HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧50巻10号(2013年10月号) 特集の理解を深めるための26題
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特集の理解を深めるための26題


問題1

体重減少をきたす疾患はどれか.1つ選べ.

A 甲状腺機能低下症
B Cushing症候群
C 褐色細胞腫
D 多嚢胞性卵巣症候群
E インスリノーマ


問題2

次のうち誤りはどれか.2つ選べ.

A 免疫学的測定法に基づくホルモン測定系では,ホルモンに対する自己抗体が存在する場合,本来の値と異なるホルモン値を示す場合がある.
B 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を測定する際には血清を用いる.
C インスリン様成長因子I(IGF-I)は年齢・性別により基準値が異なる.
D プロラクチンは向精神薬投与により変動する.
E TSAbはレセプターアッセイの一種である.


問題3

圧痛を伴う甲状腺腫を特徴とする疾患はどれか.1つ選べ.

A 慢性甲状腺炎
B 亜急性甲状腺炎
C 甲状腺原発悪性リンパ腫
D 髄様癌
E 中毒性多結節性甲状腺腫


問題4

甲状腺機能異常症と一般検査値との関係で正しくないのはどれか.1つ選べ.

A 血清総コレステロール値は,甲状腺機能低下症では増加し,甲状腺機能亢進症では低下する.
B 甲状腺機能低下症では,高CEA血症を呈することがある.
C 心房細動と診断された際には,Basedow病も念頭に置く.
D 肝機能異常が甲状腺疾患診断の端緒となることがあり,ALT,AST高値に加えて,甲状腺機能低下症ではALP,機能亢進症ではLDHの上昇を伴う.
E Basedow病では,しばしば尿糖陽性となる.


問題5

78歳女性.1週間前から38℃台の発熱がつづき,全身倦怠感のため来院した.浮腫や脱水はなく,血圧112/74 mmHg,血清Na 133 mmol/L,血清K 4.9 mmol/L,血漿バソプレシン2.9 pg/mL(基準値0.5-2.0),尿中Na 62 mmol/日.この患者の所見と考えられるのはどれか.

A 低張尿
B 低尿酸血症
C 低アルドステロン
D 低コルチゾール
E 低サイロキシン


問題6

Kの細胞内シフトにより低K血症をきたすものはどれか.2つ選べ.

A Basedow病
B 偽性アルドステロン症
C インスリン
D サイアザイド系利尿薬
E アルコール多飲


問題7

次のうちPTHが高値とならない疾患はどれか.1つ選べ.

A 偽性副甲状腺機能低下症
B 原発性副甲状腺機能亢進症
C 家族性低カルシウム尿性高カルシウム症(FHH)
D ビタミンD欠乏症
E 癌の骨転移


問題8

副腎偶発腫瘍が副腎癌の可能性を示唆するものはどれか.1つ選べ.

A DHEA-S低値
B 最大腫瘍径4cm
C 単純CTでCT値5HU
D 造影CTにおける10分後washout 70%
E 均一な内部構造


問題9

Basedow病と最も鑑別が難しいのはどれか.1つ選べ.

A 中毒性結節性甲状腺腫
B 亜急性甲状腺炎
C 無痛性甲状腺炎
D TSH産生下垂体腫瘍
E 甲状腺ホルモン不応症


問題10

甲状腺機能低下症の原因になる薬剤はどれか.2つ選べ.

A サリドマイド
B リドカイン
C フィブラート
D カルシウム拮抗薬
E 炭酸リチウム


問題11

亜急性甲状腺炎の急性期にみられない所見はどれか.1つ選べ.

A 甲状腺の痛みに一致した低エコー領域の存在
B 血清CRPの上昇
C 放射性ヨード甲状腺摂取率の増加
D クリーピング現象
E 全身性発熱


問題12

55歳女性.1週間前より咽頭痛があり風邪薬を飲んでいた.昨日より前頸部の右側に圧痛が出現し腫れてきたため来院.甲状腺機能はTSH 0.087 μIU/mL,fT3 6.33 pg/mL,fT4 2.78 ng/dLであった.考えられる病態はどれか.1つ選べ.

A 無痛性甲状腺炎
B Basedow病
C 甲状腺結節内の出血
D 亜急性甲状腺炎
E 急性化膿性甲状腺炎


問題13

原発性副甲状腺機能亢進症について正しいものはどれか.2つ選べ.

A 過半数が副甲状腺過形成による疾患である.
B 最近では尿路結石症の合併は5%未満である.
C 骨折のリスクが高まるとする研究成績がある.
D 治療の第1選択は責任病巣の外科的切除である.
E 経口ビスホスホネート製剤により血清Ca値のコントロールが可能である.


問題14

53歳男性.最近,靴のサイズが大きくなり,いびきを指摘されるようになった.何年ぶりかに会った友人に顔が変わったと言われた.この患者の確定診断に必要な検査はどれか.1つ選べ.

A インスリン低血糖刺激試験
B 成長ホルモン放出ペプチド(GHRP-2)試験
C 75g経口グルコース負荷試験(OGTT)
D 成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)試験
E ブロモクリプチン試験


問題15

Cushing症候群に関して,誤っている文章はどれか.1つ選べ.

