HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧52巻13号(2015年12月号) 特集の理解を深めるための29題
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特集の理解を深めるための29題


問題1

以下のなかで抗凝固薬はどれか.1つ選べ.

A シロスタゾール
B フォンダパリヌクス
C プラスグレル
D ウロキナーゼ
E オザグレル


問題2

動静脈血栓症の病理や病態で適切なものはどれか.

A アテローム性血栓に血液凝固系は関与しない.
B 静脈血栓に血小板は関与しない.
C 深部静脈血栓は上大静脈系に生じやすい.
D 血流うっ滞や過凝固状態は静脈血栓の成長に重要である.
E ラクナ梗塞は左心房からの血栓塞栓により生じる.


問題3

血栓症をきたす疾患はどれか.1つ選べ.

A von Willebrand病
B 先天性アンチトロンビン欠損症
C 先天性α2-プラスミンインヒビター欠損症
D Bernard-Soulier症候群
E 先天性プラスミノゲンアクチベータインヒビター-1(PAI-1)欠損症


問題4

非弁膜症性心房細動(NVAF)患者に対して脳卒中の発症を予防するために用いられる抗血栓薬はどれか.2つ選べ.

A アスピリン
B ワルファリン
C クロピドグレル
D リバーロキサバン
E フォンダパリヌクス


問題5

抗血栓薬のモニタリングについて誤っているのはどれか.

A 抗血栓薬のモニタリングの目的は,臨床的な薬効評価であり,出血および血栓イベントの予後を判定できることが望ましい.
B 抗血小板薬と抗凝固薬は,同じ止血凝固学的検査で判定できる.
C 抗血小板薬のモニタリングは,主として全血凝集計が用いられているが,その有用性については定まっていない.
D ワルファリン治療のモニタリングについては,プロトロンビン時間国際標準比(PT-INR)が用いられ,2.0~3.0(70歳以上1.6~2.6)が至適治療域である.
E 非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(NOAC)とは,トロンビン阻害薬ダビガトランとXa阻害薬(アピキサバン,リバーロキサバン,エドキサバン)があり,PT-INRやaPTTでモニタリングされている.


問題6

次のうち正しいものを2つ選べ.

A フォンダパリヌクスは直接的抗Xa薬である.
B 低分子量ヘパリンは抗トロンビン作用を示さない.
C ヘパリン自体に直接的抗凝固活性はない.
D アンチトロンビンを介したヘパリンの抗トロンビン作用は可逆的である.
E ヘパリンとアンチトロンビンは1:1で結合する.


問題7

ワルファリン療法が禁忌の疾患・病態を挙げよ.

A 深部静脈血栓症
B 人工弁置換術例
C 心房細動の血栓予防
D 妊婦の抗リン脂質抗体症候群
E 心原性脳梗塞


問題8

非弁膜症性心房細動患者にNOACを処方する際,必ずしも必要でないことは次のうちどれか.2つ選べ.

A 糖尿病の既往を確認する.
B 食事の嗜好を確認する.
C 体重を確認する.
D 現在の服薬内容を確認する.
E 心房細動が発作性か持続性かを確認する.


問題9

抗血小板療法について正しいものを選べ.

A アセチルサリチル酸は投与中止後1日で抗血小板効果が消失する.
B クロピドグレルは投与中止後1日で抗血小板効果が消失する.
C アセチルサリチル酸100 mg投与半日後には十分な抗血小板効果が得られる.
D クロピドグレル75 mg投与半日後には十分な抗血小板効果が得られる.
E 健常な60歳男性は100 mg/日のアセチルサリチル酸を服用すべきである.


問題10

血栓溶解療法時に至適投与量(必要量と安全量の目安)のマーカーとなりうる検査項目はどれか.1つ選べ.

A 部分活性化トロンボプラスチン時間(aPTT)
B プロトロンビン時間(PT)
C フィブリノーゲン抗原量
D FDP
E α2antiplasmin(α2plasmin inhibitor)活性


問題11

急性冠症候群への抗血小板療法について正しいものを1つ選べ.

A アスピリンの咀嚼投与
B プラスグレルとクロピドグレルの併用投与
C プラスグレルに比してクロピドグレルは作用発現が迅速である.
D プラスグレルに比してクロピドグレルは抗血小板作用の個人差が小さい.
E PCI術後の心房細動患者で抗血小板薬があれば抗凝固薬は不要である.


