HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧51巻8号(2014年8月号) 特集の理解を深めるための25題
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特集の理解を深めるための25題


問題1

「糖尿病食事療法のための食品交換表」では,何kcalを1単位としているか.1つ選べ.

A 20 kcal
B 40 kcal
C 60 kcal
D 80 kcal
E 100 kcal


問題2

糖尿病運動療法について,正しいのはどれか.

A 運動は血糖値が正常であればする必要はない.
B 単純性網膜症のある患者の運動は禁忌である.
C 有酸素運動を行えば,レジスタンス運動は不要である.
D 生活のなかでの歩行量の増加は治療には役立たない.
E 運動強度としては,「やや楽である~ややきつい」程度を目安とする.


問題3

経口糖尿病薬と主な副作用の組み合わせで誤っているものはどれか.1つ選べ.

A スルホニル尿素薬・低血糖
B ビグアナイド薬・浮腫
C チアゾリジン薬・体重増加
D SGLT2阻害薬・脱水
E αグルコシダーゼ阻害薬・放屁


問題4

インスリン療法とGLP-1受容体作動薬について正しいものはどれか.

A 最近では1型糖尿病の治療でもGLP-1受容体作動薬が期待されている.
B 入院中のインスリン療法の主流も強化インスリン療法からBOTへ変わりつつある.
C GLP-1受容体作動薬はインスリン製剤と同じくらい古い歴史をもつ.
D GLP-1受容体作動薬は肥満妊婦へ使用すると効果的である.
E GLP-1受容体作動薬は半減期により食前血糖値を主に下げるものと食後血糖値を主に下げるものに分けられる.


問題5

循環器系疾患を有する患者さんの糖尿病治療において正しいのはどれか.

A 心筋梗塞など急性期疾患の目標血糖値は140~170 mg/dL程度である.
B 低血糖は予後を悪化させるため,血糖コントロールは行わないほうがよい.
C 積極的なHbA1c値の低下が生命予後を改善する.
D スライディングスケールを用いた治療は無効な場合が多い.
E 開胸心術後,平均血糖値300 mg/dL以上では明らかな死亡率の上昇を認める.


問題6

以下の薬剤のなかで,糖代謝に好影響を与える可能性のあるものはどれか.2つ選べ.

A サイアザイド系利尿薬
B β遮断薬
C α遮断薬
D アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)
E ループ系利尿薬


問題7

薬剤性低血糖と関連のない薬剤はどれか.1つ選べ.

A ナテグリニド
B レボフロキサシン
C ペンタミジン
D アトルバスタチン
E ジソピラミド


問題8

非糖尿病患者に比べ,糖尿病患者で多い術後合併症として不適切なものはどれか.

A 深部静脈血栓症
B 急性腎不全
C 肝機能障害
D 縫合不全
E 肺炎


問題9

肝硬変を有する糖尿病症例の血糖管理について正しいのはどれか.

A 夜食は翌朝の高血糖の原因となるため控えるよう指導する.
B 食後高血糖にはα-グルコシダーゼ阻害薬を使用する.
C HbA1cが血糖管理のよい指標となる.
D ビグアナイド薬が第一選択薬である.
E インスリン導入をためらわない.


問題10

癌患者が糖尿病である時の治療方針として正しいものを1つ選べ.

A 癌患者が手術や化学療法を受ける場合,血糖コントロールが不良であれば延期するべきである.
B 癌患者が手術や化学療法を受ける場合,血糖コントロールが不良でもインスリンを使用することにより,速やかに血糖コントロールを改善すれば延期する必要はない.
C 癌患者が手術や化学療法により完治した場合,通常の糖尿病の指針に従い,速やかに良好なコントロールを目指すべきである.
D 癌患者が治療により根治困難である場合でも,通常の糖尿病の指針に従い,良好なコントロールを目指すべきである.
E 癌患者が治療により根治困難である場合には,糖尿病の治療方針の決定には患者自身の意志を尊重するべきである.


問題11

次の疾患のうちインスリン分泌低下を主体として糖尿病を発症するものはどれか.

A 先端巨大症
B Cushing症候群
C 褐色細胞腫
D グルカゴノーマ
E Basedow病


問題12

以下の治療薬を用いた抗脂質異常療法のなかで,糖尿病の新規発症に特に注意すべきものはどれか.1つ選べ.

