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特集の理解を深めるための25題


問題1

胸痛の鑑別について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
肺血栓塞栓症患者の心電図でSⅠQⅢTⅢを認める頻度はそれほど高くない.
B
左気胸患者では胸壁と心臓との間に空気が介在するため,V4~V6のR波が減高する.
C
急性下壁心筋梗塞患者は大動脈解離を合併している可能性があり,下壁誘導だけでなくV1誘導のSTにも注意する.
D
胸痛を主訴に受診した患者が心電図上ST変化を認めた場合には,血液検査の結果を待たずに循環器内科にコンサルトする.
E
胸痛の鑑別の大部分は心電図で可能であるため,まずは心電図を行って細かい所見まで見逃さず読影することが重要である.

問題2

動悸の性状としてflip-floppingを呈するものはどれか.1つ選べ.

A
心房細動(AF)
B
心房粗動(AFL)
C
心室性期外収縮(PVC)
D
完全房室ブロック(CAVB)
E
房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)

問題3

長期間心電図情報を記録できるデバイスはどれか.2つ選べ.

A
ペースメーカー
B
Holter心電図
C
植え込み型心電図
D
標準12誘導心電図
E
イベントレコーダー型心電図

問題4

35歳女性.学校心臓検診で心雑音を指摘されたことがあるが放置していた.今回,労作時息切れで来院した.
身体所見:両下肢浮腫あり.聴診上でⅡ音の固定性分裂と胸骨左縁第3肋間(3LSB)領域に収縮期雑音を聴取.胸部X線では左第2弓の突出あり.心エコー検査:左室収縮能は正常で,心房中隔欠損症(二次孔25 mm)を認めた.
この患者の心電図所見として可能性が低いものはどれか.2つ選べ.

A
左軸偏位
B
心房細動
C
右脚ブロック
D
V1誘導でR/S>1
E
V5誘導でST-Tストレインパターン

問題5

動悸・不整脈と心電図所見について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
心室頻拍はすべて予後不良の疾患である.
B
1:1心房粗動と心室頻拍とは鑑別が容易である.
C
上室性頻脈性不整脈は血行動態が安定していると考える.
D
心室頻拍の心電図において房室解離所見は必ずしも認めない.
E
動悸を主訴に救急外来を受診し,診察時の心電図が洞調律であった場合には問題なしと判断してよい.

問題6

施設入所中の85歳女性.突然の嘔吐と便失禁を認め,血圧不測であったため救急要請された.
来院時バイタルサイン:血圧88/36 mmHg,脈拍36/分,SpO2 95%(room air),体温36.6℃.来院時の心電図を図1に示す.
この患者に対して行うこととして適切でないものはどれか.1つ選べ.

写真は本誌をご覧ください

図1 問題6の心電図

A
心臓超音波検査
B
酸素投与
C
ヘパリン静注
D
アスピリン内服
E
硝酸イソソルビド静注

問題7

QT延長から多形性心室頻拍(torsade de pointes)発現への増悪因子となるものはどれか.1つ選べ.

A
男性
B
頻脈
C
喫煙
D
低カリウム血症
E
ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

問題8

生来健康で学校心臓検診にて初めて異常を指摘された8歳女児.心電図は図2の通りである.
最も疑われる先天性心疾患はどれか.

写真は本誌をご覧ください

図2 問題8の心電図

A
心室中隔欠損
B
心房中隔欠損
C
Fallot四徴症
D
房室中隔欠損
E
三尖弁閉鎖症

問題9

心電図の性差について誤っているものはどれか.2つ選べ.

A
女性の狭心症ではST変化を伴わない場合がある.
B
脚ブロックの診断において性別を考慮する必要はない.
C
急性前壁梗塞を疑う場合,男女による心電図の差も考慮すべきである.
D
高齢男性の心電図では,左室肥大の偽陽性が起こりやすいため注意が必要である.
E
QT間隔は女性よりも男性で長く,torsades de pointesなどの致死性不整脈の発生リスクとも関連している.

問題10

突然死の家族歴がある患者に対して心電図記録を行う際に留意すべきこととして誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
QRS終末部に,広範な誘導にわたるJ波がないかを確認する.
B
QT間隔と脈拍数から算出される補正QT間隔(QTc)を測定する.
C
Brugada症候群を疑った際に第3肋間で12誘導心電図記録を行う.
D
V1誘導におけるε波およびV1~V3誘導における陰性T波がないかを確認する.
E
胸部誘導での広範な巨大陰性T波は肥大型心筋症における左室流出路狭窄を示唆する.

問題11

健診(健康診断)心電図について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
健診心電図の大部分は正常である.
B
健診心電図においては,緊急性のある所見は認められない.
C
健診心電図は世界中で推奨され,広く一般的に行われている.
D
健診心電図は受診者の心血管イベントのリスク層別化に有用である.
E
健診心電図で異常所見を認めた場合,その所見に対する介入が肝要である.

問題12

図3の心電図の所見について正しいものはどれか.3つ選べ.

写真は本誌をご覧ください

図3 問題12のHolter心電図

A
高度房室ブロック
B
完全房室ブロック
C
Mobitz Ⅰ型房室ブロック
D
Mobitz Ⅱ型房室ブロック
E
Wenckebach型房室ブロック

問題13

64歳女性.失神や眼前暗黒感などの既往歴はない.最近,動悸発作が出現するようになり,かかりつけ医から発作性心房細動と診断されて内服加療が開始された.本日,12誘導心電図検査を行ったところ,QTcが464 msと延長を認めた.血液検査:Hb 9.8 mg/dL,K 4.8 mEq/L,Cr 1.35 mg/dL.
この患者におけるQT延長の原因として考えられるものはどれか.1つ選べ.

