HOME > 雑 誌 > medicina > バックナンバー一覧 > 54巻10号(2017年9月号) 特集の理解を深めるための26題
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特集の理解を深めるための26題


問題1

次の文章で正しいのはどれか.1つ選べ.

A
受診時にトロポニンの値が正常であれば,急性冠症候群(ACS)を否定してもよい.
B
乳酸値が高値である場合は,乳酸値のクリアランスの確認が重要である.
C
腹痛の程度が軽度であれば,単純CTで異常所見がないときにそれ以上の検査は不要である.
D
頭部CTで異常所見がなければ,くも膜下出血(SAH)は否定できる.
E
発症4.5時間以内の急性期脳梗塞であれば,血圧低値であっても頭部CTの後にほかの検査を省略してrt-PA投与を行うべきである.

問題2

急性の発熱と咳を発症した次の患者について,ウイルス性上気道炎ではなく肺炎を最も疑わせるのはどれか.本文(p.1601)の表3を参考に判断して1つ選べ.

A
喉の痛みはなく,鼻水と咳が出る.呼吸数30/分,脈拍数105/分,体温38.5℃.ラ音はなく喘鳴を聴取.
B
喉の痛みがあり,鼻水と咳が出る.呼吸数15/分,脈拍数80/分,体温37.5℃.ラ音や喘鳴は聴取せず.
C
喉の痛みと鼻水はなく,咳が出る.呼吸数30/分,脈拍数105/分,体温38.5℃.ラ音を右側胸部に聴くが喘鳴は聴取せず.
D
喉の痛みがあり,鼻水と咳が出る.呼吸数30/分,脈拍数80/分,体温37.5℃.ラ音を両側下肺野に聴くが喘鳴は聴取せず.

問題3

成人Still病について誤っているのはどれか.2つ選べ.

A
発症早期には症状が揃わないこともある.
B
定型疹は全例でみられる.
C
血球貪食症候群を合併することもある.
D
フェリチンが10,000 ng/mLを超えることはない.
E
慢性関節炎型にはメトトレキサートやトシリズマブを使用することもある.

問題4

腹痛について正しいのはどれか.2つ選べ.

A
内臓痛は咳や歩行で増強する.
B
関連痛は触診で増強しない.
C
右下腹部に圧痛がなければ虫垂炎は否定できる.
D
回盲部の炎症に由来する内臓痛は臍周囲に自覚される.
E
高齢者の腹痛への対応は高齢者以外の腹痛への対応と同じでよい.

問題5

80歳の女性.2カ月前の検診でHb 9.2 g/dL(MCV 72 fL)を指摘され来院した.貧血による自覚症状はない.既往に関節リウマチがあり,ロキソプロフェンとラベプラゾールを内服中である.行う検査として最も不適と考えられるのはどれか.

A
血液検査(血算)
B
便潜血検査
C
上部消化管内視鏡
D
下部消化管内視鏡
E
小腸カプセル内視鏡

問題6

72歳の女性.高血圧で通院,投薬中の患者が健康診断の結果を持参した.AST 31 U/L(基準10~35 U/L),ALT 34 U/L(基準5~40 U/L)であった.この患者の対応として誤っているのはどれか.2つ選べ.

A
基準範囲に入っているので,特に対応を必要としない.
B
過去の検診結果を持ってきてもらい,その推移を見る.
C
超音波検査を行い,肝臓の形態や腫瘍の有無をチェックする.
D
服用中の高血圧に対する薬剤を中止する.
E
肝機能障害の原因としてB型肝炎ウイルス,C型肝炎ウイルス感染の有無を調べる.

問題7

便秘症の原因となりうる疾患はどれか.2つ選べ.

A
低カルシウム血症
B
甲状腺機能低下症
C
Parkinson病
D
トキシックショック症候群
E
甲状腺クリーゼ

問題8

非ST上昇型ACSにおける早期血行再建の必要性を判断するうえで重要でない臨床情報はどれか.1つ選べ.

A
年齢
B
性別
C
心電図所見
D
アスピリンの内服歴
E
冠危険因子の数

問題9

心房細動治療について誤っているのはどれか.2つ選べ.

