HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧53巻3号(2016年3月号) 特集の理解を深めるための26題
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特集の理解を深めるための26題


問題1

骨粗鬆症の特徴として誤っているのはどれか.1つ選べ.

A ほとんど症状がないので,実態を明らかにするには医療機関の調査では不十分である.
B 40歳以上で,腰椎か大腿骨頸部のいずれかで骨粗鬆症と判断されたものの数は約1,280万人と推定される.
C 有病者の9割を女性が占める.
D 骨粗鬆症による骨折の発生リスクの評価ツールとしてWHO(世界保健機関)が開発したFRAX®がある.
E 血清ビタミンD低値は骨粗鬆症発生のリスクを上げる.


問題2

高齢の脆弱性骨折について,以下の記述のうちで正しいものはどれか.

A 高齢者の骨折では,大腿骨近位部骨折が最も頻度が高い.
B わが国における大腿骨近位部骨折発生数は,年間約10万例である.
C 大腿骨近位部骨折は,約70%が手術的治療を受ける.
D 欧米や豪州では,大腿骨近位部骨折の発生率が経年的に低下している.
E 脊椎椎体骨折を起こした例は,90%以上が医療機関を受診する.


問題3

サルコペニアに対する予防・治療介入として期待されているビタミンはどれか.1つ選べ.

A ビタミンA
B ビタミンB
C ビタミンC
D ビタミンD
E ビタミンE


問題4

骨粗鬆症検診において正しいものを1つ選べ.

A 健康増進法に基づいて50歳以上の男女を対象に行われる.
B 全国すべての自治体で行われている.
C 受診率は40%前後である.
D 判定には骨密度が基準となる.
E 特定健診(メタボ健診)と併せて行われることが多い.


問題5

ある費用効用分析の結果,骨粗鬆症の治療法Aと対照治療法Bの生涯にわたる費用と効果の期待値は以下の通り推定された.治療法Aの費用は250万円,効果は10.25 QALY.対照治療法Bの費用は150万円,効果は10.00 QALY.対照治療法Bと比較した治療法AのICERとして正しい値はどれか.1つ選べ.

A 100万円/QALY
B 200万円/QALY
C 250万円/QALY
D 400万円/QALY
E 500万円/QALY


問題6

原発性骨粗鬆症の薬物治療の対象とならないのはどれか.1つ選べ.

A 椎体の非外傷性骨折がある.
B 大腿骨近位部の非外傷性骨折を罹患した.
C 非外傷性骨折はなく,DXAによる腰椎の骨密度がYAMの60%である.
D FRAX®による主要骨粗鬆症性骨折の10年確率が18%であり,DXAによる腰椎の骨密度がYAMの83%である.
E DXAによる腰椎の骨密度がYAMの75%であり,母親が骨粗鬆症による大腿骨近位部骨折を罹患したことがある.


問題7

下記の骨粗鬆症の危険因子のなかで,骨密度との関係が最も強い2つの因子を選べ.

A カルシウム摂取
B 飲酒(中等量)
C 年齢
D 運動
E 体重


問題8

転倒の危険因子を選べ.

A 男性
B 転倒の既往
C 多剤服用
D 脳卒中
E 筋力増強


問題9

骨粗鬆症診断において正しいものを1つ選べ.

A 骨粗鬆症診断にはX線による椎体骨折評価および骨密度測定が必須である.
B 椎体の計測に基づく椎体骨折評価法は,見た目で判定する方法よりも,精度・再現性ともに優れる.
C 両側変形性股関節症の場合は,DXA腰椎測定のみの評価でもよい.
D DXA測定において,大動脈石灰化を避けるために,腰椎側方向計測は有用である.


問題10

ビスホスホネート薬を使用した場合に,その治療効果を評価するのに適している骨吸収マーカーはどれか.2つ選べ.

A Ⅰ型プロコラーゲン-N-プロヘプチド(P1NP)
B 骨型アルカリホスファターゼ(BAP)
C Ⅰ型コラーゲン架橋N-テロペプチド(NTX)
D 酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ-5b(TRACP-5b)
E 低カルボキシル化オステオカルシン(ucOC)


問題11

続発性骨粗鬆症について正しいのはどれか.

A 男性骨粗鬆症では続発性は稀である.
B 骨密度が若年成人平均(YAM)の70%以上あれば骨折は起きない.
C 炎症性腸疾患(IBD)に伴う骨粗鬆症はグルココルチコイド投与による.
D 慢性閉塞性肺疾患(COPD)では骨密度の低下とともに骨質の劣化が起こる.
E 原発性胆汁性肝硬変(PBC)に伴う骨粗鬆症はビタミンDにより予防できる.


問題12

骨折リスクの増加が明らかな生活習慣病治療薬はどれか.1つ選べ.

A スタチン
B フィブラート
C カルシウム拮抗薬
D ACE阻害薬
E チアゾリジン


問題13

CKD-MBDに関する以下の記載のうち,誤っているのはどれか.

A CKD患者に骨吸収抑制薬を投与するとPTHが上昇しやすい.
B CKD-MBDでは主に皮質骨の骨密度が低下する.
C CKD患者では低カルシウム血症を生じやすいので,ビタミンD製剤とカルシウム製剤を併用する必要がある.
D CKD自体が骨代謝マーカーに影響するので,PINP,BAP,TRACP-5bなど腎機能に影響を受けない骨代謝マーカーを用いるべきである.
E クレアチニンクリアランスが30 mL/分未満になるとビスホスホネートの治療には慎重になる必要がある.


