特集の理解を深めるための26題
問題1
本邦において,今後増加することが予想される疾患はどれか.2つ選べ.
A 萎縮性胃炎
B 十二指腸潰瘍
C 逆流性食道炎
D Barrett食道
E 胃癌
問題2
GERD・Barrett食道について間違っているものはどれか.
A 日本の胃食道逆流症(GERD)は近年,著しく増加しており,その原因として,食生活の欧米化,H. pylori 感染率の低下などが原因と考えられている.
B 日本の逆流性食道炎は,内視鏡上,LA分類B以下の軽症逆流性食道炎が多い.
C 日本におけるBarrett粘膜の大部分は,long segment Barrett's esophagus(LSBE)である.
D 日本では,Barrett粘膜の診断において,病理での腸上皮化生確認を必須としていない.
E 食道癌において,Barrett食道癌が半数を超える欧米と異なり,日本では扁平上皮癌が大多数を占める.
問題3
胃食道逆流について正しいのはどれか.1つ選べ.
A 胃酸逆流はLES圧が低値なときに発生する.
B 胃酸逆流は嚥下後のLES弛緩時に発生する.
C 胃酸逆流は夜間に多い.
D 食道pHモニタリングが非酸逆流の評価に有用である.
E 非酸逆流はPPI抵抗性NERDの主な原因である.
問題4
下記のGERDに関しての記述のうち,誤っているものはどれか.1つ選べ.
A GERDは問診だけでも診断可能である.
B GERDは胃内容物の食道内逆流により生じる.
C GERDの典型的な症状は,胸やけ,逆流感である.
D GERDは食道以外の疾患の病態にも関与している.
E 日本のGERDガイドラインでは,GERDの診断には内視鏡検査は必須である.
問題5
逆流性食道炎,Barrett食道およびBarrett食道腺癌に関する記述のうち,正しいものはどれか.1つ選べ.
A 逆流性食道炎のLos Angeles分類では,grade A,B,Cが軽症型で,grade Dが重症型である.
B Barrett食道の内視鏡診断には,Barrett粘膜の肛門側を示す食道胃接合部の位置診断が重要である.
C 内視鏡的な食道胃接合部は,食道柵状血管の下端で決めるのが唯一の方法である.
D 欧米における食道扁平上皮癌と腺癌の比率は,本邦におけるその比率と同等である.
E 表在型Barrett食道腺癌は食道下部の左側壁に多い.
問題6
Barrett食道に関する記載のなかで正しいものはどれか.1つ選べ.
A 本邦では,全周性に3 cm以上のlong segment Barrett esophagus(LSBE)が多い.
B 本邦では,腸上皮化生がないとBarrett粘膜とは診断されない.
C Barrett食道は食道扁平上皮癌の危険因子である.
D 胃食道逆流症はBarrett食道の危険因子である.
E 食道腺癌の背景粘膜は,すべて杯細胞を有する腸上皮型粘膜である.
問題7
次のうちGERD診療に用いられる患者自己記入式アンケートはどれか.2つ選べ.
A SACRA質問票
B GerdQ問診票
C MPQ質問票
D SDS質問票
E FSSG問診票
問題8
胃食道逆流症(GERD)との関連が少ない呼吸器疾患はどれか.1つ選べ.
A 喘息
B 慢性咳嗽
C 肺結核
D 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
E 特発性肺線維症
問題8
GERDと関連が示唆される疾患はどれか.1つ選べ.
A むずむず脚症候群
B 閉塞性睡眠時無呼吸症候群
C ナルコレプシー
D 概日リズム睡眠障害
E 周期性四肢運動障害
問題10
耳鼻咽喉科を受診する患者でGERDの関与が一番多い疾患はどれか.1つ選べ.
A 中耳炎
B 副鼻腔炎
C 咽喉頭炎
D 喉頭腫瘍
E 口内炎
問題11
胃食道逆流症(GERD)について誤っているのはどれか.1つ選べ.
A PPIは治療薬の1つである.
B 食道外症状の1つに歯牙酸蝕がある.
C 本邦でのGERD有病率は近年減少傾向にある.
D GERDの外科的治療は,胃食道逆流防止が目的である.
E 食道外症状の1つに閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSAS)がある.
問題12
好酸球性食道炎に関する記載のうち,正しいものはどれか.2つ選べ.
A 成人で最も多くみられる症状は胸やけである.
B Th2系の免疫反応により起こる.
C 高倍率1視野あたり5~10個の好酸球が食道上皮内に観察されれば可能性が高い.
D 90%以上は酸分泌抑制薬の内服で症状が改善する.
E ステロイドの局所投与が行われる.
問題13
アカラシアに対する治療で誤りはどれか.
