HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧52巻1号(2015年1月号) 特集の理解を深めるための29題
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特集の理解を深めるための29題


問題1

65歳,男性.自宅で倒れて意識障害に陥っているため家族が救急要請した.病院到着時,JCS-300,自発呼吸なし,頸動脈触知せず.初期心電図では無脈性電気活動を認めた.以下の薬剤のうち,初期投与として使用できる薬剤はどれか.1つ選べ.

A アミオダロン
B リドカイン
C マグネシウム
D バソプレシン
E ドパミン


問題2

急性心不全治療のうち,正しいのはどれか.1つ選べ.

A Nohria-Stevenson分類は,Swan-Ganzカテーテルを用いて評価する.
B うっ血解除の過程で,低心拍出が露呈するかもしれない.
C Clinical Scenarioは,心不全急性期の心拍数で分類する.
D フロセミドでは,高K血症に留意する.
E 肺うっ血による低酸素血症に対しては,フロセミド静注が最も改善効果が早い.


問題3

下記,抗血小板薬のうち,チエノピリジン系薬剤ではないものはどれか.2つ選べ.

A シロスタゾール
B プラスグレル
C クロピドグレル
D チクロピジン
E アスピリン


問題4

血圧正常で心エコーで右心負荷所見もなく,心筋障害マーカーも正常の急性肺血栓塞栓症患者に対して初期治療として用いる薬剤として適切なものはどれか.1つ選べ.

A アスピリン
B モンテプラーゼ
C ウロキナーゼ
D フォンダパリヌクス
E ワルファリン


問題5

慢性虚血性心疾患に対するβ遮断薬の投与が推奨されないのはどれか.1つ選べ.

A 頻脈性不整脈合併例
B 心不全のある糖尿病合併例
C 低左心機能の陳旧性心筋梗塞例
D 低左心機能で心不全のある三枝病変例
E 左室機能が保たれている冠血行再建術後例


問題6

合併症を有する高血圧患者に対する降圧薬の選択として誤りはどれか.

A 左室肥大:β遮断薬
B 誤嚥性肺炎:ACE阻害薬
C 蛋白尿を認めるCKD:Ca拮抗薬
D 糖尿病:ARB
E 骨粗しょう症:サイアザイド系利尿薬


問題7

心房頻拍のレートコントロール薬として誤っているものはどれか.1つ選べ.

A ジゴキシン
B ベラパミル
C ジルチアゼム
D ピルジカイニド
E ビソプロロール


問題8

心房細動の診療において正しいものを2つ選べ.

A 心房細動では,特にCHADS2低スコアにおいて脳梗塞・全身性塞栓症が問題となる.
B 僧帽弁狭窄症と人工弁患者を除いた心房細動を非弁膜症性心房細動と定義する.
C 心房細動の心拍数調節において,ビソプロロールは心不全症例に対して禁忌である.
D 心房細動の心拍数調節において,ビソプロロールは喘息症例に対して禁忌である.
E 有症候性の発作性心房細動が抗不整脈薬でコントロールできない場合,カテーテルアブレーションの良い適応である.


問題9

心室性不整脈の薬物治療に関して正しいものはどれか.1つ選べ.

A 基礎心疾患がない症例において非持続性心室頻拍(非持続性VT)が認められる場合は,抗不整脈薬の投与を考慮する.
B 拡張型心筋症で上室性期外収縮(PVC)が認められる場合には,生命予後改善のために抗不整脈薬の投与を考慮する.
C 基礎心疾患を有する症例で非持続性VTが認められたら,β遮断薬よりも抗不整脈薬の投与を優先する.
D アミオダロンは200 mg/日であれば,長期に使用しても副作用が出現することは少ない.
E 変行伝導を伴う上室性頻拍とVTの鑑別で悩む時はアデノシン三リン酸ナトリウム水和物(アデホス®注)を投与してみる.


問題10

症状を有する拡張型心筋症に対する治療として正しくないものは次のどれか.1つ選べ.

A Ca拮抗薬の投与
B 心臓再同期療法
C β遮断薬の投与
D 補助人工心臓治療
E ACE阻害薬の投与


問題11

下肢末梢動脈疾患(PAD)による間欠性跛行患者の跛行距離改善に効果が期待できる薬剤を2つ選べ.

