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特集の理解を深めるための30題


問題1

Cushing病と異所性副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)産生腫瘍の鑑別において有用でない検査はどれか.1つ選べ.

A
0.5 mgデキサメタゾン抑制試験
B
8 mgデキサメタゾン抑制試験
C
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)負荷試験
D
下垂体MRI
E
下錐体静脈洞血サンプリング

問題2

先端巨大症について正しいものはどれか.2つ選べ.

A
血中インスリン様増殖因子(IGF)-Ⅰ濃度は年齢や性別の影響を受けない.
B
75 g経口ブドウ糖負荷試験で成長ホルモン(GH)が抑制されない.
C
生命予後は良好である.
D
月経異常をきたす.
E
両鼻側半盲をきたす.

問題3

高プロラクチン(PRL)血症をきたさないものはどれか.1つ選べ.

A
妊娠
B
Basedow病
C
慢性腎不全
D
頭蓋咽頭腫
E
下垂体茎離断

問題4

50歳女性.動悸を主訴に来院した.頸部腫大を認めたため甲状腺機能検査を行った.甲状腺刺激ホルモン(TSH)3.21 μIU/mL,遊離トリヨードサイロニン(FT3)8.15 pg/mL,遊離サイロキシン(FT4)3.02 ng/dLであった.4週間後の再測定も変化を認めず,抗TSH受容体抗体(TRAb)は陰性であった.本症例で次に行うこととして適切なものはどれか.2つ選べ.

A
異なる測定キットで再検査
B
下垂体MRI撮影
C
TRHテスト
D
甲状腺ホルモン受容体(TR)β遺伝子検査
E
チアマゾール(メルカゾール®)投与

問題5

抗利尿ホルモン不適切分泌症候群(SIADH)に合致しない検査所見はどれか.

A
血清Na 130 mEq/L
B
血漿AVP(バゾプレシン)5.6 pg/mL
C
血漿浸透圧264 mOsm/kg
D
尿中Na 16 mEq/L
E
血清尿酸3.0 mg/dL

問題6

成人GH分泌不全症で合併する臨床症状として誤っているものはどれか.2つ選べ.

A
動悸
B
肥満
C
易疲労感
D
易感染性
E
易骨折性

問題7

下垂体前葉機能低下症について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
ゴナドトロピン分泌低下症の男性では,妊孕性の獲得のためにテストステロンエナント酸エステルを投与する.
B
TSH分泌低下症に伴う二次性甲状腺機能低下症に対しては,甲状腺ホルモン薬を維持量で開始する.
C
二次性副腎皮質機能低下症と二次性甲状腺機能低下症が併発している場合は,副腎皮質ステロイド薬をまず開始し,遅れて甲状腺ホルモン薬を開始する.
D
GH分泌不全症では,小児より成人のほうがkg体重当たりのGH補充量が多い.
E
下垂体腫瘍による圧迫では,下垂体前葉ホルモン中で最初にPRL分泌が障害される場合が多い.

問題8

リンパ球性下垂体炎について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
リンパ球性前葉炎は妊婦に好発する.
B
免疫チェックポイント阻害薬投与後には下垂体後葉炎が好発する.
C
下垂体前葉炎が後葉に波及する,あるいは前葉炎と後葉炎とが同時に発症することがある.
D
下垂体後葉炎は特発性中枢性尿崩症の主たる病因と考えられている.
E
下垂体炎は病理診断名であるが,特徴的な臨床所見,頭部MRI所見,ステロイド治療への反応性により,典型例では臨床診断されうる.

問題9

中枢性尿崩症の検査所見の組み合わせで正しいものはどれか.1つ選べ.