A 手術不能なCushing症候群に対して,メチラポンを治療薬として使用可能である.
B Cushing病の手術療法は,下垂体腺腫の減量を目標とする.
C 30 μg/dLを超える高コルチゾール血症のときは,速やかに抗真菌薬の投与を要する.
D Cushing症候群の特異的身体徴候のなかで早期から出現しやすいものに,皮膚の菲薄化と中心性肥満がある.
E 一晩(overnight)デキサメサゾン抑制試験は,外来でも施行可能である.


問題16

マクロ腺腫のプロラクチノーマの治療の第一選択はどれか.

A γ-ナイフ治療
B カベルゴリン治療
C オクトレオチド治療
D ブロモクリプチン治療
E 経蝶形骨洞的腫瘍摘出術


問題17

成長ホルモン(GH)に関する記述で正しいものを2つ選べ.

A GHは肝臓における糖新生を抑制し,糖取り込みを促進する.
B GHは脂肪分解抑制作用を有する.
C 成人GH分泌不全症においてGH治療の前にほかの下垂体ホルモンの低下の有無に関して評価する必要がある.
D 成人GH分泌不全症は腹部肥満を呈する.
E 成人GH分泌不全症では心血管疾患による死亡率は健常者に比べて低い.


問題18

中枢性尿崩症の原因疾患として頻度の低いものはどれか.1つ選べ.

A 間脳下垂体領域の胚細胞腫
B リンパ球性漏斗下垂体後葉炎
C 下垂体腺腫
D 間脳下垂体領域のランゲルハンス細胞組織球症
E 頭蓋咽頭腫


問題19

原発性アルドステロン症の手術適応を診断するための最も重要な検査法はどれか.1つ選べ.

A CT
B 副腎シンチグラフィ
C 内分泌負荷試験
D 副腎静脈採血
E アルドステロン-レニン比


問題20

褐色細胞腫に当てはまる記述はどれか.1つ選べ.

A 副腎皮質から発生する.
B 2cm以下の腫瘍が多い.
C 約10%は悪性である.
D 約50%は遺伝性である.
E β遮断薬が第一選択薬である.


問題21

副腎皮質機能低下症について正しくないのはどれか.1つ選べ.

A 診断は,まず早朝空腹時にコルチゾールと副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)を測定する.
B 迅速ACTH負荷試験が低反応の場合,原発性であり続発性は否定できる.
C 副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)負荷試験は正常反応,かつインスリン低血糖試験が低反応であれば,視床下部性を疑う.
D ヒドロコルチゾンの補充は1日2~3回の分割投与で行う.
E 発熱,外傷などのストレス下では,ヒドロコルチゾンの服用量は通常の2~3倍にするよう指導する.


問題22

無月経症例に関する誤りはどれか.2つ選べ.

A Turner症候群は初経を認めることが多い.
B 原発性無月経では外性器および内性器に異常を認めることがある.
C 続発性無月経の障害部位診断には黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)負荷試験が有用である.
D 続発性無月経では体重減少の既往に留意する.
E 挙児希望がない続発性無月経症例では排卵誘発治療により月経を起こす.


問題23

次の臨床所見のうち,甲状腺クリーゼ診断において重要でないものはどれか.1つ選べ.

A 嘔吐
B AST 130 IU/L,ALT 180 IU/L
C 不穏状態
D 脈拍140回/分
E 体温38.5℃


問題24

Addison病の副腎クリーゼについて正しいのはどれか.2つ選べ.

A 高ナトリウム血症
B 高カリウム血症
C 高カルシウム血症
D 代謝性アルカローシス
E 多尿


問題25

放射線被ばくによる甲状腺への影響で正しいものを1つ選べ.

A 原発事故では大量に環境中に放出される放射性セシウムの内部被ばくで甲状腺がんの発がんリスクが増加する.
B 放射線被ばくによる甲状腺発がん感受性は年齢が高くなるにつれ増加する.
C 放射性ヨウ素の内部被ばくによる甲状腺がんと自然発症の甲状腺がんは,その病理組織型が異なり鑑別することが可能である.
D 放射性ヨウ素による甲状腺内部被ばくは,安定ヨウ素剤の適切な服用により,甲状腺被ばくを低減・阻止することができる.
E 放射性ヨウ素の半減期は30年であり,環境中に長く留まり,常に甲状腺が被ばくし続ける可能性がある.


問題26

28歳女性.妊娠9週に妊婦検診での甲状腺スクリーニング検査にて異常を指摘され,内科へ紹介となった.FT4 2.4 ng/dL(非妊娠時基準値0.68~1.26),TSH<0.021 μU/mL(非妊娠時基準値0.746~4.118)であった.鑑別のために行う検査はいずれが最も適切か.1つ選べ.

A TSH刺激性レセプター抗体(TSAb)
B TSHレセプター抗体(TSH結合阻止抗体:TBI I)
C 抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)
D 99mTcO4-を用いた甲状腺摂取率検査
E 尿中総ヨウ素濃度


(解答は本誌掲載)