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特集の理解を深めるための29題


問題1

D-dimerによる肺塞栓症の診断について,正しいものはどれか.

A
陽性であれば肺塞栓症と診断できる.
B
入院患者での偽陽性率は低い.
C
肺塞栓症の検査前確率が高い場合には,D-dimerが陰性でも肺塞栓症を否定できない.
D
確定診断向きの検査である.
E
肺塞栓症に対する感度は低い.

問題2

ルーチン検査について正しいものを2つ選べ.

A
確定診断を行う.
B
十分に教育されている.
C
時系列データで解釈する.
D
なるべく多くの検査項目を行う.
E
複数項目で1つの病態を検討する.

問題3

下記のうちルーチン検査として実施するのが適切なものはどれか.

A
片頭痛疑いでの頭部CT
B
非特異的腰痛疑いでの腰椎MRI
C
血管迷走神経失神疑いでの頭部CT
D
手根管症候群疑いでの神経生理学的検査
E
特発性Parkinson病疑いでの脳MRI

問題4

40代男性.「頻回に嘔吐する」と同僚が深夜の救急外来に連れてきた.飲食店入口の階段途中に寝ていたという.患者は泥酔しており,診察には非協力的ですぐに眠ってしまう.対応として誤っているものはどれか.

A
気道確保
B
血液検査
C
頭部/頸椎CT
D
体幹CT
E
経過観察

問題5

高齢者における検査について,正しいものはどれか.

A
検査結果の加齢による影響は少ない.
B
スクリーニング検査は有効ではない.
C
確定診断を目的とした検査を行うことが原則である.
D
検査の負担や安全性を検討するうえで,日常生活動作(ADL)や認知機能の評価を行う.
E
意思決定能力に限界がある場合には,家族などの意向に基づいて検査の意思決定を行う.

問題6

不定愁訴を訴える患者への診察時の態度として,望ましいものを2つ選べ.

A
調査的
B
共感的
C
評価的
D
解釈的
E
受容的

問題7

次の遺伝子検査のなかで,倫理的配慮が必要なものを2つ選べ.

A
ヒトパピローマウイルス(HPV)検査
B
マイクロRNA検査
C
BRCA1 の保有を調べる検査
D
消費者直販型(DTC)遺伝学的検査
E
分子標的薬を選択するための遺伝子検査

問題8

非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)と診断された日本人患者の今後のフォローアップのために用いるべき,肝線維化評価のためのスコアはどれか.

A
NAFIC score
B
NASH test
C
NAFLD fibrosis score
D
FIB-4 index
E
NASH clinical scoring system

問題9

BNP/NT-proBNPに関する記述で,正しいのはどれか.

A
心不全の診断はBNP/NT-proBNPで行う.
B
肥満があるとBNP/NT-proBNPは高値を示す.
C
心不全の予後判定にBNP/NT-proBNPは有用でない.
D
BNPのほうが,NT-proBNPよりも腎機能の影響を受けやすい.
E
sacubitril/バルサルタン合剤を使用した場合,BNPとNT-proBNPが異なる動向を示す.

問題10

プロカルシトニン(PCT)について,以下の文で正しいものはどれか.

A
PCTはCRPより細菌感染に特異的なバイオマーカーであり,血清PCT値の上昇がなければ,一般に細菌感染は除外される.
B
PCTガイド下で抗菌薬中止を判断する場合は,連続した血清PCT値を測定する必要がある.
C
人工呼吸器関連肺炎を疑った場合,連日測定したPCTが陰性であれば抗菌薬を開始せずに経過をみる.
D
カンジダ血症やマラリア,化学性肺臓炎ではPCTは上昇しない.
E
PCTによって抗菌薬の使用期間を短縮できる可能性がある感染症は,肺炎,膿胸,敗血症である.

問題11

高感度トロポニンがカットオフ値以上を示さない病態はどれか.

A
慢性腎不全
B
不安定狭心症
C
上室性頻拍
D
肺塞栓
E
感染症

問題12

以下のケースのうち,Point-of-Care超音波の例として適切なものを2つ選べ.

