異所性妊娠のリスクが高まる
E
腹膜刺激症状があると手術が必要となる可能性が高まる

問題29

70歳男性.最近トイレが近くなってきたとの主訴で来院.腹部エコーで,前立腺体積40 cc,残尿80 mLを認めた.まず行う治療として誤っているものはどれか.2つ選べ.

A
α1遮断薬
B
5α還元酵素阻害薬
C
抗コリン薬
D
PDE5阻害薬
E
β3刺激薬

問題30

10カ月女児.39℃を超える発熱が2日間続くため来院した.咳嗽・鼻汁などの感冒症状は認めず,診察上,明らかな熱源を示唆する所見は得られなかった.バッグ尿検査で白血球反応が2+,亜硝酸塩反応が1+だった.以下,必要ではないと思われる検査を1つ選べ.

A
導尿して培養をする
B
血液培養
C
バッグ尿の残りを培養する
D
血液検査
E
尿グラム染色

問題31

ポリファーマシーのdeprescribingをしていくうえで薬剤中止の検討に当たるものはどれか.2つ選べ.

A
喘息患者への吸入ステロイド薬.
B
左室駆出率が低下している慢性心不全へのACE阻害薬.
C
ラシックス®内服による高尿酸薬への尿酸降下薬.
D
痛風発作を繰り返している高尿酸血症患者への尿酸降下薬.
E
超高齢高度認知症FAST scale 7+で寝たきり患者へのコリンエステラーゼ阻害薬.

(解答は本誌掲載)