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特集の理解を深めるための26題


問題1

30歳女性.1年前に特発性血小板減少性紫斑病に対し脾摘術が行われた.現在,薬剤投与なしで血小板数は安定している.昨日からの感冒症状を主訴に診療所に来院した.
バイタルサイン:意識清明,体温37.1℃,血圧126/68 mmHg,脈拍60/分,呼吸数24/分,SpO2 94%(room air).
この患者への対応として最も正しいものはどれか.

A
総合感冒薬を処方する.
B
血液専門医に速やかに紹介する.
C
かかりつけ医からの診療情報は特に必要としない.
D
フルオロキノロン系抗菌薬の内服を処方し自宅療養させる.
E
血液検査・血液培養・画像検査・広域抗菌薬投与を迅速に行う.

問題2

48歳男性.造血幹細胞移植後の慢性移植片対宿主病(GVHD)に対してシクロスポリンを投与中,著明な高コレステロール血症を指摘された.以下のスタチン製剤のうち,シクロスポリンと「併用禁忌」とされているのはどれか.2つ選べ.

A
プラバスタチン
B
フルバスタチン
C
アトルバスタチン
D
ロスバスタチン
E
ピタバスタチン

問題3

次のうち,正しいものを2つ選べ.

A
鉄欠乏性貧血の治療後に再度小球性貧血となった場合,必ず鉄剤を再開する.
B
ビタミンB12欠乏性貧血治療後の再燃では,胃癌の鑑別が重要である.
C
化学療法の晩期毒性として,不妊症や二次がんなどに留意する.
D
アントラサイクリン系による心筋症は,化学療法の期間中のみに発症する.
E
急性白血病の再発では,必ず末梢血の白血球数が増加する.

問題4

血液疾患治療後のB型肝炎ウイルス(HBV)再活性化に関する記載について,正しいものを1つ選べ.

A
HBV再活性化による死亡は稀である.
B
HBV再活性化関連の肝障害は,血液疾患治療中(抗がん剤治療中)に起こらない.
C
HBV再活性化において,肝障害に先行して血中HBV-DNAの上昇が認められる.
D
治療前にHBs抗体陰性の場合,HBV再活性化リスクは低い.
E
核酸アナログ投与中はHBV-DNAモニタリングは不要である.

問題5

出血傾向のない患者の中心静脈カテーテル挿入時の血小板数の目標はどれか.

A
1万/μL以上
B
2万/μL以上
C
5万/μL以上
D
10万/μL以上
E
15万/μL以上

問題6

48歳女性.
1カ月前に腰椎圧迫骨折を認め,近医で精査を行ったところ多発性骨髄腫の診断となった.現在,外来で治療開始前の全身評価を行っている.3日前から,38℃台の発熱と頭痛を認め,今朝から意識レベル低下を認めたため,救急外来を受診した.
身体所見:JCS 20,項部硬直(+).
血液・血清生化学検査:WBC 3,100/μL,Hb 7.5 g/dL,Plt 9万/μL,TP 5.8 g/dL,Alb 3.0 g/dL,Ca 11.5 mg/dL,CRP 10.6 mg/dL.
受診後にまず行うべき対応として正しいものはどれか.2つ選べ.

A
多発性骨髄腫に対する化学療法
B
補液とフロセミド投与
C
赤血球輸血
D
血液培養と髄液検査,抗菌薬投与
E
脳波検査

問題7

臨床研究のうち介入研究に当てはまるものを2つ選べ.

A
症例報告
B
ランダム化比較試験
C
ケースコントロール研究
D
新薬治験
E
コホート研究

問題8

がん治療中の造血器腫瘍患者に対する症状緩和や支援についての正しい説明はどれか.2つ選べ.

A
これからの治療や生活のことを話し合うアドバンス・ケア・プランニングは重要である.
B
モルヒネは腎機能障害があっても安全に使用できる.
C
強い痛みがあってもオピオイドは依存リスクが高く生命予後を短縮するため,使用しない.
D
治療を継続していくための多職種による連携や支援は有効である.
E
緩和ケアは終末期にのみ必要なので,治療を終了してから検討する.

