HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧51巻12号(2014年11月号) 特集の理解を深めるための29題
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特集の理解を深めるための29題


問題1

32歳の女性.3日前より38.7℃の発熱とともに四肢,および臀部に非掻痒性の皮疹と,肘,手首,膝,足関節に疼痛が出現し来院.約10日前に3歳の伝染性紅斑に罹患した友人の子どもと接触があった.身体所見では大腿部に斑状,網状の紅斑を認める.両手首に圧痛,両膝関節に腫れが認められる.風疹ワクチンは中学2年生の時に受けたという.次のうち診断確定に至る血液検査はどれか.

A 抗核抗体
B 風疹IgM抗体
C パルボウイルスB19 IgM抗体
D 抗CCP抗体
E 血液培養


問題2

次のうち,誤っているものを2つ選べ.

A 器質化肺炎を呈するのは膠原病では関節リウマチだけである.
B 膠原病肺では下肺野背側に聴取されるのはcoarse cracklesが多い.
C 膠原病を背景に続発性アミロイドーシスを生じることがある.
D 胸水中の糖が40 mg/dL未満なら膿胸と関節リウマチによる胸膜炎を疑う.
E 気道狭窄をきたす代表疾患には再発性多発軟骨炎,Wegener肉芽腫症,気管気管支アミロイドーシスなどが挙げられる.


問題3

次の顔面の皮膚所見のうち,膠原病を考える皮膚所見はどれか.

A 眉間と両側鼻唇溝部に強い黄色調のオイリーな鱗屑を伴う紅斑
B 疼痛と熱感を伴う頬部の片側性の紅斑
C 左右対称性で丘疹性の血管拡張と小膿疱を伴う紅斑
D 頬部を中心に左右対称性に分布する軽度の鱗屑を伴う浮腫性紅斑
E 中心陥凹を伴う小水疱が集簇してみられる片側性浮腫性紅斑


問題4

以下の免疫抑制薬のうち,神経Behçet病を誘発しうると言われているものはどれか.

A メトトレキサート
B アザチオプリン
C シクロホスファミド
D シクロスポリンA
E ミゾリビン


問題5

3カ月前からの近位指節間(PIP)関節・中手指節間(MCP)関節の関節痛にて紹介となった40歳女性.これまでに関節が腫れたことはない.前医血液検査では白血球減少を認めたが,炎症反応・リウマチ因子・抗CCP抗体・抗核抗体は陰性であった.身体診察でも明らかな関節炎の所見なし.WBC:3,400/mm3(Neut:44%,Ly:42%),Hb:12.8 g/dL,Plt:14.2×104/mm3.診断に有用な検査を2つ選べ.

A 抗ds-DNA抗体
B 骨髄検査
C 抗SSA/Ro抗体
D 仙腸関節MRI
E 口唇生検


問題6

抗核抗体関連疾患でないものの組み合わせはどれか.
(1)皮膚筋炎,(2)関節リウマチ,(3)顕微鏡的多発血管炎,(4)成人Still病

A (4)
B (3),(4)
C (2)~(4)
D (1)~(4)


問題7

関節リウマチについて,正しいものはどれか.

A 抗環状シトルリン化ペプチド抗体はリウマトイド因子よりも感度が優れているため有用である.
B 関節超音波は骨髄浮腫の検出に適している.
C B型肝炎は既感染パターンであっても,免疫抑制薬の使用により劇症化する可能性がある.
D 新しい関節リウマチの分類基準(2010年ACR/EULAR分類基準)のスコアで,5点であれば関節リウマチは否定できる.
E 治療前の結核のスクリーニングは胸部単純X線写真で十分である.


問題8

乾癬性関節炎において特徴的な単純X線所見ではないものはどれか.2つ選べ.

A ソーセージ指
B pencil-in-cap像
C 遠位指節間(DIP)関節の骨びらん像
D over hanging edge of cortex
E 骨頭,手根骨との間の軟部組織(三角靭帯部)の石灰化像


問題9

関節リウマチの治療目標と疾患活動性のモニタリングについて間違っているものを1つ選べ.

A 関節リウマチの治療はまず寛解を達成すること,およびその維持が目標となる.
B 関節リウマチの管理では疾患活動性にかかわらず,6カ月ごとに疾患活動性の評価と治療調節が必要とされている.
C CDAIは複合的疾患活動性評価指標のうちの1つで,圧痛関節数,腫脹関節数,患者全般評価(0~10),医師全般評価(0~10)の総和で計算できる.
D mHAQは日常生活動作に関する問診票を用いて身体機能を評価するものである.
E 治療の目標の達成のために疾患活動性を定期的に評価し,それに基づいて医師と患者の合意の下,治療を適正化することが推奨されている.


問題10

症例:42歳男性,生来健康.1年前から関節リウマチとして近医でサラゾスルファピリジンにて加療をされているが,症状が持続するため本人の希望で紹介となった.
腫脹関節数16,圧痛関節数12,CRP 0.5 mg/dL,RF,抗CCP抗体ともに陽性.罹患部の関節X線では骨びらんを認めない.
次のうち正しいものはどれか.

