HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧51巻3号(2014年3月号) 特集の理解を深めるための25題
目次詳細・ご注文はこちら  電子ジャーナルはこちら

特集の理解を深めるための25題


問題1

鉄欠乏性貧血で高値となるものはどれか.1つ選べ.

A ヘモグロビン(Hb)
B 平均赤血球容積(MCV)
C 血清鉄
D 総鉄結合能(TIBC)
E 血清フェリチン


問題2

貧血の原因を鑑別するうえで,正しいのはどれか.1つ選べ.

A 網状赤血球数は,骨髄における赤血球造血を反映する.
B 炎症性貧血では血清鉄が増加する.
C 腎性貧血では,血清エリスロポエチン値が正常下限以下である.
D 急性の出血では,小球性貧血になる.
E 骨髄異形成症候群(MDS)の大多数で,正球性~やや小球性の貧血がみられる.


問題3

ビタミンB12欠乏でみられる所見として不適切なものを選べ.

A 認知症,筋力低下,深部感覚障害,末梢神経障害などの神経症状
B 年齢に不相応な白髪
C 小球性貧血
D 舌乳頭萎縮
E 萎縮性胃炎


問題4

血清免疫電気泳動法でM蛋白が検出されない疾患はどれか.1つ選べ.

A 無症候性多発性骨髄腫
B 骨の孤立性形質細胞腫
C Waldenströmマクログロブリン血症
D リンパ芽球性リンパ腫/白血病(急性リンパ性白血病)
E 原発性ALアミロイドーシス


問題5

50歳の男性.友人に赤ら顔を指摘されたため,心配になり受診した.
自覚症状:特になし.身体所見:血圧160/90 mmHg.赤ら顔.皮膚の乾燥なし.血液所見:RBC 775万/μL,Hb 20.3万g/dL,Ht 61.7%,WBC 12,700/μL,Plt 50.4万/μL.この患者の診断に有用でない検査はどれか.1つ選べ.

A 頭部CT
B 骨髄検査
C JAK2 遺伝子検査
D 動脈血酸素飽和度
E 血清エリスロポエチン


問題6

末梢血中に種々の分化段階の顆粒球系細胞が出現しうる疾患はどれか.2つ選べ.

A 骨髄線維症
B 寄生虫感染症
C がんの骨髄転移
D 急性骨髄性白血病
E EBウイルス感染症


問題7

異型リンパ球について正しいものはどれか.1つ選べ.

A リンパ性腫瘍細胞である.
B 健常人の末梢血ではみられない.
C 単調で同一の形態を呈する.
D ウイルス感染が原因である頻度が高い.
E 伝染性単核球症はサイトメガロウイルス感染が原因である.


問題8

末梢血リンパ球数の減少をきたす疾患・病態を2つ選べ.

A 特発性血小板減少性紫斑病
B 後天性免疫不全症候群(AIDS)
C Addison病
D 慢性リンパ性白血病
E ステロイドの投与


問題9

血小板増加をきたさないのはどれか.2つ選べ.

A 非感染性炎症性疾患
B 慢性骨髄性白血病
C 慢性心不全
D ネフローゼ症候群
E 真性赤血球増加症


問題10

血小板減少をきたすにもかかわらず血栓症を起こす疾患はどれか.1つ選べ.

A 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
B 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
C 再生不良性貧血
D 骨髄異形成症候群
E 肝硬変


問題11

汎血球減少をきたす疾患の検査所見について正しいのはどれか.1つ選べ.

A 血球貪食症候群では血清フェリチン値が低値となる.
B 再生不良性貧血では網赤血球数は増加する.
C 癌の骨髄転移の際にみられる貧血は大球性である.
D 好中球の核が2分葉までなら骨髄異形成症候群が考えられる.
E 末梢血に芽球の出現がなければ,白血病は否定できる.


問題12

出血傾向をきたすが,凝固時間(PTおよびAPTT)が延長しないものはどれか.2つ選べ.

A アスピリン内服
B ワルファリン内服
C ヘパリン投与
D 第 XIII 因子欠乏
E 播種性血管内凝固症候群(DIC)


問題13

以下の疾患,状態のなかで静脈血栓塞栓症(VTE)発症と関連が低いと思われるものはどれか.1つ選べ.

A 膵臓癌
B 長期臥床
C 妊娠・出産
D 抗リン脂質抗体症候群
E 血栓性血小板減少性紫斑病


問題14

生来健康の37歳女性.7日前より38℃を超える発熱が続き,右頸部の痛みを伴うリンパ節腫大があるため来院した.
身体所見:両側頸部に1~1.5 cm大のリンパ節腫大を触知する.弾性硬で,強い圧痛がみられる.他部位にはリンパ節腫大はない.咽頭発赤や扁桃腫大はみられない.肝脾は触知しない.皮疹はみられない.
血液・血清生化学・免疫学的所見:WBC 2,100/μL,Plt 16万/μL,Hb 12.5 g/dL,AST 56 IU/L,ALT 72 IU/L,LDH 450 IU/L(正常上限値250 IU/L),CRP 3.4 mg/dL.
考えられる診断はどれか.1つ選べ.