問題12

冠動脈疾患を有する患者の治療として最も適切な組み合わせはどれか.
①レニン・アンギオテンシン・アルドステロン系阻害薬
②アスピリン
③β遮断薬
④Ca拮抗薬
⑤HMG還元酵素阻害薬

A ① ② ③
B ① ② ④
C ① ④ ⑤
D ② ③ ⑤
E ③ ④ ⑤


問題13

83歳,男性.脂質異常症にて近医に1カ月に1回通院しているが,血圧や糖尿コントロールなどで異常を指摘されたことはなく,特に既往歴はない.ある日の診察で脈拍が不整であることを指摘され,心電図を記録したところ心房細動であった.本人に自覚症状はなく,心房細動の発症時期は不明である.身長162 cm,体重57 kg,血圧118/64 mmHg,血清クレアチニン値1.02 mg/dL,貧血なし(Cockcroft-Gault計算式にてCCr 44.8 mL/min).最も推奨される抗凝固薬は次のうちどれか.1つ選べ.

A ダビガトラン150 mg×2/day
B リバーロキサバン10 mg/day
C アピキサバン2.5 mg×2/day
D ワルファリン
E エドキサバン60 mg/day


問題14

弁置換術後の抗凝固療法について,以下のなかから間違いを選べ.

A 機械弁を用いた弁置換術後はワルファリンを目標INR2.0~3.0で投与するべき.
B リスクの低い大動脈弁置換術後では目標INRを2.0~2.5に下げてもよい.
C ワルファリンに加えて,アスピリンの併用は血栓のリスクの高い患者に行う.
D 生体弁や弁形成術後でも術後約3カ月はワルファリンを投与すべきである.
E 弁置換術後は第Ⅹ因子阻害薬などのNOACをワルファリンの代わりに使用してもよい.


問題15

70歳男性.発作性非弁膜症性心房細動と高血圧を有し,3年前に脳梗塞の既往がある.腎機能は良好でクレアチニンクリアランスは74 mL/minである.適切な抗血栓療法はどれか. 1つ選べ.

A クロピドグレル
B アスピリン
C シロスタゾール
D エドキサバン
E ヘパリン


問題16

rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法について正しい選択肢はどれか.1つ選べ

A 本邦でのアルテプラーゼの投与量は0.6 mg/kgである.
B 本邦のrt-PA市販後調査では,症候性頭蓋内出血が10%に認められた.
C 患者を発見した時刻が脳梗塞発症時刻である.
D rt-PA静注療法は重症の脳梗塞患者に対して適応がある.
E 非ビタミンK阻害経口抗凝固薬(non-vitamin K antagonist oral anticoagulants:NOAC)服用中の患者はrt-PA静注療法の適応外である.


問題17

周術期の抗凝固療法に関する次の記載のなかで誤っているものはどれか.2つ選べ.

A 低用量未分画ヘパリン法は,未分画ヘパリン5,000単位を1日2~3回皮下注する.
B 静脈血栓塞栓症予防に用いる用量調節ワルファリン法は,PT-INRを2.0~3.0に調節する.
C フォンダパリヌクスとエドキサバンには中和剤が存在しない.
D エノキサパリンは,未分画ヘパリンの分子量を小さくしたものである.
E 周術期の静脈血栓塞栓症を完全に予防するには,抗凝固療法しか方法はない.


問題18

静脈血栓塞栓症の治療のために使用される抗凝固薬ではないものはどれか.1つ選べ.

A 未分画ヘパリン
B フォンダパリヌクス
C ウロキナーゼ
D エドキサバン
E ワルファリン


問題19

急性肺血栓塞栓症に対する血栓溶解療法について,誤っているのはどれか.

A massive群に対しては血栓溶解療法は推奨される.
B non-massive群に対しては血栓溶解療法は推奨されない.
C 保険適用とされている血栓溶解薬はモンテプラーゼとウロキナーゼである.
D 血栓溶解療法は自覚症状の早期改善に効果がある.
E 出血性合併症低減のため,低用量の血栓溶解療法が試みられている.


問題20

末梢動脈疾患(PAD)について正しいものを選べ.

A 跛行症例に対する薬物療法はシロスタゾールが第一選択である.
B 重症虚血肢に対する初期治療は薬物療法である.
C 血管造影で狭窄があれば無症候性でも予防的に血管内治療が有効である.
D drug eluting stent留置後,約半年間,抗血小板薬2剤併用療法が推奨されている.
E 自家静脈グラフトの代用血管は小伏在静脈が多く用いられる.