A CRPが低値であるため疾患活動性は高くないと考えられる.
B 疾患活動性が高いため,サラゾスルファピリジンに加えてステロイドを関節炎が治まるまで併用を続ける.
C 間質性肺炎があれば生物学的製剤は禁忌となるため,DMARD3剤併用療法を選択する.
D メトトレキサート(MTX)開始前のスクリーニングの後,サラゾスルファピリジンをMTX 6 mg/週に変更し,半年後まで待って改善がなければ生物学的製剤を考慮する.
E サラゾスルファピリジンは中止せずメトトレキサートの内服追加を行う.


問題11

以下の記述で正しいものはどれか.2つ選べ.

A 関節リウマチ(RA)患者や高齢者では,筋肉量が少ないため,血清クレアチニンがそのまま腎機能の指標とならないので,Cockcroft-Gaultの式やシスタチンCなどを利用して腎機能を評価する必要がある.
B メトトレキサート(MTX)投与中に腎機能の悪化(クレアチニンクリアランス20 mL/分)を認めたので,MTXは減量して経過観察した.
C 免疫抑制療法を行う前に『免疫抑制・化学療法により発症するB型肝炎対策ガイドライン』に従って評価・モニタリングし加療することが望ましい.
D 疾患活動性が高くても高齢者にはMTXや生物学的製剤は危険なので使用しないことが望ましい.
E MTX内服中の女性が妊娠したため,奇形のリスクもあるので人工妊娠中絶を勧めた.


問題12

50歳男性が右足首の単関節炎で受診した.この患者が痛風である確率を最も上げる所見は以下のどれか.

A 関節液中の尿酸塩の存在
B 関節液中の白血球数が50,000/mm3
C 痛風結節の存在
D 血中尿酸値11 mg/dL
E 痛風の家族歴


問題13

化膿性関節炎の診断のために最も重要な検査はどれか.1つ選べ.

A CRP
B 血液培養
C MRI
D 関節穿刺
E 造影CT


問題14

22歳の女性看護師.2週間前からの両手指および両膝の関節痛を主訴に来院した.関節痛が出現する数日前に感冒様症状があったが自然に改善していた.現在関節痛以外には症状はないが,両膝の痛みのために日常生活に支障が出ている.海外渡航歴や最近のワクチン接種歴などはなく,性交渉歴もない.診察で両側PIP・MCP関節および両膝関節の腫脹と圧痛を認めた.検査では赤沈とCRPの軽度上昇がみられ,リウマチ因子(RF)が低値陽性であった.罹患関節数と炎症反応およびRF低値陽性から2010年関節リウマチ分類基準を満たすことがわかった.次にとるべき対応として最も正しいものはどれか.

A パルボウイルスB19(PVB19)-IgM抗体を提出し,少量プレドニゾロン内服投与しつつ検査結果を待つ.
B PVB19-IgM抗体を提出し,両側膝関節にステロイド局注して検査結果を待つ.
C PVB19-IgM抗体を提出し,非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)投与しつつ検査結果を待つ.
D 早期関節リウマチとしてアザルフィジンを開始する.
E 早期関節リウマチとしてメトトレキサートを開始する.


問題15

薬剤性ANCA関連血管炎の原因薬剤として頻度が高い薬剤はどれか.

A フロセミド
B 抗甲状腺薬
C メトトレキサート
D アザチオプリン
E リツキシマブ


問題16

全身性エリテマトーデス(SLE)の診療において正しいものを選べ.

A SLEの診断には米国リウマチ学会の分類基準を用いる.
B 腎症を伴わないSLEでは,確定診断のため組織診断が重要である.
C SLEの治療はステロイドが主体である.
D ループス腎炎では初期治療にプレドニゾロン60 mg/日が用いられる.
E SLE患者の出産はハイリスクとして扱う.


問題17

Sjögren症候群の治療に関して誤っているものはどれか.

A セビメリンやピロカルピンは虚血性心疾患をもつ患者には禁忌である.
B セビメリンやピロカルピンは発汗過多や腹部症状が問題となることがある.
C 必ず3錠分3の服薬を守らなければならない.
D ジクアホソル点眼薬はムチン分泌を促進する.
E 腺外症状に対してはステロイドでの加療を考慮する.


問題18

若年性特発性関節炎(JIA)に関して正しいものを選べ.

A JIAとは16歳未満で発症した関節リウマチ(RA)のことである.
B 全身型JIAと診断し生物学的製剤を用いて治療する場合,第一選択薬はTNF阻害薬である.
C 不明熱の小児例で,感染症と悪性疾患を除外したらJIAと診断してよい.
D JIAに対する生物学的製剤の有効性は高いが,経済的な問題で使用できない小児例は多い.
E マクロファージ活性化症候群や虹彩炎はJIAの合併症として重要である.


問題19

リウマチ性多発筋痛症(PMR)および巨細胞性動脈炎(GCA)について,正しいものを選べ.

