HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧53巻5号(2016年4月号) 特集の理解を深めるための25題
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特集の理解を深めるための25題


問題1

左房拡大の心電図について誤っているものを2つ選べ.

A 左房が拡大すると心房内の伝導速度は遅くなる.
B V1・P波の後半の陰性部分の幅×高さが0.04 mm/s以上ならば,左房負荷があると思って間違いない.
C 左房拡大があると,Ⅱ誘導のP波に2つのピークが出現することが原則である.
D 巨大左房になると,Ⅱ誘導で幅が広いP波が見られる.
E 左房拡大の所見は心不全治療により消失する.


問題2

PQ間隔について誤っているものを1つ選べ.

A 器質的異常のないPQ間隔延長は経過観察でよい.
B デルタ波を伴うWPW症候群では,PQ間隔は延長する.
C 若年者のPQ間隔延長は迷走神経の緊張によることが多い.
D PQ間隔は,主に房室結節の伝導時間を反映する.
E PQ間隔延長に脚ブロックを合併する場合は,リスクが高い.


問題3

急性下壁梗塞での心電図所見について誤っているのはどれか.

A 房室ブロックを認めた場合は右冠動脈が責任動脈である.
B PQ segmentの異常は心房梗塞に特異的である.
C Qa,Taの異常から心房の障害部位の推定が可能である.
D 洞房ブロックは心房梗塞だけでなく迷走神経興奮でも起こる.
E 洞房ブロック,房室ブロックを認めたら硫酸アトロピンが適応となる.


問題4

無症候の右脚ブロック+左軸偏位+Ⅰ度房室ブロックに対する適切な治療を選べ.

A 一時的ペーシング
B 電気的除細動
C β遮断薬
D 恒久的ペースメーカー
E 経過観察


問題5

心電図上左室肥大の所見を呈することが少ないのはどれか.

A 大動脈弁狭窄症
B 高血圧性心疾患
C 肥大型心筋症
D 心アミロイドーシス
E 大動脈弁閉鎖不全症


問題6

急性心筋梗塞における心電図診断について誤っているのはどれか.

A 右室梗塞の診断には右側胸部誘導が有用である.
B V7誘導はV4と同じ高さの後腋窩線と交差する点で記録する.
C 90%以上の急性心筋梗塞は,標準12誘導心電図で診断できる.
D 急性下壁心筋梗塞ではV7,8,9でST上昇が見られるとLVEFが低値となる.
E 急性心筋梗塞でST上昇とST低下が見られるときはST上昇を重視する.


問題7

急性心筋梗塞における心電図診断について誤っているのはどれか.

A 心電図のみでは診断できない急性心筋梗塞症例がある.
B 来院時の心電図に異常所見が認められない場合でも繰り返し心電図を記録することが重要である.
C 左主幹部病変による急性心筋梗塞の場合,aVR誘導のSTは上昇するが他の誘導ではST部分が必ず低下する.
D 急性下壁心筋梗塞では右側胸部誘導の記録が重要である.
E 急性心筋梗塞の心電図診断においては常にreciprocal changeの有無を確認する意識が重要である.


問題8

急性心筋梗塞における心電図診断について,誤っているのはどれか.

A 急性冠症候群において,無症候時に前胸部誘導の陰性T波や二相性T波が認められる場合,左前下行枝近位部の高度狭窄の可能性が疑われる.
B 前胸部誘導において陰性T波が認められる場合,急性肺塞栓症も鑑別として挙げられる.
C 非ST上昇型急性冠症候群において,ST低下の度合いやST低下を認める誘導の数は,虚血の程度を反映している.
D 左室後壁梗塞をはじめとする左回旋枝領域の心筋梗塞では,ST変化を認めないことが多い.
E 1.0 mm以上のST上昇がaVR誘導に認められる場合,左主幹部や3枝病変などによる急性冠症候群である陽性的中率は98%と高い.


問題9

心電図においてST変化をきたすことが稀である疾患はどれか.1つ選べ.

A 急性心筋梗塞
B COPD急性増悪
C 急性心膜炎
D 肺塞栓
E A型急性大動脈解離


問題10

TAVI周術期に注意しなければならない合併症をすべて選択せよ.

A 弁輪破裂
B 心タンポナーデ
C 房室ブロック
D 大動脈解離
E 大動脈弁閉鎖不全


問題11

急性肺塞栓症において最も陽性率の高い心電図所見はどれか選べ.

A 右脚ブロック
B 右軸偏位
C 肺性P波
D V1-3の陰性T波
E S1Q3T3


問題12

次の誘導のうち,側壁の心電図変化を主に検出できる誘導はどれか.2つ選べ.