A
入院担当患者の病歴・身体所見から心タンポナーデを疑ったため,循環器内科医にコンサルトした.その後患者は心エコー検査部に搬送され,超音波検査技師によって超音波検査が行われた.翌日届いた心エコーのレポートによれば心囊液貯留は認めず,心タンポナーデは否定的とのことであった.
B
外来で慢性の呼吸困難を訴える患者を診察,自らその場で超音波検査を実施したところ,右側の胸水および腹水,さらには肝硬変を認めた.胸水・腹水の原因として肝硬変を疑った.
C
外来で担当患者が2カ月ほど間欠的に続く右季肋部痛を訴えた.精査のため,腹部エコーを自らオーダーし,翌日の検査の予約が取れた.
D
入院担当患者の退院が近づいた.ソーシャルワーカーと退院後のケアのポイントについて,ベッドサイドで議論した.
E
入院担当患者が急性の呼吸困難を訴えたため,自らベッドサイドで肺エコーを実施したところ,両側でsliding lung,肋間に5本以上のB-lineを認めた.急性肺水腫と判断し対処した.

問題13

次の疾患のうち,診断に近づくためにFCU(focused cardiac ultrasound)が有用な疾患を2つ選べ.

A
胸膜炎
B
心タンポナーデ
C
Stanford B型大動脈解離
D
心外膜炎
E
気胸

問題14

次の文章のうち,正しいものを2つ選べ.

A
プリックテスト,放射性アレルゲン吸着試験(RAST),パッチテストはすべてⅠ型アレルギーに対する検査である.
B
むやみなRASTなどにより,偽陽性の食物まで過剰に制限することは,小児の発達不全,QOLの低下などの深刻な問題となる.
C
ピーナッツでアレルギーを起こす場合には,交差反応のため,大豆などの他の豆類もなるべく制限するよう努める.
D
同じ患者で同一抗原のRAST値が経時的に低下してきた場合,改善してきている可能性が高い.
E
成人の場合,アナフィラキシーにおける一次処置は,アドレナリン0.3~0.5 mgの大腿前外側部への皮下注である.

問題15

2月上旬.特に基礎疾患のない32歳女性が,本日午後からの39℃の発熱,関節痛,筋肉痛,鼻汁,咳で受診した.子どもがインフルエンザで昨日から休んでいる.働いているため,インフルエンザかどうか心配で救急外来を受診.インフルエンザワクチン未接種.看護師のバイタル測定では血圧125/75 mmHg,脈拍98回/分,呼吸数20回/分,SpO2 98%(室内気下).問診票に「検査希望」と記載あり.この患者のアセスメントプランに関して,適切なものはどれか.

A
検査希望であり,インフルエンザの迅速抗原検査(以下,迅速検査)をしてから診察とする.
B
迅速検査が陰性であれば,翌日に検査のため再度受診するように勧める.
C
迅速検査が陰性であれば,抗菌薬を処方する.
D
症状やシックコンタクトから,迅速検査が陰性でもインフルエンザであることを説明する.
E
このようなコンビニ受診により他の重症な救急患者に十分な診療ができなくなっているため,受診をしないように伝える.

問題16

以下のうち,自己抗体が適切に検査されているものを2つ選べ.