問題21

45歳の女性,動悸と四肢の点状出血を主訴に来院した.血液所見:赤血球230×104/μL,Hb 6.1 g/dL,Ht 20.1%,白血球数2,100/μL(分画で前骨髄球61%),血小板数0.9×104/μL,PT 24.2秒,APTT 31.5秒,血漿フィブリノゲン80 mg/dL,CRP陰性であった.この疾患にみられる検査所見はどれか.2つ選べ.

A AT 98%
B 血漿FDP 79.6 mg/L
C PIC 0.9 μg/mL
D D-ダイマー0.8 μg/mL
E TAT 2.9 μg/mL


問題22

抗血栓療法の適応となるのはどれか.2つ選べ.

A 抗カルジオリピン抗体が弱陽性の関節リウマチ患者
B 活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)延長の脳梗塞既往患者
C 抗カルジオリピン抗体陽性の妊婦
D 急性感染症後に抗カルジオリピン抗体が2週間中等度陽性の男児
E 抗カルジオリピン抗体弱陽性の深部静脈血栓症患者


問題23

妊娠中の静脈血栓症の予防として正しくないものはどれか.1つ選べ.

A 足の背運動
B 十分な水分補給
C 弾性ストッキング着用
D ワルファリン内服投与
E 未分画へパリン皮下注射


問題24

癌に合併する静脈血栓症の特徴で間違っているのはどれか.

A 癌に伴う血栓塞栓症は癌患者特有の合併症や脆弱性がその発症に関与している.
B 癌における静脈血栓症は癌を有しない症例に比較して再発率が高いだけでなく,重篤な出血の頻度が高いため注意を要する.
C 癌に伴う静脈血栓症の増加には最近の化学療法の進歩が影響している.
D 静脈血栓症における治療は癌特有のものであり,新抗凝固療法は無効である.
E 癌に発症した血栓塞栓症に対する抗凝固療法は癌の再発や転移を予防する効果はない.


問題25

大手術の周術期抗血栓薬管理で不適当なものはどれか.1つ選べ.

A 大手術術前の大原則は抗血栓薬の中止である.
B ワルファリンの中止は術前3~5日前である.
C 抗血小板薬については,大手術の術前7~14日からのアスピリン,チクロピジン,クロピドグレル中止,3日前からのシロスタゾール中止である.
D ヘパリン置換をすることで出血リスクは増大しないが,血栓症発症を抑えることができる.
E NOAC使用患者では術前24~48時間前の中止が望まれるが,腎機能を勘案してさらに長期の中止が必要な場合もある.


問題26

70歳,男性.心房細動,高血圧にて通院中.3年前にTIAの既往があり,以後ワルファリン内服中である.貧血の原因精査にて上部消化管内視鏡検査を施行され,体上部小彎に病変を認め,生検にて高分化型腺癌の診断となった(写真).本日の採血ではPT-INRは2.0であった.治療方針として適切なものはどれか.1つ選べ.

写真は本誌をご覧ください

A ワルファリン内服継続のままESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)を行う.
B 6カ月待ったうえでワルファリンを治療日4日前から休薬してESDを行う.
C 4日前からワルファリンを休薬としてESDを行う.
D ワルファリン休薬のうえでヘパリン置換してESDを行う.
E アスピリン内服に置換してESDを行う.


問題27

本邦の「科学的根拠に基づく抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン(2015年改訂版)」では,PT-INR値がいくつまでならワルファリン継続下に抜歯が可能としているか.1つ選べ.

A 1.5以下
B 2.0以下
C 2.5以下
D 3.0以下
E 3.5以下


問題28

透析患者の抗血栓療法として間違っているのはどれか.

A 透析患者は心房細動罹患率が高い.
B 血液透析患者では,一般住民と比較して脳出血のリスクが高い.
C 心房細動を有する血液透析患者に対してワルファリンを投与すると,脳出血のリスクが増加する.
D 血液透析患者にワルファリンを投与する場合はINRを2~3に維持する.
E 血液透析患者に対して新規経口抗凝固薬の適応はない.


問題29

心房細動合併PCI施行症例に対するWOEST試験では,抗凝固+アスピリン+チエノピリジンの3剤併用群と抗凝固+チエノピリジンの2剤群で比較が行われた.3剤併用群で有意に優れていた点はどれか.(複数選択可)

A 総死亡
B 心筋梗塞
C 脳卒中
D 出血性合併症
E なし


(解答は本誌掲載)