A スタチン系薬
B フィブラート系薬
C 陰イオン交換樹脂
D エゼチミブ
E エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid:EPA)製剤


問題13

29歳の女性.肥満,月経異常を主訴に来院した.月経周期は50~60日と不順.身長156 cm,体重72 kg.両側下肢に多毛を認める.経腟超音波検査で両側の卵巣に直径10 mm前後の小卵胞を多数認める.血液生化学所見:空腹時血糖159 mg/dL,HbA1c(NGSP)8.2%,インスリン 13.2 μIU/mL(基準:1.8~12),LH 18.2 mIU/mL(基準:1.8~7.6),FSH 5.9 mIU/mL(基準:5.2~14.4),エストラジオール 68 pg/mL(基準:25~75),テストステロン41 ng/dL(基準:10~60).減量を指導し経過観察したが血糖コントロールの改善がみられない.選択すべき治療薬はどれか.

A スルホニル尿素薬
B DPP-4阻害薬
C ビグアナイド薬
D α-グルコシダーゼ阻害薬
E SGLT2阻害薬


問題14

次のうち,正しいものを2つ選べ.

A 母体の妊娠中の血糖値と周産期合併症との関連を検討した大規模臨床研究はHAPOstudyである.
B インスリン未使用の妊娠糖尿病患者では自己血糖測定は全例自己負担となる.
C 妊娠中の血糖管理では,インスリン注射であれば全種類使用可能である.
D 妊娠時に診断された明らかな糖尿病では胎児奇形率が高い.
E 妊娠糖尿病であったが,産後の糖負荷検査で正常型であれば,フォローアップの必要はない.


問題15

ステロイド糖尿病とその管理として誤っているものを1つ選べ.

A ステロイド糖尿病の発症リスクはステロイド使用量に比例する.
B ステロイド糖尿病の急性期の管理は急性代謝失調と感染予防のために行う.
C ステロイド糖尿病の血糖パターンは空腹時高血糖が特徴である.
D ステロイド糖尿病治療薬として食後高血糖改善系が適している.
E ステロイド関節注射により耐糖能が増悪する場合がある.


問題16

糖尿病と感染症について,正しいのはどれか.2つ選べ.

A 糖尿病患者の死因第1位は感染症であり,死因全体の34.1%を占める.
B 気腫性腎盂腎炎は糖尿病患者に特有の感染症であるが,抗菌薬が著効し比較的予後良好である.
C 1型糖尿病患者がシックデイのため食事摂取困難な場合,低血糖を予防するためにインスリン注射は中止すべきである.
D 抗菌薬や抗結核薬には耐糖能に影響を与えるものがあり,注意が必要である.
E HIV治療薬であるプロテアーゼ阻害剤(PI)と核酸系逆転写酵素阻害薬(NRTI)はインスリン抵抗性を主体とした耐糖能異常をきたすことがある.


問題17

精神疾患,向精神薬と糖尿病の関連について正しいものはどれか.

A 向精神薬投与前の統合失調症患者の糖尿病発症リスクは,一般人口と同程度である.
B 第一世代向精神薬の糖尿病発症リスクは,第二世代向精神薬に比して高い.
C 向精神薬による高血糖発症の機序は,主にインスリン分泌抑制による.
D リスペリドンによる糖尿病発症リスクは,クロザピンに比し,高い.
E 向精神薬の投与により,重症低血糖を認めることがある.


問題18

62歳の男性.(1)嘔気と下肢のむくみを主訴に来院した.男性と医師の会話の一部を示す.

医師:いつからむくんでいますか?
男性:1カ月くらい前からです.この1週間吐き気もあり,あまり食べることができません.
医師:今までの健康診断で何か異常はありましたか?
男性:会社の健康診断で(2)10年前くらいに血糖が高いと言われました.精密検査や治療を勧められましたが,忙しくてそのままにしていました.

 診察所見と検査成績の一部を示す.
 身長161 cm,体重77 kg,腹囲89 cm. (3)血圧176/94 mmHg.心音,呼吸音に異常はない.アキレス腱反射の消失を認める.眼科診察では,(4)両眼底の新生血管と硝子体出血を認めた.尿所見:蛋白3+,糖3+,ケトン体(-).血液生化学所見:随時血糖276 mg/dL,HbA1c 10.8%,(5)尿素窒素86 mg/dL,クレアチニン6.3 mg/dL,尿酸8.8 mg/dL,総コレステロール276 mg/dL,トリグリセリド282 mg/dL.
 下線のうち糖尿病性腎症の診断に必要なものはどれか.2つ選べ.