A
28歳女性.2週間前から38℃台の発熱,手指関節痛,頰部紅斑で受診.血液培養を2セット採取し,全身性エリテマトーデス(SLE)の評価のため抗核抗体とC3, C4を,腎炎評価のため尿定性,沈渣,蛋白定量評価を,さらにパルボウイルスB19感染症の可能性も考えてIgM抗体を測定した.
B
32歳男性.1週間持続する発熱,頭皮の毛囊炎,口内炎多発,四肢に結節性紅斑様皮疹あり,多関節痛もあり受診.血液培養を2セット採取し,膠原病評価のため抗核抗体を,関節リウマチ評価のためリウマトイド因子(RF)と抗CCP抗体を測定した.いずれも陰性であり,感染症や膠原病は否定的と考えたが,精査目的に膠原病内科に紹介した.
C
56歳女性.数週前から手指の屈側に鉄棒後にできるマメのような紅斑が出現し,手指や肘関節伸側の紅斑が徐々に潰瘍化してきた.乾性咳嗽も出現し始めたため近医を受診し,内服抗菌薬で経過をみるも徐々に呼吸困難感が強くなってきたため,膠原病内科に紹介受診となった.筋痛やCK上昇はなく,血清フェリチン1,270 ng/mLであった.血液培養採取などワークアップされ急速進行性間質性肺炎を合併した筋無症候性皮膚筋炎の診断で,抗MDA5抗体を測定し,ステロイドパルス治療,シクロフォスファミドおよびタクロリムス投与が開始された.
D
78歳男性,2型糖尿病.2週間前から発熱あり近医を受診.尿蛋白,尿潜血陽性でPR3-ANCA 12.5 IU/mL,C3 62 mg/dL(基準86~160),C4 10 mg/dL(基準17~45),胸部CTでは斑状の浸潤影が散在していた.多発血管炎性肉芽腫症の診断でステロイドパルス療法からプレドニゾロン1 mg/kg投与へつなぎ,数日は解熱し全身状態改善したが,その後38℃台の発熱が持続し始め,さらにその数日後に血圧低下し,ショックの対応をするも改善せず死亡した.

問題17

検診目的での腫瘍マーカー測定について,誤っているものを2つ選べ.

A
腫瘍マーカー測定はがん検診に含まれている.
B
腫瘍マーカー測定で生存期間延長を示したものは,前立腺癌におけるPSAである.
C
スクリーニングにおける腫瘍マーカー測定の害は,陰性でもがんを否定できない,陽性の場合には身体的・精神的リスクにさらされることである.
D
“Choosing Wisely in Japan”が挙げる5つの『推奨しない』リストに腫瘍マーカーが含まれている.
E
がん検診の目的は,がんの早期発見である.

問題18

80代の患者.入院後に抗菌薬を使用し,10日後に下痢症状が認められた.抗菌薬は下痢発症時には終了している.糞便検体を採取し,酵素抗体(EIA)法(迅速検査キット)による検査を行ったところ,グルタメートデヒドロゲナーゼ(GDH)陽性・毒素(toxin A/toxin B)陰性との結果報告があった.
明らかに不適切な対応を2つ選べ.

A
EIA検査を行った糞便残検体で毒素産生性Clostridioides difficile 培養検査(TC)を開始するよう,自施設の臨床検査室に依頼し,同時に感染対策とバンコマイシン内服を開始した.
B
下痢発症時よりClostridioides difficile 感染症(CDI)疑い例としてバンコマイシン内服と感染対策が開始されていたが,微生物検査を委託している検査センターにTCの確認試験を依頼するため,追加の検体採取を行った.
C
微生物検査を委託している検査センターと医療機関との契約で,GDH陽性・毒素陰性結果となった検体では,残検体でtoxin B遺伝子検出検査(NAAT)を行うことになっているため,感染対策を開始して,NAAT結果報告を待って治療を行うことにした.
D
下痢症状が軽度で回復してきたため,感染対策は行ったが,追加検査も治療も行わなかった.
E
下痢症状はさらに増悪したが,毒素陰性であったため,CDIは否定できると判断した.

問題19

50歳男性.検診で心電図異常を指摘され来院した.28歳時に事故で右大腿を切断している.40歳頃より検診で高血圧を指摘されていたが,放置していた.
【来院時所見】身長170 cm,体重56 kg.血圧153/97 mmHg,脈拍68回/分・整,尿蛋白(-),尿潜血(-).右大腿切断以外に身体所見に異常なし.TP 6.8 g/dL,Alb 4.0 g/dL,BUN 14.8 mg/dL,Cr 0.9 mg/dL.心電図で左室肥大所見を認める.
この患者への説明として,誤っているのはどれか.

