HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧51巻7号(2014年7月号) 特集の理解を深めるための26題
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特集の理解を深めるための26題


問題1

正しいのはどれか.1つ選べ.

A 現病歴のパターンから疾患の成因カテゴリーを推定できる.
B 現病歴の代表的パターンとしては20種類くらい知られている.
C 神経変性疾患は急性発症することが多い.
D 家族歴のポイントは家系図に頼らずに聞き取ることである.
E まず,家系内に類症はないですか,と尋ねる.


問題2

常染色体優性遺伝の,浸透率(その遺伝子変異をもっている時に発症する確率)が100%近くある脊髄小脳変性症について,医師が患者に説明している.適切な説明はどれか.1つ選べ.

A 日本では一般的に受精卵診断が行われている.
B 日本では胎児に遺伝子の異常がある場合,堕胎が認められている.
C 発症前診断を希望される場合は,遺伝相談も受けることを強く勧める.
D 遺伝の確率は基本的には1/2であり,あなたが発症しているので,妹さんは発症しない.
E 遺伝子診断を行うことにより何歳で発症するか,どんな症状で発症するかの詳細がわかる.


問題3

50歳男性,2年前から歩行に際してふらつくようになり,よく転倒するようになった.また,上を見上げにくい感じを訴えている.言葉がはっきりしなくなったとも感じている.母親にも同様の症状があったらしいが,詳細は不明.以下の神経診察で異常があると予測されるのはどれか.

A 脳神経(垂直性眼球運動)
B 運動系(筋強剛・運動緩慢)
C 反射
D 協調運動
E 起立・歩行


問題4

Glasgow Coma Scale(GCS)で意識レベルを評価する際の注意点として誤っているものはどれか.1つ選べ.

A 頸髄損傷により四肢・体幹の感覚障害が疑われる患者の場合は,E(開眼)やM(運動)の評価をする際,痛み刺激を三叉神経領域にも与えて評価する.
B 気管挿管中の患者は発声できないため,覚醒の程度によらずV(言語)は1点で計算する.
C 頸髄損傷により四肢麻痺を生じている患者では,覚醒の程度によらずMは1点で計算する.
D 片麻痺で左右の反応が異なる患者では,いずれか良いほうの反応をMのスコアとする.
E GCSを正確に評価するためには気道,呼吸,循環の状態が安定していなければならない.


問題5

高齢者総合機能評価(CGA)のツールと質問の内容について誤っているのはどれか.1つ選べ.

A Vitality Index―定時に起床,自分から挨拶,進んで食べる
B Barthel Index―食事,整容,トイレ
C IADL尺度―電話,買い物,服薬管理
D MMSE―年齢,5物品名の記憶,野菜の名前
E GDS15―生活に満足,興味の低下,生きていても仕方ない


問題6

身体所見と,念頭に置くべき病態の組み合わせで適切なものはどれか.

A 両側縮瞳……CO中毒
B Skew deviation(斜偏倚)……視床出血
C 中枢性過換気……両側大脳半球,間脳病変
D 上肢と下肢の交代性麻痺……橋病変
E 筋線維束性収縮……有機リン中毒


問題7

軽度認知障害(MCI)について誤りはどれか.2つ選べ.

A 自覚的な記憶障害の訴えがある.
B 運転や家計など日常生活能力は保たれている.
C 原因疾患はAlzheimer病(AD)である.
D 男性では認知症への進展率が高い.
E 認知症の診断基準を満たさない.


問題8

次のうち,復唱が保たれる失語の組み合わせはどれか.2つ選べ.

A 感覚性失語
B 超皮質性失語
C 伝導失語
D 運動性失語
E 失名詞失語


問題9

複視を訴える患者を診察し,右方向注視時に複視を確認した.この場合,障害されている可能性のある脳神経はどれか.2つ選べ.

A 右動眼神経
B 右外転神経
C 左動眼神経
D 左外転神経
E 右視神経


問題10

回転性のめまいを訴える患者で,病変が橋にあることを示唆する随伴症状はどれか.1つ選べ.

A 嗄声
B 瞳孔不同
C 立ちくらみ
D 小刻み歩行
E 側方注視麻痺


問題11

正しくないのはどれか.1つ選べ.

A 嚥下は常に一定パターンで起こる.
B 左放線冠に脳梗塞を起こした場合,挺舌時に舌は右に曲がる.
C 声帯麻痺があっても排痰には問題ない.
D 開鼻声がある場合,軟口蓋麻痺を疑う.
E 三叉神経は嚥下に関与する.


問題12

左のアキレス腱反射が低下しないのはどれか.2つ選べ.

A 糖尿病性ニューロパチー
B Guillain-Barré症候群
C 左腓骨神経麻痺
D 左S1神経根症
E 右内包後脚ラクナ梗塞


問題13

母指球筋萎縮を生じないのはどれか.1つ選べ.