A (1)
B (2)
C (3)
D (4)
E (5)


問題19

78歳の女性.32年前から2型糖尿病にて内服療法中であったが,血糖コントロール不良が続いていた.数年前から手指のこわばりが出現し,物をつかみにくいことに気がついていた.診察時,お祈りの形に両手を合わせると両手指が密着できず,prayer sign陽性であった.血液検査では抗核抗体陰性であり,皮膚生検所見から糖尿病性手指硬化症と診断された.次のうち,本疾患について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A Raynaud現象は認めない.
B 手指の硬化は前腕に及ぶ.
C 皮膚生検にて膠原線維の増生はない.
D 眼底出血が認められる.
E 尿蛋白が陽性である.


問題20

大腿骨頸部骨折の患者が整形外科に緊急入院し,緊急手術に際して血糖高値が発覚した.正しい対応はどれか.

A 肥満・高血糖症のため,術前・術後輸液のカロリーは維持輸液程度とした.
B 低血糖症の出現に注意を払うため,αグルコシダーゼ阻害薬や,DPP-4阻害薬,GLP-1受容体作動薬など低血糖リスクの低い薬剤も選択肢の1つである.
C 下腿の軟部組織感染症(蜂窩織炎)を合併していたため,血糖値をできるだけ正常値に近づけることを目標とした.
D 下腿の虚血を伴う糖尿病足病変の予後予測には下肢動脈magnetic resonance angiographyよりも足関節/上腕インデックス(ankle brachial pressure index)が適している.
E 糖尿病患者に多く認められる変形性膝関節症はやはり過体重が原因であり,それ以外の代謝学的関与は少ない.


問題21

インクレチンもしくはインクレチン関連薬に関する記載について,正しいのはどれか.

A インクレチンの1つであるGLP-1は,小腸上部のK細胞から分泌される.
B インクレチン関連薬は,グルカゴン分泌促進作用を有する.
C GLP-1は,膵島α細胞上に直接的に作用すると考えられている.
D GLP-1によるグルカゴン分泌抑制作用には,中枢神経が深く関与している.
E インクレチン関連薬は,認知症発症の原因物質の1つであるβアミロイドの脳内蓄積を増加させる.


問題22

選択的SGLT2阻害薬の使用を控えなければならないものはどれか.

A 食事療法のみでコントロール不良な55歳の肥満の2型糖尿病
B ビグアナイド薬を併用しているコントロール不良な55歳の肥満の2型糖尿病
C 甲状腺機能低下症で下肢に浮腫があるコントロール不良な55歳の肥満の2型糖尿病
D 糖尿病腎症4期で下肢に浮腫があり,降圧薬(ARBと利尿薬の合剤)を服用している70歳の痩せ型の2型糖尿病
E 食事療法で主食を減らして単純性糖質を過度に摂取している45歳の軽度肥満の2型糖尿病


問題23

インスリン療法に関する下記のうち,正しいものはどれか.1つ選べ.

A 膵β細胞保護の観点から考えると,血糖コントロールが悪くても,インスリン療法はできるだけ最後の手段として温存しておくべきである.
B グラルギンは持効型インスリンであるので,超速効型インスリンとの組み合わせで使用され,経口血糖降下薬と併用されることはない.
C デグルデクは持効型インスリンであるが,グラルギンに比べると効果持続時間が短い.
D ライゾデグ®は現在開発中の超速効型インスリンで,これまでのインスリンのなかで効果持続時間が最も短い.
E 現在開発中のPEGインスリンは,強力な血糖降下作用を有していることに加えて,体重減少作用も有する.


問題24

糖質制限食による改善が確認されていないものはどれか.1つ選べ.

A HbA1c
B 血圧
C 体重
D トリグリセライド
E 肺活量


問題25

糖尿病治療薬のなかで,単独使用により低血糖を起こす可能性がある薬剤はどれか.2つ選べ.

A ビグアナイド薬
B スルホニル尿素薬
C αグルコシダーゼ阻害薬
D DPP-4阻害薬
E インスリン


(解答は本誌掲載)