A
直接型経口抗凝固薬(DOAC)はワルファリンと異なりAPTTやPTに影響を与えない.
B
無症候性心房細動では初診時に左房拡大が認められることがある.
C
無症候性心房細動は症状がないため,すべての症例において治療の必要はない.
D
自覚症状が強く抗不整脈薬が無効な発作性心房細動であれば,カテーテルアブレーションが適応となることがある.
E
脳梗塞の原因として心房細動が疑われる際は長期間の心電図モニタリングが望ましい.

問題10

脳静脈洞血栓症について誤っているのはどれか.1つ選べ.

A
妊娠・産褥,多血症,経口避妊薬の内服が発症リスクとなる.
B
患者の約90%に頭痛を生じる.
C
治療は抗凝固療法である.
D
D-ダイマーが陽性となることが多い.
E
頭蓋内出血を認めた場合,ヘパリンは禁忌である.

問題11

シンシナティ病院前脳卒中スケールの項目に当てはまるのはどれか.2つ選べ.

A
顔面の非対称
B
感覚障害
C
両下肢の麻痺
D
構音障害
E
意識障害

問題12

もやもや病について誤っているのはどれか.1つ選べ.

A
女性に多い.
B
家族内発症がある.
C
脳出血は生じない.
D
頭痛のみの場合もある.
E
不随意運動を呈することもある.

問題13

呼吸困難患者のとりやすい姿勢として誤っているのはどれか.1つ選べ.

A
うっ血性心不全で起座位
B
喘息発作で起座位
C
COPD増悪で起座位
D
右大量胸水で右を上にした側臥位
E
肝肺症候群で横臥位

問題14

黒色胸水の原因とならない病態はどれか.1つ選べ.

A
悪性黒色腫の胸膜転移
B
仮性膵囊胞の破裂
C
長時間経過した胸腔内の出血と溶血
D
Aspergillus niger による肺膿瘍と膿胸の合併
E
関節リウマチによる胸膜炎

問題15

74歳の男性.心不全と肺気腫の既往歴がある.ここ2日間で増悪した咳嗽,喀痰,呼吸困難のために来院した.来院時,意識は清明.体温38.8℃,血圧110/64 mmHg,脈拍 104/分,呼吸数 24/分.血液検査では,白血球 12,000/μL,BUN 20 mg/dL,Cr 0.9 mg/dL.胸部X線で右下肺野に浸潤影が認められた.肺炎との診断でセフトリアキソンを開始した.喀痰培養で肺炎球菌肺炎と診断され,抗菌薬はベンジルペニシリン(ペニシリンG®)へと変更された.
入院3日目,呼吸困難感は軽快傾向にあり,酸素投与をしない状態で呼吸数は16/分であった.しかし,体温は38℃台を推移し,白血球数も10,000/μLと高値のままであったため,喀痰塗抹・培養検査を提出した.塗抹検査では白血球が少数認められたが,細菌は認められなかった.入院5日目,患者はさらに改善傾向ではあったが,入院3日目に提出した喀痰培養でメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が検出された.
今後の治療として最も適切なのはどれか.

A
抗菌薬を中止する.
B
ペニシリンG®を継続する.
C
抗菌薬をリネゾリドに変更する.
D
抗菌薬をバンコマイシンに変更する.
E
抗菌薬をセフトリアキソンに変更する.

問題16

86歳の誤嚥性肺炎の症例における喀痰のグラム染色写真を図1に示す.培養同定検査の結果で予想される菌名はどれか.1つ選べ.

写真は本誌をご覧ください

図1 喀痰のグラム染色写真(×1,000)

A
normal flora(常在菌)
B
Neisseria species
C
Prevotella melaninogenica
D
Peptostreptococcus micros
E
Streptococcus viridans group

問題17

リンパ腫・骨髄腫の診断について正しいのはどれか.2つ選べ.

A
リンパ腫の腫脹リンパ節は石様硬であることが多い.
B
腫脹リンパ節のない血管内リンパ腫の診断には皮膚生検が役立つことがある.
C
伝染性単核球症はリンパ節生検で確定診断する.
D
Bence-Jones蛋白の検出には試験紙法が役立つ.
E
骨髄腫の主要な臓器障害は高カルシウム血症,腎障害,貧血,骨病変である.

問題18

血液腫瘍の患者への対応について誤っているのはどれか.2つ選べ.