問題9

以下のうち,悪性腫瘍を積極的に示唆するものではない因子および所見はどれか.1つ選べ.

A
高齢である.
B
1カ月持続し緩徐に増大するリンパ節腫脹を認める.
C
鎖骨上窩に2 cm大のリンパ節を触知する.
D
鼠径部に1.5 cm大のリンパ節を触知する.
E
過去半年で10%以上の体重減少を認める.

問題10

60歳の男性.両側涙腺の腫脹があり,右側の生検をしたところMALTリンパ腫の診断であった.一般的に行われる対応はどれか.

A
左側の生検を行う.
B
腫瘍を全摘出する.
C
全身CTもしくはPET/CTを行う.
D
全身化学療法を行う.
E
50 Gyの放射線治療を行う.

問題11

節外性NK/T細胞リンパ腫において正しいのはどれか.1つ選べ.

A
副鼻腔に起こるリンパ腫のなかで発生頻度が最も高い.
B
70歳台と高齢に多い.
C
Epstein-Barr virus関連を特徴とする.
D
CHOP療法が標準治療である.
E
進行期では同時化学放射線治療が有効である.

問題12

甲状腺悪性リンパ腫の発症原因として最も関連が深いものはどれか.1つ選べ.

A
橋本病
B
Basedow病
C
Sjögren症候群
D
Helicobacter pylori 感染
E
EBウイルス(Epstein-Barr virus)感染

問題13

20歳台女性.3カ月前に出産し,授乳中である.数週間前に両胸にしこりを自覚,増大してくるため受診した.両乳腺に4~5 cm大の腫瘤を触れる.痛みや発赤はない.この患者に行うべき対応として適当でないのはどれか.2つ選べ.

A
マンモグラフィ検査
B
経皮的針生検
C
乳房マッサージ
D
乳腺超音波
E
経過観察

問題14

以下の消化管原発悪性リンパ腫のうち,最も可及的速やかに治療を開始するべき疾患はどれか.

A
濾胞性リンパ腫
B
MALTリンパ腫
C
Burkittリンパ腫
D
マントル細胞リンパ腫
E
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫

問題15

次のなかから正しいものを2つ選べ.

A
多発性骨髄腫の骨病変は進行期において認められる症状である.
B
多発性骨髄腫が疑われる症例の疼痛に対しては,初期からオピオイド製剤の使用を検討してもよい.
C
骨原発の悪性リンパ腫の予後は不良である.
D
骨原発の悪性リンパ腫の診断のためには,十分な画像・血液検査を行えば生検による病理診断は必ずしも必要ではない.
E
骨病変をきたす血液疾患の診断・治療においては関係各科の連携が重要である.

問題16

血管内リンパ腫(intravascular lymphoma:IVL)を臨床的に疑った際に,最も有用かつ簡便である検査はどれか.1つ選べ.

A
上部消化管内視鏡検査
B
骨髄穿刺・生検
C
FDG-PET検査
D
ランダム皮膚生検
E
脳生検

問題17

週末の夕方の診療所に悪寒を伴う39℃の発熱,出血傾向を主訴とする生来健康な20代の女性が受診した.発熱以外のバイタルは安定しており,診察上明らかな感染源を示唆する所見は認められなかった.血液検査で白血球数が480/μLと減少し,貧血,血小板減少も伴っていることが判明した.
以下のうちから正しいものを2つ選べ.

A
本日は詳しい血液検査を実施し,後日結果説明のための再診を促した.
B
バイタルは安定しており,週明けに血液内科のある総合病院の受診を促し帰宅させた.
C
バイタルは安定しているが,本日このまま血液内科のある総合病院の救急外来を受診するよう説明した.
D
感染症を疑う所見は乏しかったが,2セットの血液培養の採取を行った.
E
感染症を疑う所見が乏しく,抗菌薬の投与は不要とした.

問題18

血友病Aとvon Willebrand病の鑑別に有用なのは次のうちどれか.2つ選べ.