A 急性咽頭炎
B 菊池・藤本病
C 伝染性単核球症
D 癌のリンパ節転移
E 濾胞性リンパ腫(低悪性度リンパ腫)


問題15

不明熱を呈することのない血液疾患は以下のうちどれか.1つ選べ.

A 悪性リンパ腫
B 骨髄異形成症候群
C 急性白血病
D 鉄欠乏性貧血
E 血球貪食症候群


問題16

大球性貧血で疑われるものは次のうちどれか.2つ選べ.

A ビタミンB12欠乏
B 鉄欠乏性貧血
C 溶血性貧血
D 腎性貧血
E 慢性疾患に伴う貧血(ACD)


問題17

以下のうち,類白血病反応の原因となりうる疾患はどれか.2つ選べ.

A 再生不良性貧血
B 肺癌の骨髄転移
C 粟粒結核
D 播種性血管内凝固(DIC)
E 全身性エリテマトーデス(SLE)


問題18

血小板輸血が禁忌であるのはどれか.2つ選べ.

A 再生不良性貧血
B 播種性血管内凝固
C 血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)
D 特発性血小板減少性紫斑病
E ヘパリン起因性血小板減少症(HIT)


問題19

M蛋白のクラスを同定できる検査はどれか.1つ選べ.

A 血清蛋白電気泳動法(sPEP)
B 尿蛋白電気泳動法(uPEP)
C 血清免疫電気泳動法(sIEP)
D 尿蛋白電気泳動法(uIEP)
E 血清遊離軽鎖(sFLC)


問題20

鉄欠乏性貧血,巨赤芽球性貧血の治療について正しいのはどれか.1つ選べ.

A 鉄欠乏性貧血の経口鉄剤による治療では,Hb値が改善したところで治療を終了する.
B 鉄欠乏性貧血の静注鉄剤による治療では,フェリチン値を指標に投与を行う.
C 胃切除後のビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血では,ビタミンB12補充を一生続ける.
D 胃切除後のビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血では,経口製剤は無効である.
E 神経症状を伴う巨赤芽球性貧血では,葉酸を補充する.


問題21

化学療法終了後の血液疾患患者のフォローアップに関する下記の記載のうち,正しいものはどれか.1つ選べ.

A 造血器腫瘍では,治療によって寛解が得られない限り長期生存は期待できない.
B 造血器腫瘍の既往がある患者のほぼすべてが,専門医によるフォローアップを受けている.
C 抗がん剤,放射照射などの治療歴のある例では,二次発がんのスクリーニング検査は保険診療の範囲内で実施できる.
D 造血器腫瘍の治療後の長期生存例における医学的問題のほとんどは,精神・心理的な問題である.
E Children's Oncology Groupが作成したがんサバイバーのフォローアップのガイドラインは成人例でも有用である.


問題22

血液疾患患者の風邪診療について誤っているのはどれか.1つ選べ.

A 風邪様症状のなかに,血液疾患の再発・再燃による症状が紛れ込んでいる可能性を常に考慮すべきである.
B 咳症状が顕著でなくても,経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)の低下があれば,胸部X線検査を行ったほうがよい.
C 造血幹細胞移植後の患者では,特殊な日和見感染を風邪と誤診するリスクがある.
D 発熱のある血小板減少患者では,高熱により出血傾向が増悪するので,解熱薬の積極的な投与が推奨されている.
E 易感染状態にある患者では,発熱と同時に経験的抗菌薬投与(empiric therapy)を速やかに開始したほうがよい場合もある.


問題23

次のうち,正しいものはどれか.2つ選べ.

A レボフロキサシンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の併用では,痙攣のリスクが高くなる.
B ワルファリンとNSAIDsの併用で,ワルファリンの効果減弱を認める.
C トルブタミドとNSAIDsの併用で,低血糖のリスクが高くなる.
D 貧血では,本来の値よりHbA1cが上昇する.
E アゾール系抗真菌薬と併用すると,ダビガトランの効果が減弱する.


問題24

多発性骨髄腫による多発圧迫骨折と神経因性疼痛をきたした場合にオピオイドと併用すべき薬剤を2つ選べ.

A 選択的セロトニン再取り込み阻害薬
B プレガバリン
C 非ステロイド性消炎鎮痛薬
D プロテオソーム阻害薬
E サリドマイド


問題25

超高齢者血液疾患について正しいものはどれか.1つ選べ.

A 超高齢者血液疾患は,治癒を目指すことが重要である.
B 超高齢者血液疾患はすべて治療適応がない.
C 慢性骨髄性白血病に対するグリベック®などの投与量は,若年者と同じでよい.
D 超高齢者血液疾患の治療,緩和医療には,本人のライフスタイルに合わせ,また家族の意向も十分に配慮する必要がある.
E 超高齢者血液疾患の治療,緩和医療には,多元的な価値観が必要ではない.


(解答は本誌掲載)