問題14

ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン(2014年版)について正しいものはどれか.1つ選べ.

A 欧米のガイドラインと同様に,WHO骨折リスク予測ツールFRAX®を使用している.
B 65歳以上で経口ステロイドを3カ月以上使用中の,あるいは使用予定の場合は,薬物療法群となる.
C 腰椎骨密度の結果がないと,骨折危険因子の評価ができない.
D デノスマブ,ミノドロン酸,テリパラチド酢酸塩は,代替え薬である.
E ステロイドを開始しても,早期からガイドラインを遵守する必要はない.


問題15

糖尿病治療薬のなかで,女性において骨折リスクを増大させるのはどれか.1つ選べ.

A スルホニル尿素薬
B ビグアナイド薬
C チアゾリジン薬
D DPP-4阻害薬
E SGLT2阻害薬


問題16

移植後骨粗鬆症の主な原因として当てはまらないものを選べ.

A ステロイド薬内服
B 免疫抑制薬内服
C 透析骨症
D 慢性腎臓病に伴う骨・ミネラル代謝異常(CKD-MBD)
E 甲状腺機能低下症


問題17

骨粗鬆症の栄養管理に関する記述である.正しいものを1つ選べ.

A カルシウムをサプリメントでできるだけ多く摂取するようにする.
B ビタミンDは牛乳・乳製品が良い供給源となる.
C B群ビタミン(B6,B12,葉酸)は骨質の点から有用である.
D ビタミンKは魚類が良い供給源となる.
E 蛋白質はできるだけ制限することが望ましい.


問題18

以下の文のなかで,正しいものを2つ選べ.

A 運動には骨密度を維持する効果はあるが,増加させる効果はない.
B 運動の転倒予防効果に関するエビデンスはない.
C 片脚立ち(片脚起立運動)は,転倒予防効果が報告されている.
D 衝撃運動は,特に大腿骨頸部の骨密度増加効果が期待できる.
E ロコモーショントレーニングは,主に上半身を動かす運動である.


問題19

ビタミンD欠乏くる病で正しいのはどれか.2つ選べ.

A 極端な母乳栄養
B 血清25(OH)D3値の高値
C O脚
D 低ALP血症
E 骨改変像(looser zone)


問題20

次のうちで正しいものはどれか.1つ選べ.

A 2000年代以降に承認された骨粗鬆症治療薬は,臨床試験で大腿骨近位部骨折を抑制することが実証されている.
B 骨吸収抑制薬による骨密度の上昇は骨量増加を反映している.
C 骨粗鬆症治療薬として承認されている選択的エストロゲン受容体修飾薬(SERM)は,子宮においてはアゴニストとして作用する.
D テリパラチドは骨吸収抑制薬である.
E スクレロスチンは骨細胞から分泌され骨形成を抑制する.


問題21

ビスホスホネート薬にあてはまるものはどれか.1つ選べ.

A 骨形成は亢進する.
B 骨芽細胞に取り込まれることで,骨代謝回転を抑制する.
C 食後30分間空けての内服を指導する.
D 侵襲的歯科治療を行う場合は,必ず服薬を中止する.
E 非定型大腿骨骨折は,前駆症状を有することが多い.


問題22

閉経後女性にエストロジェンと黄体ホルモンを補充する閉経期ホルモン療法の大規模臨床試験Women's Health Initiative Estrogen-plus-Progestin Therapy(WHI-EPT)では確認されたが,骨粗鬆症女性にラロキシフェンを投与する大規模臨床試験Multiple Outcomes of Raloxifene Evaluation(MORE)では確認されなかった効果はどれか.1つ選べ.

A 腰椎骨密度の増加
B 椎体骨折の減少
C LDL-コレステロールの低下
D 深部静脈血栓症の増加
E 浸潤性乳癌の増加


問題23

RANKLが発現する細胞はどれか.1つ選べ.

A 骨細胞
B 骨芽細胞
C 軟骨細胞
D 破骨細胞
E 前破骨細胞


問題24

78歳,女性.骨粗鬆症に対してアルファカルシドールの投与を受けていた.1週前より上気道炎症状があり,食事摂取低下があった.昨日より全身倦怠感と食欲不振があり受診した.
血圧 96/50 mmHg.血液生化学所見:Alb 2.5 g/dL,尿酸 7.4 mg/dL,BUN 28 mg/dL,Cr 1.3 mg/dL,Na 141 mEq/L,K 3.7 mEq/L,Cl 97 mEq/L,Ca 10.5 mg/dL,P 4.8 mg/dL.
直ちに行うべき処置はどれか.

A 上部消化管精査
B アルファカルシドールの中止
C 生理食塩水による補液
D アルブミン補充
E 頭部MRI撮影


問題25

血中副甲状腺ホルモン(PTH)が増加しないのはどれか.2つ選べ.

A 橋本病
B 骨粗鬆症
C 慢性腎不全
D ビタミンD欠乏症
E 偽性副甲状腺機能低下症


問題26

骨粗鬆症リエゾンサービスについて正しいものはどれか.2つ選べ.

A サービス提供者は骨粗鬆症マネージャーと呼ぶ.
B 骨粗鬆症マネージャーは手続きをふめば誰でもなれる.
C 骨粗鬆症リエゾンサービスの目的は「治療率」と「治療継続率」の向上である.
D 骨粗鬆症リエゾンサービスは医師には関係ない.
E 再骨折予防は整形外科がすれば十分である.


(解答は本誌掲載)