A
貧血
B
慢性腎不全
C
抗不整脈薬
D
心房細動による頻脈
E
血清カリウム4.8 mEq/L

問題14

65歳男性.冷汗を伴う前胸部絞扼感を主訴に救急搬送された.既往歴に高血圧と糖尿病があり,内服加療中である.来院時も症状は持続している.
治療方針決定のための優先度として低いものはどれか.1つ選べ.

A
問診
B
血液検査
C
心電図検査
D
心臓MRI検査
E
心エコー図検査

問題15

急性心筋梗塞の心電図を読影するうえで誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
ST低下の誘導の数は,虚血の範囲を反映する.
B
ST低下は心内膜下の虚血であり,局在診断に有用である.
C
後壁梗塞では,前胸部誘導のST低下しか認めないことがある.
D
aVʀのST上昇は,左主幹部や重症3枝病変の診断に有用である.
E
ST上昇は,心筋梗塞の局在と一致するため局在診断に有用である.

問題16

急性心筋梗塞時に心室細動併発リスクを予測する心電図所見はどれか.2つ選べ.

A
T波増高
B
QRS幅短縮
C
二相性P波
D
下壁誘導のST上昇
E
連結期の短い心室性期外収縮

問題17

透析患者における心血管疾患について正しいものはどれか.2つ選べ.

A
冠動脈造影検査は透析患者では禁忌である.
B
導入期透析患者では無症状でも高率に心血管疾患の合併がある.
C
典型的な胸痛の症状がない場合には虚血性心疾患の可能性が低く,精査は必要ない.
D
透析患者では心電図でST変化があれば必ず心筋虚血があるため,虚血の評価が必要である.
E
心筋虚血を疑った場合に検査するバイオマーカー(心筋トロポニン,心筋型脂肪酸結合蛋白,CK-MB分画など)は,透析患者でしばしば偽陽性のことがある.

問題18

心肥大患者の心電図所見について正しいものはどれか.2つ選べ.

A
Fabry病ではPR時間の短縮を認めることがある.
B
巨大陰性T波は,心尖部肥大型心筋症のみで観察される.
C
心肥大があるにもかかわらず心電図にて低電位を示す場合は,心アミロイドーシスが鑑別に挙がる.
D
肥大型心筋症にみられる異常Q波は,すべて心筋変性による左室収縮機能低下所見を反映している.
E
大動脈弁狭窄症などの左室への圧負荷をきたす疾患では,左室肥大に伴うST低下やT波の陰転化はV1,V2誘導を中心にみられる.

問題19

慢性肺疾患を疑うべき心電図所見として正しいものはどれか.1つ選べ.

A
右軸偏位
B
反時計回転
C
左脚ブロック
D
V5~V6誘導のR波増高
E
Ⅱ誘導で二峰性の幅広いP波

問題20

肺高血圧症を示唆する心電図所見はどれか.2つ選べ.

A
左軸変位
B
右軸変位
C
V1でR/S>1かつR>0.7 mV以上
D
V5あるいはV6誘導のR波の高さの増高
E
V4~V6誘導におけるストレイン型のST低下

問題21

心房細動の誘因となる心房期外収縮の発生部位として最も多いものはどれか.

A
肺静脈
B
洞結節
C
左心耳
D
上大静脈
E
冠状静脈洞

問題22

24時間心電図検査が有用な症例はどれか.1つ選べ.

A
週1~2回程度結滞を自覚する70歳女性.
B
人間ドックで心室期外収縮二段脈を指摘された,無症状で既往のない50歳女性.
C
健診心電図で単発性心室期外収縮を指摘された,無症状かつ既往のない35歳男性.
D
12誘導心電図で3個/10秒の心室期外収縮を認め,冠動脈有意狭窄に対するインターベンションを予定している60歳男性.
E
1年前に施行した24時間心電図検査で10,000個/日の心室期外収縮を指摘された,無症状かつ基礎心疾患のない65歳女性.

問題23

運動負荷後に一過性の陰性U波がみられるとき,最も可能性が高い疾患はどれか.

A
高血圧
B
冠動脈疾患
C
拡張型心筋症
D
低カリウム血症
E
大動脈弁閉鎖不全症

問題24

53歳男性.気管支喘息と急性心筋梗塞(5年前)の既往あり.突然の胸部絞扼感を主訴とし,当院救急外来へ搬送された.問診中に心電図モニター波形が図4のように変化し,突然,意識レベルの低下を認めた.
この患者に対して行うべきでない診療行為はどれか.2つ選べ.

写真は本誌をご覧ください

図4 問題24の心電図

A
バイタルサインの確認
B
12誘導心電図の取得
C
電気的除細動
D
ATPの急速静注
E
アミオダロンの投与

問題25

Brugada症候群について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
心房細動や洞不全症候群はBrugada症候群と合併することが多い.
B
自然発生typeⅠ心電図,有症候Brugada症候群,遺伝子異常は高リスクである.
C
第2~4肋間のV1~V3においてtypeⅠ心電図が記録されるとBrugada症候群と診断される.
D
Brugada症候群は発熱時や交感神経興奮状態で不整脈イベントを惹起しやすいとされている.
E
Brugada症候群の治療における第一選択はICD植え込みとアブレーションであり,第二選択は薬物治療である.

(解答は本誌掲載)