HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧52巻9号(2015年8月号) 特集の理解を深めるための28題
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特集の理解を深めるための28題


問題1

3カ月続く乾性の咳嗽を主訴に来院した32歳女性.発熱,喘鳴,呼吸困難なし.喫煙歴,既往歴なし.SpO2 98%.胸部の聴診,胸部単純X線撮影で異常所見を認めない.次に行うべき評価・検査として適切でないものはどれか.

A 気管支鏡検査
B スパイロメトリー
C 胃食道逆流症(GERD)症状の問診票
D 呼気中NO濃度測定
E 副鼻腔単純X線撮影


問題2

ブロンコレアをきたす疾患を2つ選べ.

A 喘息
B 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
C 間質性肺炎
D 気管支拡張症
E 気管支肺胞上皮癌


問題3

突然の呼吸困難を訴えて外来受診した患者への対応で,正しいものを2つ選べ.

A 急性発症なので自然軽快に期待し,まず1週間自宅で様子をみるように説明した.
B 聴診で左呼吸音が消失しており,胸郭運動も左側が低下していたため過換気発作と診断した.
C 食事を契機に呼吸困難が出現したが,胸部X線で気道異物を示唆する所見がなかったため,食餌による気道閉塞を否定した.
D 呼吸促拍,顔面蒼白,発汗多量でSpO2(室内気)79%であったため,酸素投与開始し,呼吸循環動態および原因に対する評価を開始した.
E 緊張性気胸であったので,可及的速やかにドレナージを行った.


問題4

65歳男性.58歳時から慢性閉塞性肺疾患と診断され治療を受けていた.2カ月前から増悪を繰り返すようになり,ステロイド内服で治療されていた.定期受診時の胸部X線写真撮影のため待機していたところ,咳嗽後に突然左胸痛と呼吸困難を訴えた.
既往歴:56歳 左自然気胸,57歳 右肺癌(右肺癌手術,術後化学療法)
身体所見:脈拍数150/分,収縮期血圧60 mmHg,酸素飽和度80%(室内気),胸部聴診にて左肺呼吸音減弱を認める.
最も考えられる診断はどれか.

A 心筋梗塞
B 食道破裂
C 緊張性気胸
D 縦隔気腫
E 大動脈解離


問題5

58歳男性,慢性咳嗽を主訴に来院.身体所見上,ばち状指がみられた.原因として可能性が低いものを2つ選べ.

A 気管支拡張症
B 気管支喘息
C 肺線維症
D 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
E 肺癌


問題6

胸部単純X線写真正面像に関して正しいものはどれか.

A 読影において全体を概観することは重要でない.
B 肺は横隔膜ドームより下方まで存在する.
C 左右主気管支の内腔は通常同定できない.
D 肺門影は正常では右が高く,大きさ,透過性にも左右差がみられる.
E 全肺の半分以上が解剖学的死角に存在する.


問題7

閉塞性換気障害をきたす疾患を2つ選べ.

A 気管支喘息
B 慢性閉塞性肺疾患
C 過敏性肺炎
D 特発性間質性肺炎
E 胸水貯留


問題8

室内気吸入時の血液ガス分析結果が以下の場合,肺胞気動脈血酸素分圧較差(AaDO2)はいくつか.
pH 7.325,PaCO2 56 mmHg,PaO2 46 mmHg,HCO3- 28 mEq/L.

A 12 mmHg
B 26 mmHg
C 34 mmHg
D 48 mmHg
E 56 mmHg


問題9

強制オシレーション法,モストグラフについて,正しい記載はどれか.

A 被験者の努力呼気が必要で,小児や高齢者の検査には不向きである.
B 検査結果の各パラメーターは,スパイロメトリーのデータと一致する.
C COPDのスクリーニングとしては,感度と特異度に課題がある.
D 喘息患者では,1秒量(FEV1.0)と呼吸抵抗(Rrs)が最も強い相関関係にある.
E ガイドラインで喘息の診断と気道過敏性の基準に採用されている.


問題10

呼気一酸化窒素濃度(FeNO)測定について,誤っているものはどれか.

A 気管支喘息と慢性閉塞性肺疾患(COPD)の鑑別に有用である.
B 気道の好酸球性炎症を反映している.
C 喫煙で低下する.
D アレルギー性鼻炎患者では高値になる.
E 年齢や体格に左右されない.


問題11

気管支喘息患者の気道炎症の検査として,誤っているものはどれか.

A 誘発喀痰
B 呼気凝縮液
C 胸部CT
D 呼気一酸化窒素濃度
E 肺音解析


問題12

吸入薬について,正しいものはどれか.

A DPI製剤は吸入に同調の必要がないため,ほとんどの高齢者が簡単に吸入できる.
B pMDI製剤は,吸入に同調できない場合は使用できない.
C DPI製剤は,ゆっくり深く吸入する.
D pMDI製剤は,勢いよく深く吸入する.
E 繰り返し吸入指導することが重要である.


問題13

呼吸器疾患に対する抗菌薬治療について,正しいものはどれか.

A 効果を高めるためには,どの系統の薬剤でも1回投与量の増量が適している.
B 急性上気道炎では積極的に抗菌薬を投与すべきである.
C 慢性呼吸器病変の二次感染は,緑膿菌感染のリスクを考慮する必要がない.
D 市中肺炎の外来治療では,ニューキノロン系薬が第一選択である.
E 医療・介護関連肺炎のA群では,外来治療が推奨されている.