A 筋萎縮性側索硬化症
B 橈骨神経障害
C 手根管症候群
D 頸椎症
E 慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー


問題14

体の一部,あるいは全体に認められ,律動性はないが一定の筋収縮パターンを有している不随意運動はどれか.1つ選べ.

A 筋線維束攣縮
B 舞踏運動
C アテトーゼ
D ジストニア
E 安静時振戦


問題15

運動失調症において正しいのはどれか.1つ選べ.

A 運動失調症では筋トーヌスは亢進する.
B 感覚性運動失調では,温痛覚障害を伴うことが多い.
C 継ぎ足歩行では体幹失調を鋭敏に検出できる.
D 垂直性眼振がよくみられる.
E 構音障害は非常に稀である.


問題16

75歳の女性.2年前より動作や会話が遅くなり,後方へ転倒しやすくなった.歩きにくさが徐々に悪化し,伝い歩きとなったために来院した.姿勢は直立で,歩行は小刻み・すり足だが,開脚歩行ではなかった.姿勢反射障害は高度であった.指タップでは左右ともに速度・振幅の低下を認めるものの,振幅の減衰はなかった.筋強剛は頸部で高度であったが,四肢では軽微だった.眼球運動は上下方向に制限があった.小脳失調を認めず,自律神経症状もなく,Shellong試験は陰性であった. 最も考えられる疾患はどれか.1つ選べ.

A Parkinson病
B 脳血管性Parkinsonism
C 進行性核上性麻痺
D 多系統萎縮症
E 正常圧水頭症


問題17

歩行障害のなかで初期から「階段を昇る時より降りるほうがつらい」と訴えるのはどれか.1つ選べ.

A 鶏歩
B あひる歩行
C 千鳥足
D すくみ足
E はさみ歩行


問題18

56歳の男性.職場の検診で高血圧,糖尿病を指摘されていたが放置していた.仕事中に突然,下肢がしびれて立てなくなったとの主訴で脱力が出現し,起立不能となったため,救急搬送となった.血圧220/124 mmHg.神経学的所見は,意識清明で,高次大脳機能,脳神経領域,協調運動に障害はなかった.対麻痺とTh2以下で表在感覚の消失を認めた.振動覚,関節位置覚は保たれていた.両側で下肢腱反射は両側亢進し,Babinski徴候陽性であった.尿閉も伴っていた. 直ちに実施するべき検査はどれか.2つ選べ.

A 脳脊髄液検査
B 頭部CT
C 胸髄MRI
D 胸腹部造影CT
E 頭部MRI


問題19

ベッドサイドの診察で起立性低血圧を疑う主訴を訴える患者がいる.診断確定のために次に行うべき検査はどれか.2つ選べ.

A 血漿アルドステロン測定
B head up tilt試験
C マイクロニューログラフィー
D MIBG心筋シンチグラフィー
E 血漿ノルアドレナリン測定


問題20

次のうち排尿に関する基準値を超えているのはどれか.1つ選べ.

A 1回排尿量 250 mL
B 1日尿量 1,500 mL
C 1日尿回数 6回
D 残尿 200 mL
E 前立腺体積 18 mL


問題21

次のうち便秘の原因とならないものはどれか.1つ選べ.

A Parkinson病
B 甲状腺機能亢進症
C 多系統萎縮症
D 抗コリン薬
E 強皮症


問題22

失神について正しい組み合わせを1つ選べ.

A 反射性失神―発作後片麻痺
B 起立性低血圧―徐脈
C 鎖骨下動脈盗血症候群―内頸動脈系虚血
D 心原性失神―冠攣縮性狭心症
E 排尿失神―脳波異常


問題23

心因性非てんかん性発作(psychogenic non-epileptic seizure:PNES)について,誤りはどれか.2つ選べ.

A てんかんとの合併は少なくない.
B いわゆる詐病に分類される.
C 発作は断続的で持続時間が長い.
D 発作中は開眼することが多い.
E 脳波ビデオ同時記録による非てんかん性発作の確認が有用である.


問題24

椎骨動脈解離による延髄外側症候群において,認められない症状・神経徴候を1つ選べ.

A 運動失調
B 眼球運動異常
C 吃逆(しゃっくり)
D 半側空間無視
E 嚥下障害


問題25

次の疾患のなかで,病初期の体重減少が生命予後に影響を与える疾患はどれか.1つ選べ.

A Parkinson病
B Huntington舞踏病
C 多系統萎縮症
D 筋萎縮性側索硬化症
E 進行性核上性麻痺


問題26

一般的に,長期臥床で起こりやすい拘縮のパターンはどれか.1つ選べ.

A 肩関節外旋位
B 前腕回外位
C 股関節伸展位
D 膝関節伸展位
E 足関節底屈位


(解答は本誌掲載)