HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 56巻8号(2019年7月号) 特集の理解を深めるための27題
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特集の理解を深めるための27題


問題1

Crowned dens syndrome診断に際して,検査のゴールドスタンダードはどれか?

A
X線
B
CT
C
MRI
D
超音波検査
E
髄液検査

問題2

50歳女性.既往歴に高血圧症,鉄欠乏性貧血があるが,内服は自己中断中.朝7時20分ごろ,坂道をウォーキング中に突然の頭痛が出現した.仕事を欠勤し,自宅で安静にしていたが,頭痛が治まらないため,夜21時ごろ時間外受診した.くも膜下出血を否定する手段は次のうちどれか.1つ選べ.

A
Ottawa SAH Rule
B
頭部CT検査
C
頭部MR検査
D
CT angiography
E
腰椎穿刺

問題3

低用量エストロゲンープロゲスチン製剤の作用として間違っているものを1つ選べ.

A
体重の増加
B
月経痛の軽減
C
月経血量の減少
D
血栓静脈塞栓症のリスクの増加
E
月経周期が整う

問題4

椎骨脳底動脈解離の診断について正しいものを2つ選べ.

A
高齢者に多い.
B
高血圧や喫煙,糖尿病などの心血管リスクが関与する.
C
嚥下障害やHorner症候群をきたすことがある.
D
CTAやMRAによって診断が確定した場合でも,血管造影検査は必須である.
E
MRAで造影されない場合には,血管の先天的欠損や解離,血栓閉塞を疑い,BPAS法も施行する.

問題5

アルコール性ケトアシドーシス(alcoholic ketoacidosis:AKA)の検査で,特異的に検査陽性となるのは次のうちどれか?

A
血中の乳酸
B
血中のβ-ヒドロキシ酪酸
C
血中のアセト酢酸
D
血中のアセトン
E
尿中のケトン体

問題6

このなかで正しくないものを1つ選べ.

A
失神の鑑別診断には,肺塞栓症が挙げられる.
B
目撃情報がハッキリしないと,失神の鑑別は困難である.
C
外傷で受診された場合に,内因性疾患があるかどうかを疑うことが重要である.
D
腎機能が悪い場合は,どのような疾患が鑑別に挙がっても造影CTは行うべきではない.
E
鑑別で挙がった疾患をどこまで除外するべきか悩む状況がある.

問題7

28歳,初産婦.妊娠35週で心窩部痛を主訴に総合病院の救急外来を受診した.これまでの妊婦健診で血圧が徐々に上昇し,直前の記録では130/80 mmHgであった.その他の合併症はない.本日朝より心窩部痛が出現した.悪心はあるが,嘔吐や下痢症状はない.性器出血は認めていない.
体温37.4℃,脈拍82/分,血圧155/100 mmHg.痛みは間欠痛であり,NRS 7/10程度である.子宮は軟で圧痛はなく,定期的な子宮収縮は認めない.顔色は軽度蒼白であり,心窩部痛に加え倦怠感の訴えがある.
まず行う対応として正しいのはどれか.

A
血液検査
B
上部消化管内視鏡検査
C
緊急帝王切開
D
鎮痛薬の投与
E
整腸薬を処方し帰宅させる

問題8

巨細胞性動脈炎で正しいものはどれか.1つ選べ.

A
小型~中型の血管を障害する.
B
炎症反応は低値であることが多い.
C
視力低下の原因はぶどう膜炎による.
D
発症年齢はリウマチ性多発筋痛症と類似する.
E
副腎皮質ステロイドの1日量はリウマチ性多発筋痛症と同等である.

問題9

自己免疫性脳炎を起こす自己抗体はどれか.

A
抗MDA-5抗体
B
抗NMDA受容体抗体
C
抗ミトコンドリア抗体
D
抗GQ1b抗体
E
甲状腺刺激抗体

問題10

Guillan-Barré症候群(GBS)について正しいものはどれか.

A
通常,脳神経症状は伴わない.
B
発症4週間以内に約7割で先行感染を伴う.
C
再発が多い.
D
人工呼吸器管理を必要とすることは少ない.
E
障害が残ることはほとんどない.

問題11

急性冠症候群に関して誤っているものを1つ選べ.

A
悪心のみを主訴とする急性冠症候群患者がいる.
B
初回の心電図のみで心筋梗塞を除外できる.
C
トロポニンIは半減期が長く,1週間程度高値が続く.
D
急性冠症候群に起因する痛みが20分以上持続する場合は,心筋梗塞の可能性が高い.
E
STEMIの場合,来院から90分以内のバルーンを拡張することが目標とされる.

問題12

以下のうち,正しいものはどれか.

A
突然発症の胸背部痛を認める患者において,大動脈解離か否かはD-dimerを提出して判断する.
B
大動脈解離は失神を主訴に来院する場合もある.
C
大動脈解離症例では通常血圧は高い.
D
大動脈解離はwalk-inで来院することはきわめて稀である.
E
大動脈解離を疑ったら,全例造影CTを撮影すべきである.

問題13

急性陰囊症について正しい記述はどれか.1つ選べ.

