HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧51巻2号(2014年2月号) 特集の理解を深めるための26題
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特集の理解を深めるための22題


問題1

水の代謝・調節に直接関与しているものはどれか.2つ選べ.

A 抗利尿ホルモン(ADH)
B 口渇感
C アルドステロン
D Na利尿ペプチド
E コルチゾール


問題2

43歳の女性.高血圧,下腿浮腫に対して慢性的にサイアザイド系利尿薬が処方されているが,低K血症の傾向があり,K製剤も併用している.
身体所見:血圧153/82 mmHg.身体所見上,特に異常なし
血清生化学所見:Na 134 mEq/L,K 2.9 mEq/L,Cl 103 mEq/L,HCO3 27 mmol/L,BUN 19 mg/dL,Cr 0.8 mg/dL
この患者に対する対応として,適切でないものを2つ選べ.

A 血清Mgの測定
B レニン・アルドステロンの測定
C K製剤の増量
D フロセミド®(ループ利尿薬)の追加
E RAS阻害薬の追加


問題3

次のCa,P,Mg代謝に関する記述のうち,正しいのはどれか.2つ選べ.

A 血清Ca 7.4 mg/dL,P 3.4 mg/dL,Alb 2.8 mg/dLでは,低Ca血症である.
B CKDでは,FGF23の作用が低下して,低P血症を呈する.
C 高P血症では,致死的不整脈を誘発するため,速やかな補正が必要である.
D 高カロリー輸液にて治療中の患者において,原因不明の筋力低下と傾眠が出現した.疑うべき電解質異常は低P血症である.
E 低Mg血症は,低Ca血症の原因となることがある.


問題4

1号液(Na 77 mEq/L,Cl 77 mEq/L)を経静脈的に1 L投与した場合,血管内にとどまる水分量として最も近い値はどれか.1つ選べ.

A 1,000 mL
B 750 mL
C 260 mL
D 170 mL
E 80 mL


問題5

次の記述のうち,正しいものを1つ選べ.

A 健常人では尿中Naの変化は血清Naの変化に引き続いて起こる.
B 体重に変化がなければ,有効循環血漿量に変化はないと思ってよい.
C 熱中症で運ばれた高齢者が「食事はとっていた」と言ったため,摂食不良の可能性を除外した.
D 慢性腎不全の患者が便秘を訴えたので,とりあえず酸化Mgを最大量まで増量した.
E 持参されたお薬手帳では服薬内容が網羅されていない可能性があるため,口頭で服薬内容を確認した.


問題6

尿電解質について正しいものはどれか.1つ選べ.

A 尿中電解質は蓄尿でしか評価できない.
B 代謝性アルカローシス患者での循環血漿量評価には尿中Clが有用である.
C 尿中UNは低Na血症の鑑別に有用である.
D FENaはループ利尿薬投与時の循環血漿量評価に有用である.
E 尿中Naは高度腎機能障害患者の循環血漿量評価に有用である.


問題7

82歳男性,意識障害で救急搬送された.血清Na110 mEq/L,血漿浸透圧229 mOsm/kg,尿Na125 mEq/L,尿K 60 mEq/L,尿浸透圧537 mOsm/kgであった.治療には以下のうち,どの輸液を用いるか.1つ選べ.

A 1号液
B 3号液
C 4号液
D 生理食塩水
E 3%塩化ナトリウム液


問題8

低K血症で通常認められない所見を1つ選べ.

A 呼吸性アルカローシス
B アンモニア産生の亢進
C 心電図のU波出現
D 横紋筋融解症
E 耐糖能異常


問題9

次の選択肢のうち,誤っているものを1つ選べ.

A 高Ca血症を治療する際には,生理食塩水による大量輸液に加えて,積極的にループ利尿薬の併用を考慮すべきである.
B ゾレドロン酸はパミドロン酸に比べて,高Ca血症に対する有効率が高く,効果持続時間が長い.
C 原因不明の低Ca血症の際には,低Mg血症の存在を疑う必要がある.
D refeeding syndromeでは,血清P値の補正が治療の中心になる.
E 血清Mg値が正常でも低Mg血症の症状が出現することがある.


問題10

診療所の外来に高血圧と慢性腎臓病,骨粗鬆症で通院中の78歳の女性が「約2日間,38℃の発熱のため,食事と飲水が約半分しか取れていない」と来院した.血圧118/88 mmHg,尿は出ている.なお,1カ月前の検査データは,下記の通りである.
BUN 35 mg/dL,Cr 1.2 mg/dL,eGFR 33.6 mL/分/1.73 m2,Na 132 mEq/L,K 3.5 mEq/L,Cl 114 mEq/L,蛋白尿陰性,服用薬:プレミネント®1錠1×朝,ラシックス®(20 mg)1錠1×朝,エディロール®(0.75 μg)1錠1×.
この症例への対応として正しいものはどれか.1つ選べ.

A 維持輸液3号液500 mLの点滴を行う.
B 生食1,500 mLの点滴を行う.
C 採血を行う(検査項目:BUN,Cr,Na,K,Cl,UA).
D プレミネント®の一時中止を指示する.
E 入院先を探す.


問題11

高K血症の対応として誤っているものはどれか.

A 緊急性の高い場合,まずグルコン酸カルシウムを静注する.
B 重炭酸ナトリウムの投与は代謝性アシドーシスのある場合に行う.
C グルコース+インスリン投与による効果は約4~6時間持続する.
D 徐脈を認めた場合,K値を確認したうえで治療開始する.
E 治療効果判定のために心電図をモニターする.