A PMRは関節炎(滑膜炎)を主体とする疾患である.
B 炎症反応(血沈,CRP)が陰性であればPMR・GCAの可能性は除外できる.
C GCAでは頭蓋内病変が多く,内頸動脈領域の脳梗塞が多い.
D GCAの大動脈炎により,四肢動脈の狭窄による跛行,動脈瘤や稀に動脈解離が起こる.
E GCAによる失明が疑われる場合は,診断確率を上げるため側頭動脈生検を行ってからステロイドパルスを行う.


問題20

抗Jo-1抗体陽性の抗ARS抗体症候群の症候のなかで,最も頻度の高いものを選べ.

A 筋症状
B 関節症状
C 肺疾患
D Raynaud症状
E 発熱


問題21

成人Still病で認めることが多い皮疹はどれか.2つ選べ.

A 72時間以内で消退する下腿の丹毒様紅斑
B 膨疹
C 24時間以上持続する掻痒とKöbner現象を伴う紅斑
D 筋痛に一致する部位の移動性紅斑
E 24時間以内に消退する紅斑


問題22

Behçet病のISG基準および厚労省基準(主症状と副症状)において,どちらにも含まれていない項目はどれか.

A 外陰部潰瘍
B 眼病変
C 血管病変
D HLA-B51陽性
E 針反応陽性


問題23

脊椎関節炎について,正しいものはどれか.

A 脊椎関節炎はHLA-B27が必ず陽性になる疾患である.
B 炎症性腰痛とは運動によって悪化する腰痛のことである.
C 脊椎関節炎の診断のためには単純X線検査で仙腸関節の癒合を確認する必要がある.
D 末梢性関節炎,軸椎関節炎ともに疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)が有効である.
E 反応性関節炎の眼病変としては,ぶどう膜炎より結膜炎のほうが一般的である.


問題24

全身性強皮症において,最も密接に生命予後と関わる病態は以下のどれか.

A 間質性肺炎
B 腸管気腫症
C 肺動脈性肺高血圧症
D 難治性皮膚潰瘍
E 屈曲拘縮


問題25

AAVに関する記述で誤っているものはどれか.

A ANCA陽性例では血管炎の診断前に,感染症と悪性腫瘍を除外する必要がある.
B 血管炎の末梢神経障害は感覚神経障害が運動神経障害に先行することが多い.
C わが国のMPA診断基準にはANCA陽性が診断基準に含まれる.
D EGPAはほかのAAVに比して,末梢神経障害を合併しやすい.
E RPGNは血管炎に特異的な腎炎症候群である.


問題26

高安動脈炎,結節性多発動脈炎に関して正しいものを2つ選べ.

A 高安動脈炎の動脈病変を診断するうえで,血管雑音(bruit),脈拍減弱・消失,血圧左右差の特異度は低いが,感度は高い.
B 高安動脈炎のステロイド療法に対する反応は良いが,再燃率は高い.
C 高安動脈炎でHLA-B52陽性の場合,治療反応性は良い.
D 結節性多発動脈炎で最も予後不良な病変は,最近発症した高血圧である.
E 睾丸痛に,高血圧,触知する紫斑,多発単神経炎,筋痛を認めた場合,結節性多発動脈炎が疑われる.


問題27

2006年に発表された抗リン脂質抗体症候群のRevised Classification Criteria(Sapporo Criteriaの改変)を満たすものは,以下のうちのどれか(複数回答可).

A CT angiogramにて確認された肺血栓塞栓症の患者で抗β2グリコプロテインI IgG抗体が6週間以上離れた血液検査2回ともに高値陽性の場合
B 超音波にて確認された下肢の深部静脈血栓症で抗β2グリコプロテインI IgM抗体が8週間以上離れた血液検査2回ともに高値陽性の場合
C 妊娠12週目で形態が正常の胎児が原因不明で死亡し,ループスアンチコアグラントが8週間以上離れた血液検査2回ともに陽性の場合
D 形態が正常の胎児が子癇にて32週の早産で産まれ,抗カルジオリピンIgG抗体が12週間以上離れた血液検査2回ともに高値陽性の場合
E 10週未満の自然流産が3回あり,抗カルジオリピンIgA抗体が12週間以上離れた血液検査2回ともに高値陽性の場合


問題28

膠原病患者に多い精神症状について,誤っているものを2つ選べ.

A 関節リウマチ患者の半数以上で睡眠障害が合併する.
B neuropsychiatric SLEの症状としてはせん妄が多い.
C 高用量のステロイド投与後には,うつよりも躁状態となることが多い.
D ステロイドによる精神症状は投与中止後数日で改善する.
E 入院中の高齢者が眠そうにしていたり,視線が合わない場合はうつ病を考える.


問題29

次のうち,最も適切なものはどれか.

A 補中益気湯(ほちゅうえっきとう)は四君子湯(しくんしとう)と四物湯(しもつとう)の生薬をすべて含んでいる.
B 防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)は慢性に経過する関節炎で,熱感に乏しく水腫が明らかなものに用いられる.
C 四君子湯や六味丸(ろくみがん)は,胃腸障害を起こしやすい.
D 加工附子(ぶし)末はトリカブトが原料であり,冷えには禁忌である.
E 甘草による副作用で有名な偽アルドステロン症の代表的な徴候は,浮腫・高血糖・高カリウム血症である.


(解答は本誌掲載)