特集の理解を深めるための26題
問題1
わが国の高血圧有病率,治療率,管理率について以下の説明のうち正しいものはどれか.1つ選べ.
A 高血圧有病率は低下傾向,治療率は上昇傾向にあり,管理率は50%に達した.
B 高血圧有病率は上昇傾向,治療率は低下傾向にあり,管理率は50%に満たない.
C 高血圧有病率・治療率は低下傾向にあり,管理率は50%に満たない.
D 高血圧有病率・治療率は上昇傾向にあり,管理率は50%に達した.
E 高血圧有病率は低下傾向,治療率は上昇傾向にあるが,管理率は50%に満たない.
問題2
下記のうち正しくない記載はどれか.2つ選べ.
A わが国における血圧レベルは,降圧療法の普及により低下している.
B わが国における肥満,脂質異常症,耐糖能異常などの代謝性疾患の頻度は近年増加傾向にある.
C わが国における心筋梗塞による死亡率(年齢調整後)は近年増加傾向にある.
D わが国における脳卒中による死亡率(年齢調整後)は,1970年代以降大幅に低下した.
E 高血圧患者の有病率は時代とともに大幅に減少している.
問題3
JSH2009において正常高値高血圧はどれか.
A 収縮期血圧120~130 mmHgかつ拡張期血圧80~85 mmHg
B 収縮期血圧125~130 mmHgまたは拡張期血圧80~85 mmHg
C 収縮期血圧125~130 mmHgかつ拡張期血圧80~85 mmHg
D 収縮期血圧130~139 mmHgまたは拡張期血圧85~89 mmHg
E 収縮期血圧140~145 mmHgまたは拡張期血圧90~95 mmHg
問題4
Non-dipperの成因として当てはまらないものはどれか.
A 就寝前の飲酒
B 睡眠時無呼吸症候群
C 慢性腎不全
D Parkinson病
E 食塩感受性高血圧
問題5
家庭血圧に関する次の記述で正しいものはどれか.1つ選べ.
A 家庭血圧の場合,125/80 mmHgのいずれか一方を満たせば高血圧と診断できる.
B 家庭血圧では複数回測定した時の個々の数値の変動性が,それらの平均値よりも重要である.
C アルコールを多量に飲むと,翌朝,家庭血圧が上昇する.
D 家庭血圧が高くても,病院の外来で測定した血圧が正常範囲ならば将来心血管疾患を発症するリスクは少ない.
E 病院の外来血圧のみ高く,家庭血圧が正常であれば白衣高血圧と診断され,基本的に無害であるためフォローアップの必要はない.
問題6
中心血圧に関連する記載で正しいのはどれか.
A 中心血圧は左室内の血圧を反映する.
B 増大係数(AI)算出には平均血圧と反射圧脈波を用いる.
C 血管障害進展に伴い中心血圧は低下する.
D 中心血圧推定には頸動脈が主に使用される.
E カルシウム拮抗薬は中心血圧を低下させる.
問題7
高血圧に伴う心筋障害の指標となるバイオマーカーはどれか.1つ選べ.
A N-Terminal pro-brain natriuretic peptide
B Cystatin C
C C-Reactive protein
D Adiponectin
E Liver type fatty acid binding protein(L-FABP)
問題8
原発性アルドステロン症について正しいのはどれか.1つ選べ.
A 全高血圧患者の約1%を占める.
B 低カリウム血症の例が多い.
C アルドステロン/レニン活性比が減少する.
D カプトプリル試験でアルドステロン濃度は低下しない.
E 副腎CTにより腫瘍の検出が容易である.
問題9
75歳の男性.健康診断にて高血圧を指摘され,来院となった.高血圧は今回初めての指摘である.
身体所見:血圧168/92 mmHg.腹部に血管雑音を聴取する.
尿・血液・生化学所見:血清Cr 1.8 mg/dL,尿蛋白12 mg/dL,尿Cr 220 mg/dL
まず最初に行うのに望ましい検査はどれか.2つ選べ.
A 腹部超音波
B 腎動脈ドプラ超音波
C 末梢血PRA
D 腎動脈CTアンギオ
E 腎動脈ガドリニウム造影MRアンギオ
問題10
薬剤誘発性高血圧について正しいのはどれか.2つ選べ.
A NSAIDsの持続投与はアンジオテンシンⅠ変換酵素阻害薬の降圧効果に影響を与えない.
B ステロイド投与による高血圧の治療には,Ca拮抗薬のみが有効である.
C 交感神経刺激薬投与による高血圧の治療には,β遮断薬単独投与が有効である.
D 免疫抑制薬投与による高血圧の治療には,Ca拮抗薬が有効である.
E 薬剤誘発性高血圧の治療の原則は,当該薬剤の減量・中止である.
問題11
閉塞性睡眠時無呼吸症候群の症状で間違っているのはどれか.2つ選べ.
A 寝汗
B 歯ぎしり
C いびき
D 夜間頻尿
E 情動脱力発作
問題12
生活習慣の修正について誤りはどれか.1つ選べ.
A 日本人の食塩摂取量は,平均して1日10 g以上である.
B 高血圧管理において推奨される食塩摂取量は,1日6 g未満である.
C 食品中の食塩量は,表示されたナトリウム量の約2.5倍である.