問題14

アスピリン喘息が疑われる気管支喘息発作患者に対して,コハク酸に対するアレルギーが懸念されるために投与を避けたほうがよい製剤は次のうちどれか.

A デカドロン®
B リンデロン®
C プレドニン®
D ソルメドロール®
E ハイドロコートン®


問題15

次の患者のなかで,現時点の診療報酬上,在宅酸素療法の適応にならない患者はどれか.

A 安静時PaO2=52 Torr,PaCO2=48 TorrのCOPD患者
B 軽歩行でSpO2:15%低下の肺線維症患者(安静時PaO2=59 Torr)
C 夜間SpO2測定で睡眠中10%以上低下する時間が1時間以上ある肺結核後遺症患者(安静時PaO2=76 Torr)
D 肺動脈圧が56 mmHgの肺高血圧症を呈する強皮症患者
E 夜間チェーン・ストークス呼吸あり,また睡眠時ポリグラフィーによる無呼吸指数25の慢性心不全患者


問題16

日本で未承認のワクチンはどれか.

A 肺炎球菌
B 髄膜炎菌
C ロタウイルス
D インフルエンザ菌b型
E インフルエンザウイルス


問題17

慢性閉塞性肺疾患(COPD)における呼吸リハビリテーションの効果として,エビデンスが低いものはどれか.

A 運動耐容能の改善
B 生存率の改善
C 呼吸困難の軽減
D 健康関連QOLの向上
E 不安・抑うつの軽減


問題18

次の検査所見のうち,気管支喘息を示唆する所見はどれか.

A HRCT(high resolution CT)でlaw attenuation areaがみられる.
B 気管支拡張薬吸入前後で1秒量が250 mL増加し,かつ15%増加した.
C 気道過敏性が陰性であった.
D CTで小粒状陰影と気管支拡張所見がみられた.
E 気管支拡張薬吸入後の呼吸機能検査で閉塞性換気障害がみられた.


問題19

慢性閉塞性肺疾患(COPD)の診断と外来でのマネジメントについて,間違っているものを2つ選べ.

A 労作時呼吸困難は肺の動的過膨張と関連が深い.
B 高分解能CTでの低吸収域(LAA)所見は診断に必須である.
C 気管支拡張薬は薬物療法の中心である.
D 軽症例からLAMA/LABA配合剤やICS/LABA配合剤を用いる.
E 日常活動性の向上と維持は重要である.


問題20

A群β溶血性連鎖球菌による咽頭炎の症状として頻度が低いものはどれか.

A 熱
B 全身倦怠感
C 白苔を伴う扁桃の発赤
D 圧痛を伴う前頸部リンパ節腫脹
E 咳嗽


問題21

市中肺炎の外来診療について正しいものを2つ選べ.

A 咳嗽がなければ,肺炎は否定的である.
B 胸部聴診所見で異常所見がなければ,肺炎は否定的である.
C 初診時にCRPが高値でなければ,肺炎は否定的である.
D 重症度分類による軽症例では外来治療が可能である.
E 治療開始後は3日目を目安に再受診させる.


問題22

医療・介護関連肺炎(NHCAP)の外来診療に関して正しいものはどれか.

A 市中肺炎(CAP)とほぼ同様な予後・原因菌を考えてよい.
B 明確な重症度の目安がある.
C マクロライド系薬を中心とした抗菌薬治療が勧められる.
D レスピラトリーキノロン薬が第一選択として望ましい場合もありうる.
E 13価肺炎球菌結合型ワクチン(PCV13)と23価肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV23)の両者が定期接種の適応となった.


問題23

肺MAC(M. avium complex)症の多剤併用治療において,通常使用されないものを2つ選べ.

A クラリスロマイシン
B エタンブトール
C イソニアジド
D ピラジナミド
E ストレプトマイシン


問題24

特発性肺線維症(IPF)について正しいものはどれか.

A 早期から肺活量が低下する.
B 診断には外科的肺生検が必須である.
C 経過中に肺癌や肺高血圧症の合併に注意が必要である.
D 薬物治療としては,ステロイド薬が第一選択薬である.
E 急性増悪は比較的予後良好である.


問題25

閉塞性睡眠時無呼吸症候群の身体所見で間違っているものを2つ選べ.

A 下顎突出
B 小額
C 軟口蓋低位
D 舌後退
E 咽頭腔拡大


問題26

肺高血圧症の存在と直接関連のない症状あるいは所見はどれか.

A 労作時呼吸困難
B 1秒量の低下
C 肺胞気道脈血酸素分圧較差(A-aDO2)の開大
D 肺拡散能力(DLco)の低下
E 6分間歩行距離の短縮


問題27

以下のうち,外来での通院加療が可能なものはどれか.

A 虚脱率15%の外傷性気胸
B 血気胸
C 両側同時気胸
D 3日前発症の軽度気胸
E 緊張性気胸


問題28

肺癌の診療を外来で行う際に,適切でないものはどれか.

A 抗癌剤による嘔吐は急性嘔吐,遅発性嘔吐に分けられる.
B 肺癌患者に対する在宅酸素療法は外来においても導入可能である.
C 疼痛に使用する強オピオイドには有効限界があり,増量の必要はない.
D 制吐剤の適切な使用がなされればシスプラチンの投与は外来で施行可能である.
E 条件を満たす外来化学療法室を開設・運用すれば外来化学療法加算を請求できる.


(解答は本誌掲載)