HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧52巻8号(2015年7月号) 特集の理解を深めるための26題
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特集の理解を深めるための26題


問題1

一次性頭痛の診断に有用なものはどれか.2つ選べ.

A 脳波
B 脳MRI
C 髄液検査
D 頭痛問診票
E 頭痛ダイアリー


問題2

頭痛診療において画像検査の必要性が低いのはどれか.1つ選べ.

A 50歳以降に初発した頭痛
B 息こらえをすると生じる頭痛
C うっ血乳頭を伴う頭痛
D 肩凝りを伴う頭痛
E 突然発症した頭痛


問題3

反復性群発頭痛の除外診断となりえない頭痛を1つ選べ.

A 副鼻腔炎による頭痛
B 三叉神経痛
C 脳下垂体微小腺腫による頭痛
D てんかん性頭痛
E 髄膜炎による頭痛


問題4

67歳の女性.誘因なく左右を向くたびに激しい頸部痛を自覚し,発熱を認めた.
一般身体所見 体温38.4℃,頸部の前後屈は可能だが,回旋で可動域制限のある頸部痛を認める.
神経学的所見 明らかな異常なし.
血液所見 WBC 13,500/μL,赤沈28 mm(1時間値),58 mm(2時間値),CRP 7.56 mg/dL.
この患者で診断に最も有用な画像検査はどれか.1つ選べ.

A 頸椎単純X線
B 頸椎単純CT
C 頸椎単純MRI
D 頸椎MRミエログラフィー
E 頭部MRA


問題5

くも膜下出血(SAH)に関して正しいものはどれか.1つ選べ.

A 頭痛は数時間増悪する.
B Jolt accentuation testは診断に有用である.
C 頭部CTは12時間以降ならほぼ100%診断できる.
D 髄液キサントクロミーは4時間以内にほぼ100%となる.
E 頭部MRIではFLAIR法が診断に有用である.


問題6

髄膜炎の診断で最も感度が高い症状・徴候はどれか.

A 羞明
B Brudziński徴候
C Kernig徴候
D 項部硬直
E Jolt accentuation


問題7

くも膜下出血の診断において最も感度が高い項目はどれか.

A 画像診断
B 項部硬直
C 雷鳴頭痛
D トリプタン無効
E 腰椎穿刺


問題8

椎骨動脈解離について,誤っているものを2つ選べ.

A 頭頸部動脈解離は50歳以下の若年脳卒中の原因として重要で,本邦では頭蓋内椎骨脳底動脈が多い.
B 頸部の無理な伸展や,マッサージなどによる物理的刺激が誘因になることがある.
C 大部分は拍動性の頭痛を呈すため,片頭痛などの一次性頭痛と誤診されることもある.
D 頭痛は頭蓋内圧亢進を反映して,起床時に現れ,持続的で咳や力みで増強することがある.
E 頭痛のみでの発症の報告数は,椎骨動脈解離に対する関心の高まりや画像診断の向上により増加している.


問題9

雷鳴頭痛に関する記載で正しいものはどれか.1つ選べ.

A 突然に発症し1~2時間でピークに達する重度の頭痛の総称である.
B 原因疾患のない一次性雷鳴頭痛の頻度が高い.
C 雷鳴頭痛の原因としてくも膜下出血が最も多い.
D 繰り返す雷鳴頭痛では,可逆性脳血管攣縮症候群(RCVS)の頻度が高い.
E RCVSにおける頭痛は血管攣縮の程度に応じて生じる.


問題10

側頭動脈炎で正しいものはどれか.1つ選べ.

A 側頭動脈炎の痛みは三叉神経第一枝の分布に一致する.
B 側頭動脈炎は30~40歳台の壮年期に高率に発症し,東洋人,特に日本人に多い.
C 側頭動脈炎は高安動脈炎と同様に大型血管炎に分類され,腹部大動脈瘤など大血管の炎症も報告されている.
D 側頭動脈炎の治療を行うために,診断のための生検が必須である.
E 側頭動脈炎の合併症である一過性黒内障(amaurosis fugax)と顎跛行(jaw claudication)は,それぞれ眼痛をきたす急性緑内障と下腿動脈の炎症による間欠性跛行を意味する.


問題11

トリプタンについて正しいのはどれか.1つ選べ.

A 5HT1B/1D受容体のアンタゴニストである.
B 典型的前兆を伴う片頭痛には禁忌である.
C クリアミンA®(酒石酸エルゴタミン・無水カフェイン・イソプロピルアンチピリン合剤)との併用は禁忌である.
D 頭痛の重症度が頂点に達した時に服用する.
E ナラトリプタンは半減期が短い.


問題12

片頭痛の予防薬について誤りはどれか.1つ選べ.

A 頭痛発作の頻度が高い場合,急性期治療薬が使用できない場合が予防療法の適応となる.
B 頻用される薬剤は,塩酸ロメリジン,アミトリプチリン,プロプラノロール,バルプロ酸である.
C 予防薬は少量より開始し,効果発現まで増量する.
D いずれの予防薬も効果発現に2~3カ月を要する.
E 妊娠中に安全性の高い予防薬は,プロプラノロールとバルプロ酸である.