D 食塩制限により高血圧患者の収縮期血圧は1 gあたり約1 mmHg低下する.
E 随時尿でのNa,Cr測定によるNa/Cr比推定値の信頼性は高い.
問題13
次のなかからDASH食で多く摂取することが推奨されているものをすべて選べ.
A 動物性脂肪
B 野菜
C 魚介類
D 果物
E 大豆製品
問題14
高血圧症の栄養指導に関する記述で誤っているものはどれか.
A ナトリウム摂取量を2,400 mg/日未満にする.
B 重篤な腎障害を伴う患者には,野菜や果物の積極摂取は推奨されない.
C 肥満を合併している患者は,BMI 25未満を目指す.
D 運動強度の強い運動を毎日30分以上を目標に行う.
E 飲酒量は,男性でエタノール換算で20~30 mL/日以下に節酒する.
問題15
高血圧の運動療法について正しいのはどれか.
A 運動療法時には降圧薬を休薬する.
B 高齢者での降圧効果は期待できない.
C レジスタンス運動は血圧が上がるので避ける.
D NHKラジオ体操第1の運動強度は4メッツである.
E 無症状の高リスク例のメディカルチェックは省略する.
問題16
高齢者において,第一選択薬として用い難いものはどれか.
A 利尿薬
B β遮断薬
C Ca拮抗薬
D ACE阻害薬
E ARB
問題17
降圧薬併用療法に関して誤った記述はどれか.
A RA系阻害薬にCCBまたは利尿薬を組み合わせる併用が,最も汎用されている.
B ACE阻害薬とARBの併用では腎機能の悪化に注意する必要がある.
C β遮断薬と利尿薬の組み合わせは,ガイドライン上推奨されているが,代謝面での副作用が懸念される.
D CCBと利尿薬の組み合わせにおいても,心血管イベントを抑制する可能性が示されている.
E ガイドライン上,α遮断薬を含んだ併用療法も推奨されている.
問題18
降圧薬の配合剤の使用を控えるべき病態はどれか.1つ選べ.
A 未治療の高血圧
B ステージ3の慢性腎臓病合併の高血圧
C 糖尿病合併の高血圧
D ARB単剤で目標血圧値に到達していない高血圧
E ARBとアムロジピンの2剤併用で,目標血圧値に到達している高血圧
問題19
治療抵抗性高血圧への対応として,不適切なものはどれか.1つ選べ.
A 家庭血圧あるいは24時間血圧を評価する.
B 服薬アドヒアランスを確認し,是正する.
C 生活習慣について注意し,指導する.
D 薬物療法では,少量の降圧薬を多剤併用する.
E 薬物療法では,利尿薬を併用薬に含める.
問題20
合併症を有する高齢者高血圧に対する降圧薬の選択として,積極的適応と考えられる組み合わせを2つ選べ.
A 脳血管障害慢性期 ─ ARB
B 腎障害 ─ β遮断薬
C 脂質異常症 ─ 降圧利尿薬
D 心不全 ─ Ca拮抗薬
E 骨粗鬆症 ─ 降圧利尿薬
問題21
糖尿病合併高血圧の降圧療法に関して正しいものを選べ.
A 糖尿病網膜症がある場合は急激な降圧は避ける.
B 血圧値が130/85 mmHgであれば,生活習慣の改善のみとする.
C 降圧によるイベントのJ字現象は脳血管障害や腎イベントでは認められていない.
D RA系抑制薬が第一選択薬であり,十分な降圧を得るためにACE阻害薬とARBの併用も行う.
E 利尿薬は耐糖能悪化も懸念されるので,RA系抑制薬とCCBの次の第三選択薬として少量投与とする.
問題22
一定以上の蛋白尿を呈するCKD合併高血圧患者において,第一選択となる降圧薬はどれか.1つ選べ.
A サイアザイド系利尿薬
B 長時間作用型Ca拮抗薬
C ACE阻害薬
D レニン阻害薬
E β遮断薬
問題23
90歳女性.高血圧(アムロジピン5 mg,バルサルタン80 mg,インダパミド1 mg,いずれも1日量)にて加療中.8月に入り全身倦怠感を自覚し,外出することが少なくなった.診察室血圧100/50 mmHg(通常130/80 mmHg).血液生化学にて,尿素窒素40 mg/dL,クレアチニン2.1 mg/dL,ナトリウム131 mEq/L,カリウム4.0 mEq/L,尿酸10.0 mg/dL.さらなる問診,診察,検査の結果,熱中症と診断され,補液を行い,処方せんを発行して2週間後に再診とした.処方内容に関して最善策はどれか.
A バルサルタンを中止する.
B インダパミドを中止する.
C ベンズブロマロン50 mgを追加投与する.
D アロプリノール100 mgを追加投与する.
E 処方内容の変更は不要である.
問題24
妊婦に対して使用が禁忌である降圧薬はどれか.2つ選べ.
A メチルドパ
B ヒドララジン
C ラベタロール
D ACE阻害薬
E ARB
問題25
交感神経活動亢進による現象として誤っているものを1つ選べ.
A 血管収縮
B レニン分泌
C Na利尿
D 頻脈
E 心肥大
問題26
高血圧ワクチンを実用化するうえで関係のないものはどれか.
A アジュバント
B 抗体価
C 生ワクチン
D 抗原
E T細胞
(解答は本誌掲載) |