A クロピドグレル
B シロスタゾール
C サルポグレラート
D ベラプロスト
E カルニチン


問題12

抗血小板薬について正しい組み合わせを1つ選べ.

A アスピリン:チエノピリジン系薬剤
B プラスグレル:シクロオキシゲナーゼ(COX-1)阻害
C チカグレロル:不可逆的阻害
D プラスグレル:ADP受容体P2Y12拮抗薬
E クロピドグレル:トロンボキサンA2(TXA2)産生抑制


問題13

次のうち冠攣縮性狭心症の治療薬として適切でないものはどれか.1つ選べ.

A 硝酸薬
B Ca拮抗薬
C β遮断薬
D ニコランジル
E Rhoキナーゼ阻害薬


問題14

左室収縮能が維持されている心不全(HFpEF)に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか.1つ選べ.

A 確定診断は,基礎心疾患によらない.
B 確定診断には左心カテーテル検査によるdP/dt値が必要である.
C randomized control trial(RCT)によるβ遮断薬の予後改善効果は証明されていない.
D RCTによるACE阻害薬の予後改善効果は証明されていない.
E RCTによるARBの予後改善効果は証明されていない.


問題15

78歳の男性.高血圧と心雑音を指摘されていたが,最近,労作時に軽い呼吸困難を自覚するようになったため来院した.
血圧は180/98 mmHg,脈拍は76/分.心音では,胸骨右縁第2肋間を中心とした,Levine 3/6の収縮期駆出性雑音を聴取する.呼吸音には異常を認めない.心電図では,正常洞調律で左室肥大所見を認めた.胸部X線では心拡大はなく,肺野にうっ血は認めない.血液検査では,血糖102 mg/dL,LDL-C 118 mg/dL,BUN 20 mg/dL,Cr 1.0 mg/dLであった.心エコー図では左室肥大と左室内腔の狭小化を認め,左室駆出率は70%であった.大動脈弁の石灰化と狭窄を認め,弁通過最高血流速度は3.5 m/秒であった.
本例で投与を考慮すべき薬剤はどれか.1つ選べ.

A シンバスタチン
B ジゴキシン
C サイアザイド系利尿薬
D エナラプリル
E ワルファリン


問題16

閉塞性肥大型心筋症で,一般的に用いられない治療薬はどれか.1つ選べ.

A ビソプロロール
B ベラパミル
C ニフェジピン
D ジソピラミド
E メトプロロール


問題17

下記のなかで気腫合併肺線維症(CPFE)にみられやすい所見はどれか.2つ選べ.

A 高齢女性
B %VC 55%
C FEV1.0% 86%
D %DLCO 25%
E 6分間歩行試験の最低SpO2 93%


問題18

下記のなかで肺高血圧症臨床分類で1群(PAH)に分類されるべきと考えられるのはどれか.2つ選べ.

A 肥大型心筋症(HCM)を有しPCWP 17 mmHg,mPAP 32 mmHg,TPG 15 mmHgの患者
B 間質性肺炎を有し%VC 55%の肺高血圧症の患者
C 慢性閉塞性肺疾患(COPD)を有しFEV1.0% 81%の肺高血圧症の患者
D 溶血性貧血を基礎に有する肺高血圧症の患者
E 小児期に心房中隔欠損症(ASD)根治術を受けている肺高血圧症の患者


問題19

脂質異常症治療について正しいものはどれか.2つ選べ.

A 脂質低下療法の基本は薬物療法である.
B 冠動脈疾患予防効果が最も確立されている脂質異常症治療薬はスタチンである.
C 高TG血症に対する薬物療法には一般的にエゼチミブが用いられる.
D スタチンとフィブラートの併用は原則禁忌ではない.
E スタチン,EPA,エゼチミブはいずれも心血管イベント抑制効果が確立されている.


問題20

メタボリック症候群の診断基準に含まれる項目は次のうちどれか.2つ選べ.

A 身長
B 体重
C 腹囲
D LDLコレステロール
E 空腹時血糖


問題21

糖尿病薬において,インスリン抵抗性改善に寄与する薬剤はどれか.2つ選べ.

A グリニド薬
B ビグアナイド薬
C チアゾリジン薬
D スルホニル尿素薬
E α-グルコシダーゼ阻害薬


問題22

次のうち,正しいものを1つ選べ.