A
心電図で高血圧による変化がみられますが,血液・尿検査の結果に異常はありません.
B
高血圧の治療を始めましょう.
C
高血圧の臓器障害評価のため,心臓超音波検査,眼底検査を行いましょう.
D
クレアチニン排泄量を評価するため,蓄尿検査を行いましょう.
E
日中の眠気,睡眠中のいびきはありませんか?

問題20

血清β-Dグルカン高値を起こしうる原因として,誤っているものはどれか.

A
ガーゼの使用
B
カンジダ血症
C
クリプトコックス髄膜炎
D
アルブミン製剤の投与
E
トリコスポロン血症

問題21

3日前からの全身倦怠感と,肝酵素上昇で受診した患者のHBs抗原を測定したところ,陽性であった.急性B型肝炎を診断するために検査を1つ追加するとしたら,どれがよいか.

A
HBs抗体
B
HBe抗原
C
HBe抗体
D
IgM-HBc抗体
E
HBV-DNA

問題22

インターフェロン-γ遊離試験(IGRA)について,正しい記載はどれか.

A
IGRAは0.1 mLの皮内注射を要する.
B
IGRAが陽性であれば結核と診断できる.
C
免疫不全があるとIGRAが偽陰性になることがある.
D
男性のほうがIGRA陽性になりやすい.
E
若年のほうがIGRA陽性になりやすい.

問題23

RPR検査で生物学的偽陽性(BFP)をきたす疾患や状態として,一般的ではないものはどれか.

A
感染性心内膜炎
B
尿路感染症
C
全身性エリテマトーデス(SLE)
D
ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症
E
妊娠

問題24

副腎不全について正しいものを2つ選べ.

A
低ナトリウム(Na)血症がなければ,副腎不全は否定的である.
B
コルチゾール値が10 μg/dL以上あれば,副腎不全は除外できる.
C
コルチゾール採血はどの時間帯に行っても解釈は同じである.
D
セレスタミン®配合錠の長期投与では副腎不全に注意が必要である.
E
関節痛・倦怠感から,関節リウマチやうつ病に誤認されることがある.

問題25

次のうち,潰瘍性大腸炎の特徴的組織所見として誤っているものはどれか.

A
陰窩膿瘍
B
陰窩配列の乱れ
C
杯細胞の減少
D
類上皮細胞性肉芽腫
E
形質細胞を伴う炎症細胞浸潤

問題26

MRIについて誤っているものを2つ選べ.

A
T1強調画像で水は高信号を示す.
B
T1強調画像で脂肪は高信号を示す.
C
T2強調画像で水は高信号を示す.
D
T2強調画像で脂肪は高信号を示す.
E
拡散強調画像にて高信号,およびADC mapにて高値を示していれば拡散低下していると判断できる.

問題27

わが国において,FDG-PETの保険適用がないものを2つ選べ.

A
早期胃癌
B
てんかん
C
心サルコイドーシス
D
高安動脈炎
E
不明熱

問題28

内視鏡検査に関する以下の記述のうち,正しいものを2つ選べ.

A
大腸内視鏡検査における抜去時間は,大腸腺腫発見率と相関している.
B
バイタルサインが不安定な消化管出血の症例では,まず内視鏡による検査と止血処置がバイタルサイン安定化より優先される.
C
腹痛の精査で行った内視鏡検査で,胃体下部に粘膜の退色陥凹域を認め早期胃癌0-Ⅱcが強く疑われた.同病変からの生検では悪性所見を認めなかったため,胃癌の可能性は否定できる.
D
52歳男性が健康診断で貧血を指摘された.精査の結果,鉄欠乏性貧血と診断した.自覚症状はなく便潜血陰性だったため,大腸内視鏡検査の適応はない.
E
内視鏡検査を依頼する際,検査目的を明確に検査施行医へ伝えることが重要である.

問題29

骨密度測定検査の適応で,正しいものを2つ選べ.

A
60歳以上の男性・女性
B
70歳以上の男性
C
骨折のリスク因子を有する女性
D
外傷性骨折(交通事故)の既往のある65歳男性
E
ビールを1日350 mL飲む55歳男性

(解答は本誌掲載)