A
血漿AVP 2.0 pg/mL,血清Na 140 mEq/L,尿浸透圧500 mOsm/kg
B
血漿AVP 10.0 pg/mL,血清Na 146 mEq/L,尿浸透圧150 mOsm/kg
C
血漿AVP 0.8 pg/mL未満,血清Na 130 mEq/L,尿浸透圧150 mOsm/kg
D
血漿AVP 0.8 pg/mL未満,血清Na 146 mEq/L,尿浸透圧150 mOsm/kg
E
血漿AVP 2.0 pg/mL,血清Na 130 mEq/L,尿浸透圧500 mOsm/kg

問題10

新生児マス・スクリーニングでTSH高値のため先天性甲状腺機能低下症を疑われた男児.姉が先天性甲状腺機能低下症として加療中だが,両親に甲状腺機能低下症の既往はない.日齢10の静脈血検査で血清TSH 45 μIU/mL,FT4 0.7 ng/dL,サイログロブリン(Tg)95 ng/mL(基準3.8~56.3)だった.甲状腺超音波検査で甲状腺を正所性に認め,サイズは-1.4 SDだった.3歳までLT4補充療法を行ったうえで,一時休薬し甲状腺機能を再評価したところ,TSH 15.3 μIU/ mL,FT4 1.0 ng/dLであり,LT4補充療法を再開した.この男児の先天性甲状腺機能低下症の原因遺伝子として最も考えられるものはどれか.

A
TSHR
B
DUOX2
C
TG
D
TPO
E
PAX8

問題11

甲状腺クリーゼの診断基準に含まれないものはどれか.1つ選べ.

A
黄疸
B
38℃以上の発熱
C
中枢神経症状
D
TRAb
E
130回/分以上の頻脈

問題12

48歳女性.甲状腺機能亢進症にて紹介受診となった.動悸を認める.頸部超音波検査では左葉に2 cm大の腫瘤を認めた.本症例で次に施行すべき検査項目はどれか.2つ選べ.

A
抗核抗体
B
TRAb
C
C反応性蛋白(CRP)
D
サイログロブリン抗体(TgAb)
E
放射性ヨウ素取り込み検査(ヨウ素シンチグラフィ)

問題13

潜在性甲状腺機能亢進症について正しいものはどれか.すべて選べ.

A
妊婦にしばしば認められる潜在性甲状腺機能亢進症はヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)による甲状腺刺激作用が原因である.
B
潜在性甲状腺中毒症患者に多く発生すると言われている骨折は,甲状腺機能正常化によりその危険性が軽減することが報告されている.
C
60歳以下でGrade1の潜在性甲状腺機能亢進症患者では,甲状腺機能正常化に向けた積極的治療は通常推薦されない.
D
潜在性甲状腺機能亢進症では正常に比べて,心房細動の発生率が高い.
E
内因性潜在性甲状腺機能亢進症でTRAb陽性の場合には,高率に顕性亢進症を起こすため直ちに抗甲状腺薬による治療を開始すべきである.

問題14

29歳女性.出産後2カ月目から動悸と息切れが生じ,家族に前頸部の腫大を指摘されたため来院した.児に母乳栄養中である.身体所見:洞性頻脈84回/分,甲状腺腫大あり.血液所見:FT4 3.90 ng/dL,FT3>30 pg/mL,TSH 0.003 μIU/mL.本症例で鑑別診断をするために有用な検査はどれか.2つ選べ.

A
TRAb
B
TgAb
C
超音波検査
D
抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)
E
総コレステロール

問題15

甲状腺中毒症のなかで,99mTcO4甲状腺摂取率が高値または正常になる疾患・状態はどれか.2つ選べ.

A
Basedow病
B
無痛性甲状腺炎
C
亜急性甲状腺炎
D
Plummer病
E
過剰の甲状腺ホルモンを含むやせ薬の内服

問題16

橋本病に特徴的な所見はどれか.1つ選べ.

A
びまん性甲状腺腫
B
血清クレアチニン低下
C
血清CK高値
D
甲状腺上聴診での雑音の聴取
E
拡張期血圧の低下

問題17

3歳男子.新生児マス・スクリーニングで甲状腺機能低下症を指摘され,以来ホルモン補充療法を受けている.今回,病型診断のため来院した.甲状腺はびまん性に腫大し,軟らかい.甲状腺ホルモン投与中止後の検査は,FT4 0.4 ng/dL,TSH 56 μIU/mL,Tg 3 ng/mL,TgAb 0.5 IU/mL以下であった.甲状腺ヨード摂取率70%,パークロレイト放出試験は陰性であった.異常が最も疑われる遺伝子はどれか.

A
IGSF1
B
PDS
C
DUOX2
D
DEHAL1
E
Tg遺伝子

問題18

潜在性甲状腺機能低下症によりリスクが上昇する病態はどれか.2つ選べ.