問題12

血糖管理不良の78歳の男性が,発熱と食思不振で入院した.胸部単純X線写真で右下肺野に肺炎像を認めたため,セフトリアキソンの静脈投与と維持輸液が開始された.入院3日後に意識朦朧状態となり,血液検査でNa 107 mEq/Lと低値を認めた.入院時の電解質に異常はみられなかった.本症例における電解質異常の原因として考えにくいものは何か.1つ選べ.

A ADH分泌不適合症候群(SIADH)
B 輸液の内容
C 意識障害
D 高血糖
E 副腎不全


問題13

治療抵抗性の低K血症において考慮しなければならない病態を1つ選べ.

A 高Na血症
B 低血糖
C 低Mg血症
D 代謝性アシドーシス
E 高P血症


問題14

糖尿病性腎症の診断・治療において誤っているものはどれか.1つ選べ.

A 高血圧を合併している場合は高齢者であっても厳格なNa制限が必要である.
B 高血圧を合併する場合,RA(レニン-アンジオテンシン)系阻害薬は第一選択薬である.
C 顕微鏡的血尿を呈することがある.
D RA系阻害薬を使用する際には高K血症に注意が必要である.
E 溢水をきたしやすい患者では体重のモニタリングが重要である.


問題15

精神疾患患者における水・電解質異常について正しいのはどれか.1つ選べ.

A 統合失調症における多飲の頻度は1~3%である.
B ベンゾジアゼピンは低Na血症をきたしやすい.
C リチウム服用患者には飲水制限を勧める.
D リチウムを長期服用中の患者の尿比重は,1.025以上が多い.
E 摂食障害患者の栄養補充を考慮する際は,血清P濃度に留意する.


問題16

うっ血性心不全患者に以下の治療を行ったところ,治療前に比べ1日約1,000 mLの尿量増加(ないし除水)効果が認められた.このうちNa除去量が最も多いと考えられるものを1つ選べ.

A トルバプタン(バソプレシン受容体拮抗薬)
B フロセミド(ループ利尿薬)
C フロセミドとサイアザイド利尿薬の併用
D 限外濾過法(ECUM)
E いずれもほぼ同等である.


問題17

脂肪酸を好んで燃やす臓器(細胞)はどれか.1つ選べ.

A 心臓
B 脳
C 腎臓
D 肝臓
E 赤血球


問題18

18歳男性.1カ月前より口渇,多飲,多尿を自覚していた.家族の呼びかけに対して反応が悪いため,救急車搬送された.
検査所見●血液生化学所見:Glu 760 mg/dL,HbA1c(NGSP)11.5%,BUN 28 mg/dL,Cre 1.5 mg/dL,Na 138 mEq/L,K 4.0 mEq/L,Cl 104 mEq/L.血液ガス所見:pH 7.23,PO2 98 mmHg,PCO2 22 mmHg,HCO3 9 mEq/L.尿所見:ケトン体3+,糖4+.
糖尿病性ケトアシドーシスと診断され,生理食塩水と静脈内インスリン持続注入により治療開始となった.1時間後に必須ではない検査はどれか.1つ選べ.

A 血糖値
B 血液ガス
C 血清電解質
D バイタルサイン
E 脳波


問題19

非代償性肝硬変患者の中等量腹水に対し利尿薬を投与する際,モニタリングが必要な電解質はどれか.2つ選べ.

A Na
B K
C Cl
D Mg
E Ca


問題20

塩類喪失性腎症(renal salt wasting syndrome:RSWS)の特徴として不適切なものはどれか.1つ選べ.

A 細胞外液量は減少している.
B 抗利尿ホルモンの上昇がみられる.
C 尿からの尿酸排泄は亢進している.
D 低Na血症の是正に伴い,低尿酸血症はすみやかに改善する.
E 生理食塩水投与により血清Na濃度は上昇する.


問題21

低P血症の原因となるのはどれか.2つ選べ.

A 腎不全
B 含糖酸化鉄使用
C 腫瘍崩壊症候群
D 呼吸性アルカローシス
E 活性型ビタミンD3製剤使用


問題22

救急外来を受診したアルコール依存症の60歳台の男性が,下記のような検査所見を呈していた.この症例の酸塩基平衡異常で正しいものを1つ選べ.
動脈血血液ガス(room air)pH 7.02,PaO2 90 mmHg,PaCO2 37 mmHg,HCO3 8.8 mmol/L,Hb 12.2 g/dL,TP 7.9 g/dL,Alb 3.6 g/dL,AST 236 IU/L,ALT 114 IU/L,LDH 537 IU/L,BUN 27 mg/dL,S-Cre 2.45 mg/dL,Na 145 mEq/L,K 4.2 mEq/L,CL 98 mEq/L,Ca 8.6 mg/dL,Glu 8 mg/dL,来院時随時尿U-Na 38 mEq/L,U-K 48.1 mEq/L,Cl 8.0 mEq/L,u-UN 67.2 mg/dL,U-UA 13.0 mg/dL,U-Cre 229.7 mg/dL

A 代謝性アシドーシス
B 代謝性アルカローシス
C 代謝性アルカローシス+呼吸性アルカローシス
D 代謝性アルカローシス+代謝性アルカローシス
E 代謝性アルカローシス+代謝性アルカローシス+呼吸性アシドーシス


(解答は本誌掲載)