A 高度の頸動脈狭窄症を合併する高血圧症患者では,狭窄の進行を抑制するため早期から積極的な降圧を図るべきである.
B 抗血栓薬の投与に際しては,出血性合併症予防のため適切な血圧管理が重要である.
C 抗血栓薬は併用しても出血リスクが増加することはない.
D 軽度の無症候性頸動脈狭窄症患者でも,虚血性脳卒中予防のために抗血小板薬を積極的に投与すべきである.
E 新規抗凝固薬はワルファリンと比べ虚血性脳卒中のリスクを低下させるが,頭蓋内出血のリスクを増加させる.


問題23

CKD合併高血圧に対してARBが処方されている患者で以下の病態を認めた.ARBの投与を中止すべきものはどれか.1つ選べ.

A eGFRが投与前50 mL/分/1.73 m2から投与3カ月後に40 mL/分/1.73 m2に減少
B 両側腎動脈狭窄の合併
C 尿中アルブミン量の増加
D 血清カリウム値が5.0 mEq/Lに上昇
E 糖尿病の発症


問題24

以下のうち,正しいものを1つ選べ.

A 本邦の高血圧治療ガイドライン(JSH2014)では,全高齢者の初回降圧目標は140/90 mmHg未満としている.
B 高齢者の降圧薬として,短時間作用型のニフェジピン舌下も推奨されている.
C 降圧利尿薬として,eGFR 30 mL/分/1.73 m2以上ではループ利尿薬,eGFR 30 mL/分/1.73 m2未満ではサイアザイド系利尿薬が推奨されている.
D ジギタリス中毒は,徐脈などの不整脈のほかに食欲不振,吐き気などの消化器症状などがある.
E 本邦の研究では,抗血栓薬服用中の頭蓋内出血発症に血圧の関与はない.


問題25

ACE阻害薬とARBの効能について,正しいものを1つ選べ.

A 心疾患を対象にしたACE阻害薬とARBの比較試験ではARBのほうが有効性が高かった.
B 糖尿病性腎症を対象とした臨床試験ではRAS阻害薬の良い効能は示されていない.
C 虚血性心疾患を対象にした臨床試験では,ARB使用によるエビデンスが多い.
D RAS阻害薬の降圧は食塩依存性高血圧症例で強い.
E 欧米に比してわが国でのACE阻害薬の使用頻度は極端に少ない.


問題26

ワルファリンと新規経口抗凝固薬(NOAC)について正しいものを2つ選べ.

A NOACは血中濃度を比較的狭い治療域に保つため,微妙な用量調節をする必要がある.
B NOACは僧帽弁狭窄症と人工弁患者を除いた心房細動患者が投与対象となる.
C NOACは食事やほかの薬剤による相互作用の影響がワルファリンよりも大きい.
D NOACはワルファリンと比べて頭蓋内出血を半減させ,消化管出血を約20%増加させ,総死亡を約10%減少させる.
E NOAC投与後の採血は推奨されるが,投与前の採血は必ずしも推奨されない.


問題27

ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬に関して正しいのはどれか.1つ選べ.

A アルドステロンの標的受容体であるMRは,細胞膜に存在する.
B MR拮抗薬は,収縮不全による心不全患者の予後を改善させる.
C 多くの利尿薬と同様,MR拮抗薬は低K血症をきたしやすいので注意が必要である.
D 特にエプレレノンは性ホルモンの受容体にも結合し,女性化乳房などをきたしてしまう.
E スピロノラクトンは収縮の保たれた心不全に対しても予後改善効果がある.


問題28

下記の利尿薬とその特徴の組み合わせのなかで正しいものはどれか.2つ選べ.

A ループ利尿薬─レニン分泌を刺激する
B ループ利尿薬─急性心不全患者には,静脈内ボーラス投与より持続投与のほうが有効性が高い
C カリウム保持性利尿薬─駆出率の保持された心不全患者に適応がある
D サイアザイド系利尿薬─腎機能低下例にも有効
E バゾプレッシン受容体拮抗薬─自由水クリアランスを上昇させる


問題29

抗血栓作用を示さないのはどれか.1つ選べ.

A アスピリン
B プロスタグランジン(PGI2
C ウロキナーゼ
D エイコサペンタエン酸(EPA)
E ビタミンK


(解答は本誌掲載)