A
流産
B
胎児奇形
C
心房細動
D
骨粗鬆症
E
動脈硬化性疾患

問題19

甲状腺ホルモン不応症(RTH)について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
RTHβは甲状腺ホルモン(TSH)不適切分泌症候群(SITSH)を呈する.
B
RTHβはTSH産生腫瘍との鑑別を要する.
C
RTHαは甲状腺腫を認める.
D
RTHαは甲状腺機能低下症状を呈する.
E
nonTR-RTHとは,TRβに異常が認められないSITSHを呈するRTHである.

問題20

原発性副甲状腺機能亢進症について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
中年以降の女性に好発する.
B
本症患者では高Ca血症による症状をきたすことがある.
C
本症患者は通常高Ca血症と高PTH血症により診断される.
D
本症患者では特に海綿骨量の低下が問題となる.
E
本症患者治療の第一選択は病的副甲状腺の外科的切除である.

問題21

PTH関連蛋白(PTHrP)産生腫瘍患者で,検査所見で血中での低下が認められるものはどれか.すべて選べ.

A
Ca濃度
B
P濃度
C
intact副甲状腺ホルモン(PTH)
D
1,25-水酸化ビタミンD[1,25(OH)2D]
E
25-水酸化ビタミンD[25(OH)D]

問題22

副甲状腺機能低下症に特有の所見はどれか.1つ選べ.

A
中手骨の短縮
B
Chvostek(クヴォスティック)徴候
C
低Ca血症
D
低Mg血症
E
大脳基底核の石灰化

問題23

副腎性Cushing症候群について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
副腎腺腫が原因の場合,腫瘍径は2 cm以上のものが多い.
B
片側副腎摘出術後にも副腎皮質ステロイド薬の内服が必要である.
C
代謝合併症として耐糖能異常を示すことが多い.
D
夜間血中コルチゾール値は5.0 μg/dL以上である.
E
血中ACTH濃度が低値のときは除外できる.

問題24

低レニン・低アルドステロン症をきたすものはどれか.2つ選べ.

A
原発性アルドステロン症
B
Liddle症候群
C
腎血管性高血圧
D
偽性アルドステロン症
E
レニン産生腫瘍

問題25

褐色細胞腫について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
女性に多い.
B
約70%が悪性である.
C
発見時に径1 cm以下の小腫瘍が多い.
D
腫瘍はMRI T2強調像で高信号を示す.
E
CT下生検が診断に有用である.

問題26

慢性副腎不全症について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A
消化器症状や関節痛が認められる場合がある.
B
副腎クリーゼの予防のため,過剰な糖質コルチコイド補充が望ましい.
C
特発性Addison病では自己免疫性甲状腺炎を伴うことがある.
D
血中コルチゾール低値および血中ACTH低値の場合には続発性が疑われる.
E
副腎クリーゼの発症誘因としては感染症が最も多い.

問題27

低K血症を合併する疾患はどれか.2つ選べ.

A
先端巨大症
B
原発性アルドステロン症
C
甲状腺機能低下症
D
副甲状腺機能亢進症
E
Cushing症候群

問題28

内分泌性糖尿病の確定検査診断について誤った組み合わせはどれか.1つ選べ.

A
先端巨大症─ブドウ糖負荷試験
B
Cushing症候群─CRH試験
C
原発性アルドステロン症─カプトプリル試験
D
褐色細胞腫─24時間蓄尿による尿中メタネフリン分画
E
甲状腺中毒症─血中TSH,FT4の同時測定

問題29

主に骨形成の低下によって骨量が減少する疾患はどれか.1つ選べ.

A
Basedow病
B
Cushing症候群
C
原発性副甲状腺機能亢進症
D
Turner症候群
E
プロラクチノーマ

問題30

内分泌偶発腫について正しいものはどれか.1つ選べ.

A
下垂体偶発腫は稀である.
B
甲状腺偶発腫に男女差はない.
C
甲状腺偶発腫では乳頭癌が最も多い.
D
副腎偶発腫のうち10~15%は機能性である.
E
40 mm以上の副腎偶発腫の大半は悪性である.

(解答は本誌掲載)