A
多発骨病変を有する患者が紹介されたが,血清免疫グロブリン低値であったため多発性骨髄腫を除外した.
B
悪性リンパ腫で外来化学療法施行中の患者から「38℃の発熱が出現した」と連絡があった.発熱以外に明らかな症状がないとのことで,あらかじめ処方してあったシプロフロキサシンを内服するように指示した.
C
臨床病期Ⅳ期の濾胞性リンパ腫と診断されたが無症状の患者に対して,無治療経過観察を行うことにした.
D
右頸部リンパ節と右鎖骨上窩リンパ節のみに連続的病変を認める未治療古典的Hodgkinリンパ腫患者に対して,放射線治療単独を勧めた.
E
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断された患者に対して,R-CHOP療法を開始した.

問題19

アナフィラキシーの初期治療として最も重要なのはどれか.

A
臥位と下肢挙上
B
ブドウ糖液投与
C
酸素投与
D
アドレナリン筋注後に座位での経過観察
E
気道確保・呼吸・循環のアセスメント

問題20

膠原病・関節リウマチについて正しいのはどれか.2つ選べ.

A
血清反応陰性〔リウマチ因子,抗シトルリン化ペプチド(CCP)抗体陰性〕関節リウマチの鑑別疾患では,結晶性関節炎(痛風,偽痛風)を考える.
B
抗好中球細胞質抗体(ANCA)関連血管炎を疑うきっかけになる耳鼻症状には,難治性中耳炎や三叉神経痛がある.
C
Raynaud症状やpuffy handから混合性結合織病(MCTD)を疑う場合,抗核抗体のみでなく抗リボ核蛋白(RNP)抗体など特異抗体を同時にスクリーニングすべきである.
D
不明熱精査にてC-ANCA陽性なら,ANCA関連血管炎の可能性が高い.
E
高安動脈炎の初期には,不明熱や上気道症状(咳など)によってウイルス性疾患の症状遷延と判断されることがある.

問題21

次の電解質異常をみたとき,測定するホルモンの組み合わせとして正しいのはどれか.1つ選べ.

A
低ナトリウム血症─ACTH/コルチゾール
B
低カリウム血症─ACTH/アルドステロン
C
高カリウム血症─TSH/FT4
D
高カルシウム血症─iPTH/1,25(OH)2D
E
低カルシウム血症─PTHrP/血清リン
〔ACTH:副腎皮質刺激ホルモン,TSH:甲状腺刺激ホルモン,FT4:遊離サイロキシン,iPTH:副甲状腺ホルモン,1,25(OH)2D:1,25ジヒドロビタミンD3,PTHrP:副甲状腺ホルモン関連蛋白〕

問題22

単独使用で低血糖に注意が必要な薬剤はどれか.2つ選べ.

A
SU薬
B
DPP-4阻害薬
C
ビグアナイド薬
D
グリニド薬
E
SGLT2阻害薬

問題23

Cushing症候群を疑うきっかけとならない所見はどれか.1つ選べ.

A
うつ状態
B
低血糖
C
好酸球減少
D
低カリウム血症
E
月経異常

問題24

腎疾患患者の管理について誤っているのはどれか.1つ選べ.

A
やせ形の患者では血清Crを用いたeGFRは真のGFRを過大評価する.
B
Ccrによる推定腎機能は真のGFRより高めとなる.
C
腎機能低下患者では腎機能正常者より低用量のループ利尿薬を処方する.
D
遠位尿細管腔内のNaCl濃度が低下すると輸入細動脈は拡張する.
E
全身血圧が正常の場合でも急性腎障害が発症する.

問題25

高カリウム血症への対応として誤っているのはどれか.1つ選べ.

A
グルコン酸カルシウムを静注する.
B
グルコース・インスリン療法は約4~6時間作用が継続する.
C
炭酸水素ナトリウム投与はナトリウム負荷になるため,自尿がある患者でも行わない.
D
心電図をフォローする.
E
保存的加療で改善しない場合には血液透析を考慮する.

問題26

次のうち「低カリウム血症+代謝性アシドーシス」をきたす頻度が高いのはどれか.1つ選べ.

A
甘草(偽性アルドステロン症)
B
嘔吐
C
トルエン中毒
D
フロセミド
E
低カリウム性周期性四肢麻痺

(解答は本誌掲載)