A
活性化部分トロンボプラスチン時間
B
プロトロンビン時間
C
第Ⅷ因子活性
D
血小板凝集能
E
出血時間

問題19

FDG-PETの保険適用でないのはどれか.1つ選べ.

A
悪性リンパ腫
B
不明熱
C
心サルコイドーシス
D
難治性部分てんかん
E
肺癌

問題20

69歳男性.3年前より健康診断で白血球数増多を指摘され,徐々に増加するために受診した.
現症:表在リンパ節は触知しない.肝・脾を触知しない.
検査所見:WBC 18,000/μL(好中球20%,好酸球1%,好塩基球0%,単球3%,リンパ球15%,異常リンパ球61%),Hb 12.1 g/dL,Plt 17.1万/μL,LDH 160 IU/L,AST 20 IU/L,ALT 24 IU/L,Cr 0.87 mg/dL.
異常リンパ球はフローサイトメトリー検査で,CD5,CD19,CD20,CD23,免疫グロブリンκ鎖が陽性,CD10は陰性であった.
最も考えられる疾患はどれか.1つ選べ.

A
急性骨髄性白血病
B
急性リンパ性白血病
C
慢性骨髄性白血病
D
慢性リンパ性白血病
E
マントル細胞リンパ腫

問題21

温式自己免疫性溶血性貧血の検査所見として正しいのはどれか.2つ選べ.

A
小型球状赤血球の出現
B
直接Coombs試験陽性
C
CD55/59陰性赤血球の増加
D
LDHアイソザイム5型の増加
E
von Willebrand因子切断酵素(ADAMTS-13)活性の著減

問題22

下記の疾患で血小板減少を伴う血栓性疾患はどれか.1つ選べ.

A
特発性血小板減少性紫斑病
B
抗リン脂質抗体症候群
C
本態性血小板血症
D
関節リウマチ
E
寒冷凝集素症

問題23

75歳男性.生来健康であったが,約1年前より労作時の動悸・息切れがあり,近医で軽度の汎血球減少を指摘された.貧血の原因精査で消化管内視鏡検査を受けたが,特に異常は指摘されなかった.3週間前から食欲不振が出現,労作時息切れが増悪したため受診した.
血液所見:白血球2,000/μL(芽球1%,桿状核球1%,分葉核球8%,好酸球9%,好塩基球2%,単球4%,リンパ球75%),Hb 6.4 g/dL,MCV 102 fL,Plt 14万/μL,Ret 1.4%.血液生化学所見:T-bil 0.6 mg/dL,LDH 220 IU/L.
疑うべき疾患は何か.2つ選べ.

A
急性白血病
B
骨髄異形成症候群
C
再生不良性貧血
D
発作性夜間ヘモグロビン尿症
E
巨赤芽球性貧血

問題24

プロトロンビン時間は延長し,活性化部分トロンボプラスチン時間は正常となるのはどれか.2つ選べ.

A
血友病A
B
ワルファリン内服
C
von Willebrand病
D
抗リン脂質症候群
E
第Ⅶ因子欠乏症

問題25

次のうち誤っているものを選べ.

A
M蛋白血症を呈する疾患としてMGUSがある.
B
M蛋白の検出には血清免疫電気泳動法が有用である.
C
尿中Bence Jones蛋白の検出には試験紙法が有用である.
D
多発性骨髄腫の診断にフリーライトチェーンの測定が有用である.
E
フリーライトチェーンの測定のほうが血清免疫電気泳動法よりM蛋白の検出感度が高い.

問題26

ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の関連疾患について正しい記述はどれか.1つ選べ.

A
HTLV-1関連脊髄症の特徴的な症状は錐体外路症状である.
B
HTLV-1感染症のうち,成人T細胞白血病・リンパ腫の発症率は10%である.
C
成人T細胞白血病・リンパ腫は,皮膚病変をきたすことはない.
D
成人T細胞白血病・リンパ腫は,高カルシウム血症をきたすことがある.
E
成人T細胞白血病・リンパ腫の平均発症年齢は,50歳である.

(解答は本誌掲載)