A Ⅱ,Ⅲ,aVF
B V1,V2,CM2
C V3,V4,CMf
D I,aVL,CM5
E V5,V6


問題13

動悸が主訴で来院した60代男性の動悸発作時の12誘導心電図を示す(本サイトでは省略).巣状(異所性)心房頻拍と想定した場合,可能性が高いと思われる心房頻拍の起源を選べ.

A 高位右房
B 低位右房
C 高位左房
D 低位左房
E 右房由来の可能性もあれば左房由来の可能性もある.


問題14

逆行性P波について正しいものを1つ選べ.

A Ⅱ誘導で陽性となる.
B 通常型房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT)では,QRS波と重なり認識できないことが多い.
C 房室回帰性頻拍(AVRT)ではQRS波の直前に出現する.
D 非通常型AVNRTではQRS波の直後に出現する.
E 発作性上室性頻拍(PSVT)は必ず心電図上で認識できる.


問題15

顕性WPW症候群の患者に心房細動を認めた場合(図,本サイトでは省略),対応処置として適当なものはどれか.2つ選べ.

A ベラパミルの点滴静注
B Ⅰ群抗不整脈薬の点滴静注
C β遮断薬の点滴静注
D アデノシンの急速静注
E 直流通電


問題16

次の文章で正しいのはどれか.1つ選べ.

A 12誘導心電図でRR間隔が整でなかったら心房頻拍は否定してよい.
B 心房頻拍の際,12誘導心電図では心房波は小さな基線の揺れが見られるのみになる.
C 心房頻拍に対するカテーテル治療は有効性が確立されていなく,その適応はない.
D 12誘導心電図のⅡ誘導はP波形,QRS波形ともに大きくなるためリズムを評価するのに適した誘導である.
E 心房頻拍が長期間持続したため心機能が低下し頻脈誘発性心筋症になった場合には,心房頻拍を洞調律に戻しても心機能の回復はもはや見込めない.


問題17

Brugada症候群の患者に原則として投与してもよい薬剤はどれか.2つ選べ.

A ピルジカイニド(サンリズム®
B シベンゾリン(シベノール®
C ニフェジピン(アダラート®
D ジルチアゼム(ヘルベッサー®
E フレカイニド(タンボコール®


問題18

抗不整脈薬を使用する際に,影響しないと考えられる心電図所見を次のうちから1つ選べ.

A 心拍数
B QRS幅
C QT時間
D ST変化
E PQ間隔


問題19

高血圧,脂質異常症,喫煙の既往のある62歳男性,胸痛にて救急受診.心室細動(VF)で,電気的除細動を施行.除細動後の心電図のV1~V4にてST上昇を認めた. 直ちに考慮すべきものは何か.

A CCU入院
B 電気生理学的検査(EPS)
C 心臓カテーテル検査
D 植込み型除細動器(ICD)
E 着用型自動除細動器(wearable cardioverter-defibrillators)


問題20

搬送時の心電図モニター(図,本サイトでは省略)を示す.この時点で最も適切な対応はどれか.1つ選べ.

A 体外式ペーシング
B 12誘導心電図
C 気管挿管
D 電気的除細動
E 中心静脈カテーテル(セントラルライン)留置


問題21

高カリウム血症の心電図所見で特徴的でないものはどれか.1つ選べ.

A QT時間延長
B 徐脈
C QRS幅増大
D P波消失
E T波増高


問題22

先天性QT延長症候群(LQT)のうち,致死性イベントの発症誘因に主に運動が関与しているタイプはどれか.1つ選べ.

A LQT1
B LQT2
C LQT3
D 上記どれでもない
E 上記すべて


問題23

高カリウム血症の12誘導心電図で特徴的でない所見はどれか.

A T波増高
B 徐脈
C ST変化
D P波消失(減高)
E QRS幅の拡大


問題24

日本の一般住民に対するスクリーニング心電図において,長期心血管予後との関連が報告されていない心電図所見を1つ選べ.

A 上室性期外収縮
B 時計方向回転
C 右脚ブロック
D 左室高電位
E ST-T変化


問題25

右室梗塞についての記述で誤っているのはどれか.

A 右室梗塞ではV2よりV1でSTが上昇しやすい.
B 右室梗塞は右冠動脈の遠位部病変によって起こる.
C 右室梗塞は大動脈解離に合併することがある.
D 右室梗塞に房室ブロックが合併することがある.
E 右室梗塞では血圧が低下することが多い.


(図,解答は本誌掲載)