A
精巣捻転症のgolden timeは6時間である.
B
精巣捻転症では,用手的に整復できれば手術は必要ない.
C
付属器小体捻転症では,精巣挙筋反射の消失が特徴である.
D
精巣捻転症の診断にはCT検査が有用である.
E
TWIST Score 1点はlow riskであり,精巣捻転症の可能性は低い.

問題14

急性閉塞隅角緑内障を示唆する身体所見でないものを1つ選べ.

A
lateral penlight testで鼻根まで光が届く.
B
毛様充血.
C
触診で眼球が硬い.
D
ペンライトで患側の対光反射が乏しい.
E
散瞳.

問題15

壊死性筋膜炎の診断に必要でないものはどれか.1つ選べ.

A
血液培養
B
病変部位試験切開
C
筋膜病変と浸出液の培養,グラム染色
D
血清プロカルシトニン
E
患部のCT検査

問題16

急性喉頭蓋炎について誤りを1つ選べ.

A
訴訟が多い疾患の1つである.
B
挿管や気管切開などの気道管理が必要になることがある.
C
著明な咽頭所見を伴うことが多い.
D
致死的な咽頭痛の代表的な疾患である.
E
咽頭痛,嚥下時痛をほとんどの患者で認める.

問題17

30歳女性.
下腹部痛を主訴に21時に救急外来を受診した.来院当日昼から下腹部鈍痛を自覚したが,仕事があったため我慢していた.帰宅後も症状が持続するため自立歩行で来院した.下腹部正中に鈍痛があり,歩く振動でひびくとのこと.嘔気・嘔吐はない.
最終月経:来院3日前から開始.
身体所見:脈拍102/分,血圧98/70 mmHg,呼吸数20/分,体温37.2℃.
本症例への対応として正しいものを1つ選べ.

A
月経があるため妊娠反応検査は不要である.
B
帯下の性状について問診する.
C
鑑別診断のためCTを最初に行う.
D
性感染症の検査は内診台がないとできない.
E
クラミジアの検査を採血で行う.

問題18

腰痛のred flagはどれか.2つ選べ.

A
鎮痛薬の使用歴
B
説明のつかない体重増加
C
悪性腫瘍の既往
D
ステロイドの短期使用
E
便失禁

問題19

プレガバリンの使用として正しい選択肢は以下のうちどれか.2つ選べ.

A
糖尿病性ニューロパチー
B
帯状疱疹後疼痛
C
坐骨神経痛
D
原因不明の末梢神経障害
E
脊柱管狭窄症

問題20

53歳女性.2日前からの咳嗽,呼吸困難,食欲低下を主訴に来院した.関節リウマチに対しIL-6阻害薬を自己注射している.この患者に認めないことが予想されるものはどれか.2つ選べ.

A
発熱
B
CRP上昇
C
白血球上昇
D
LD上昇
E
呼吸数上昇

問題21

虫垂炎の診断に特徴的と思われる以下の所見において除外診断に最も有効なものはどれか.

A
McBurney点の圧痛
B
Alvarado Score
C
Rovsing徴候
D
腸腰筋徴候(Psoas徴候)
E
直腸の圧痛

問題22

帯状疱疹に関して正しいものを2つ選べ.

A
Hutchinson徴候がみられれば,眼球症状は必発である.
B
感染対策としては,接触感染対策を行えばよい.
C
帯状疱疹の症状としては,まず異常知覚や痛みの症状が出現し,その後,皮疹が出現し,水疱,痂皮化へと移行する.
D
アシクロビル内服は,ファムシクロビル内服より1カ月後の神経痛発症の割合を減少させる.
E
本邦では水痘ワクチンの50歳以上に対する帯状疱疹予防が承認され,摂取することが可能である.

問題23

心原性失神を疑う所見でないものはどれか.1つ選べ.

A
男性
B
運動中の失神
C
仰臥位の失神
D
頻回の失神
E
既知の虚血性心疾患

問題24

60歳女性,高血圧と脂質異常症で通院中で喫煙歴はない.次のがん検診のうち,推奨度の低いものはどれか.1つ選べ.

A
胃がん
B
大腸がん
C
乳がん
D
子宮頸がん
E
肺がん

問題25

診療を行ううえで間違っているものはどれか.2つ選べ.

A
診断に行き詰まったら,病歴を再度取り直す.
B
循環動態が増悪しているため,1週間後に外来で経過をみる.
C
常にその病因は一元的か,多元的かを意識する.
D
他診療科と協力しながら診断する.
E
高齢者の診療は治療介入困難であることが多く,学びが少ない.

問題26

知識の不定性の4類型に含まれないものはどれか.1つ選べ.

A
リスク
B
ハザード
C
不確実性
D
多義性
E
無知

問題27

帰宅時の説明について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
悪くなったら来てくださいと言う.
B
紙を渡して読んでおいてくださいと言う.
C
パンフレットは頭部外傷のものだけあればいい.
D
他の鑑別診断の可能性は不安になるので説明しない.
E
部門や病院で合意した文書を作成し,電子カルテから印刷して説明したのちに渡す.

(解答は本誌掲載)