A Ca拮抗薬
B 粘膜外食道筋層切開術+逆流防止術
C 内視鏡的バルーン拡張術
D ボツリヌス菌毒素局注療法
E プロトンポンプ阻害薬
問題14
間違っているものはどれか.1つ選べ.
A 腰椎の骨粗鬆症の有病率は年齢とともに上昇しているが,特に女性にその傾向が著しい.
B 60歳以上の逆流性食道炎の年齢階層別有病率は,女性よりも男性の有病率が急上昇している.
C 裂孔ヘルニアと脊椎圧迫骨折の間には有意な関連が認められる.
D 骨粗鬆症による亀背は逆流性食道炎の難治化に関連している.
E 骨粗鬆症にGERD症状を認めた場合には,ビスホスホネート製剤や非ステロイド消炎薬の影響も念頭に診察する必要がある.
問題15
胃食道逆流症(GERD)の惹起と悪化にかかわる薬剤として誤っているものを1つ選べ.
A カルシウム(Ca)拮抗薬
B 抗凝固薬
C 抗生物質
D 亜硝酸薬
E 非ステロイド系抗炎症薬
問題16
メタボリックシンドロームにおけるGERDの病態と関連性が低いのはどれか.2つ選べ.
A BMI>30 kg/m2
B 内臓脂肪蓄積型肥満
C 皮下脂肪蓄積型肥満
D 一過性下部食道括約筋弛緩
E 高アディポネクチン血症
問題17
以下のうち,機能性胸やけの診断において有用でない検査はどれか.1つ選べ.
A 持続pHモニタリング
B 上部消化管内視鏡検査
C PPI test
D 尿素呼気試験
E インピーダンス法
問題18
65歳の男性.安静時および労作に伴う胸痛を主訴に,胸部造影CT検査,冠動脈造影検査およびエルゴノビン負荷検査を施行されたが,異常所見を認めなかった.検討すべき内服薬はどれか,1つ選べ.
A Ca拮抗薬
B β遮断薬
C 硝酸薬
D プロトンポンプインヒビター
E アスピリン
問題19
H. pylori 除菌療法が保険適用とされていない疾患はどれか.1つ選べ.
A 胃MALTリンパ腫
B 十二指腸潰瘍
C 特発性血小板減少性紫斑病
D 逆流性食道炎
E 早期胃癌に対する内視鏡治療後胃
問題20
高齢者における胃食道逆流症(GERD)の増悪因子でないのはどれか.1つ選べ.
A NSAIDs
B 骨粗鬆症
C 虚血性心疾患
D 食道裂孔ヘルニア
E やせ
問題21
機能性ディスペプシア(FD)とGERDについて誤っているのはどれか.1つ選べ.
A FDはRome III基準で定義されている.
B FDでは食後のもたれ感,早期飽満感,心窩部痛,心窩部灼熱感の4項目のうち1つ以上の症状を認める.
C FDの症状発現部位は剣状突起より肛門側の心窩部領域である.
D FDとGERDのオーバーラップ率はおおむね50~60%である.
E FDに対してPPIが一定の効果を示す.
問題22
PPI(プロトンポンプ阻害薬)抵抗性のGERDに対する治療として適切でないものはどれか.1つ選べ.
A PPIの倍量投与
B 抗不安薬投与
C H2受容体拮抗薬(H2RA)の就寝前投与の追加
D 噴門形成術
E 非ステロイド抗炎症薬(NSAID)の投与
問題23
食道胃逆流症(GERD)について正しいものを選べ.
A GERDの罹患率は年々減少している.
B 日本人の胃酸分泌は以前に比し,減少している.
C 特定の食品摂取時にGERD症状が出現することが多い.
D 喫煙は食道蠕動を亢進する.
E 生活習慣に配慮すれば薬物療法は必要ない.
問題24
GERDの手術適応について誤りはどれか.1つ選べ.
A 内科的治療に失敗した症例
B 狭窄を合併する症例
C 高度の食道炎を合併する症例
D 口臭が高度な症例
E 喘息症状を有する症例
問題25
胃食道逆流症(GERD)について誤っているものはどれか.
A 24時間食道内圧モニタリングは診断に有用である.
B 内視鏡検査で食道粘膜傷害のある場合をいう.
C 滑脱型食道裂孔ヘルニアに起因するものが多い.
D 下部食道活約筋圧は初期に必ずしも低下を示しておらず,経過とともに低下を示すものが多い.
E 誤嚥性肺炎の原因になる.
問題26
表在型Barrett食道腺癌の治療として誤っているものはどれか.
A 内視鏡的粘膜下層剥離術
B ラジオ波焼灼術
C 内視鏡的粘膜切除術
D 内視鏡的結紮術
E 外科的手術
(解答は本誌掲載) |