問題13

小学6年男児,体重35 kg,前兆のない片頭痛発作で時に嘔吐があり,月に1~2回学校を欠席する,不適切な治療はどれか.1つ選べ.

A 鎮痛薬のイブプロフェンまたはアセトアミノフェンを処方する.
B 塾通いで就寝時刻が遅いので,睡眠時間を増やすよう指導する.
C 鎮痛薬が無効の時や嘔吐がある時は,スマトリプタン点鼻薬を十分注意して使用する.
D 適応外使用であっても,小児片頭痛においてトリプタンは第一選択薬である.
E 薬剤が効かない場合,頭痛の診断を見直す.


問題14

群発頭痛の急性期治療の第1選択はどれか.2つ選べ.

A アセトアミノフェン内服
B 純酸素吸入
C スマトリプタン皮下注
D ベラパミル静注
E メチルプレドニゾロン静注


問題15

三叉神経・自律神経性頭痛に関して正しいのはどれか.1つ選べ.

A 群発頭痛の典型的な発作持続時間は6~12時間である.
B 群発頭痛患者は発作中に安静状態をとる傾向が強い.
C 発作性片側頭痛の診断には,インドメタシンの反応性確認が必要である.
D 短時間持続性片側神経痛様頭痛発作の疼痛は,三叉神経眼神経(第1枝)領域に限局する.
E 持続性片側頭痛では,1週間以上の寛解期が存在する場合に寛解型サブタイプと診断する.


問題16

薬剤の使用過多による頭痛〔薬物乱用頭痛(medication-overuse headache:MOH)〕の原因薬物は以下のどれか.2つ選べ.

A 大麻
B トリプタン
C ロキソプロフェン
D リスペリドン
E メチルフェニデート


問題17

次のうち誤っているものを1つ選べ.

A 頸椎の変形によって頭痛が生じることは決してない.
B 頸椎環軸椎亜脱臼では,後頭部に頭痛が生じることが多い.
C 副鼻腔炎によって頭痛が生じることがある.
D 弧発性の骨腫瘍では,腫瘍局所に一致した領域に痛みが生じることが多い.
E 茎状突起過長症では,頸部痛を生じることがある.


問題18

急性緑内障発作の症状で誤っているのはどれか.1つ選べ.

A 充血
B 眼痛
C 頭痛
D 飛蚊症
E 目のかすみ


問題19

片頭痛に関連するめまいについて誤っているものはどれか.1つ選べ.

A 男性に多い.
B 回転性めまいや浮動性めまいを反復する.
C 耳の症状を訴えることもある.
D めまいの最中に光過敏などがあることが多い.
E 乗り物酔いと関連が深い.


問題20

顎関節症による頭痛の記述について誤っているものを2つ選べ.

A 頭痛は顎関節症の発症と時期的に一致して増悪する.
B 頭痛が片側に生じた場合,顎関節症の患側と同側である.
C 顎関節症の疼痛の発生源は骨関節炎,筋,筋膜疼痛などである.
D 顎関節症による頭痛は筋緊張の結果として生じるため,片頭痛とオーバーラップする.
E 顎関節症の主体が筋性の場合には片側,関節性では両側に頭痛が生ずる.


問題21

片頭痛と共存症としてのうつ病との関係において誤っているものはどれか.1つ選べ.

A 片頭痛が共存症を起こす.
B 共存症が片頭痛を起こす.
C 共通のリスク要因により双方が起こる.
D ある要因が特定の脳の状態を惹起し,片頭痛と共存症を起こす.
E 偶発的に共存することはない.


問題22

三叉神経痛の原因疾患として適当でないものはどれか.1つ選べ.

A Ramsay Hunt症候群
B 多発性硬化症
C Raeder症候群
D Fisher症候群
E Wallenberg症候群


問題23

片頭痛患者で脳梗塞の危険因子となりうる可能性のあるものはどれか.2つ選べ.

A 低血圧
B 高尿酸血症
C 喫煙
D 経口避妊薬
E 貧血


問題24

片頭痛治療薬で妊娠中禁忌となるものはどれか.2つ選べ.

A バルプロ酸
B ドンペリドン
C スマトリプタン
D メトクロプラミド
E アセトアミノフェン


問題25

次の頭痛と睡眠に関する記述のうち誤りはどれか.1つ選べ.

A 睡眠をとりすぎたことで頭痛が生じることは通常ない.
B 睡眠時無呼吸症候群では起床時に頭痛を生じる.
C 群発頭痛では睡眠時無呼吸症候群と関連がある.
D 片頭痛ではむずむず脚症候群の合併が健常者に比べて多い.
E 睡眠習慣の改善により頭痛が良くなる場合がある.


問題26

カルシトニン遺伝子関連ペプチド(calcitonin gene-related peptide:CGRP)について,誤っているものを2つ選べ.

A 血管拡張作用を有する.
B 受容体はRAMP1およびRCPの2つのサブユニットから構成される.
C 片頭痛と健常者の間で発作時に血中濃度の相違が報告されている.
D CGRP受容体拮抗薬は,わが国において片頭痛に対する保険適用がある.
E 抗CGRP抗体および抗CGRP受容体抗体は片頭痛に対する臨床試験が行われている.


(解答は本誌掲載)