HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧50巻2号(2013年2月号) 特集の理解を深めるための24題
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特集の理解を深めるための24題


問題1

脳卒中疑い患者への初期対応は患者の予後に大きく関与するため,適切な対応が必要である.次のうち,脳卒中の初期対応において不適切な対応はどれか.1つ選べ.

A 昨日発症した一過性片麻痺の患者を外来で経過観察する.
B 倉敷病院前脳卒中スケール(KPSS)を脳卒中の抽出と重症度の判定に用いる.
C 問診では特に発症時間を正確に聴取する.
D 神経診察として瞳孔の評価,構音障害,顔面や四肢の麻痺を確認する.
E 脳卒中の疑いがあると判断した場合は,速やかに脳卒中治療が可能な医療機関に搬送する.


問題2

76歳の男性.朝起きてこないので家族が様子を見に行くと,部屋で倒れており,右手足の動きが悪く呼びかけに返答がなかったため,救急搬送された.救急車内での血圧は134/70 mmHg,脈拍不整.意識レベルはJCS II-30で発語なし.初期対応で重要でないものはどれか.1つ選べ.

A 前日夜,普段通りに就寝した時間を確認する.
B 既往歴,内服薬を確認する.
C 意識が改善してから,詳細な神経学的所見を診察する.
D ただちに,頭部CTを施行する.
E 緊急で頸動脈超音波検査を施行する.


問題3

院内発症脳梗塞(in hospital ischemic stroke:IHIS)のハイリスクとして適切でないのはどれか.

A 心房細動
B 悪性腫瘍
C 高血圧
D 糖尿病
E 卵円孔開存


問題4

糖尿病,高血圧で加療中の62歳,男性.本日突然めまいを自覚し,両下肢に力が入らず立っていられなくなり道路に座り込んだ.約20分ほどすると完全に症状はなくなったとの訴えで来院した.来院時の血圧は160/90 mmHg,脈拍は60回/分,不整で心電図上心房細動を確認した.神経学的異常所見はなかった.頭部CTでは明らかな異常はみられなかった.あなたは無症診療所で診療する医師です.この患者の対応として適切なものはどれか.1つ選べ.

A クレセンドTIAであり,脳卒中の専門施設に救急搬送する.
B めまいのみの発作でありTIAは否定的で,何かあれば来院するよう指示して帰宅させる.
C ABCD2スコアは2点でTIAの低リスク群であり,何かあれば来院するよう指示して帰宅させる.
D 直ちにワルファリン2 mgを投与する.
E 直ちにアスピリン200 mgを投与する.


問題5

以下に挙げる中枢性呼吸障害パターンのうち,最も予後不良とされているのはどれか.1つ選べ.

A Cheyne-Stokes呼吸
B 中枢性過換気
C 持続性吸息呼吸
D 失調性(biot)呼吸
E 睡眠時無呼吸


問題6

意識障害患者の麻痺を検出する検査法はどれか.

A Barré徴候
B Mingazzini徴候
C くぼみ手徴候
D 第5指徴候
E 落下試験


問題7

MRIによるrt-PA静注療法の適応決定において必須の検査はどれか.2つ選べ.

A MRA
B T1強調画像
C T2強調画像
D 拡散強調画像
E 灌流強調画像


問題8

奇異性脳塞栓症の診断に有用な検査はどれか.3つ選べ

A 頸動脈超音波検査
B 経頭蓋超音波検査
C 経胸壁心臓超音波検査
D 経食道心臓超音波検査
E 下肢静脈超音波検査


問題9

脳血管造影(DSA)の積極的適応と考えられる例はどれか.2つ選べ.

A ラクナ梗塞例
B 高齢者の視床出血例
C 脳ドックの頭部MRAで発見された径2 mmの未破裂脳動脈瘤例
D 頸動脈エコーで診断された狭窄率80%の症候性頸動脈狭窄例
E t-PA静注後に改善のない,発症4時間の脳底動脈閉塞による脳梗塞例


問題10

閉塞性脳主幹動脈病変例でEC-IC bypass術の適応となるのはどれか.1つ選べ.

A 75歳.右内頸動脈系TIA.安静時CBF 30 mL/100 g/min,脳血管反応性5%
B 60歳.椎骨脳底動脈系TIA.安静時CBF 40 mL/100 g/min,脳血管反応性20%
C 70歳.左中大脳動脈塞栓症発症6カ月後.寝たきり.安静時CBF 25 mL/100 g/min,脳血管反応性10%
D 70歳.無症候性右内頸動脈閉塞.安静時CBF 20 mL/100 g/min,脳血管反応性-10%
E 72歳.左中大脳動脈塞栓症発症1カ月.安静時CBF 30 mL/100 g/min,脳血管反応性0%


問題11

主に心筋で分泌され,心不全の指標に用いられているバイオマーカーはどれか.1つ選べ.

A PF4
B BNP
C TAT
D β-TG
E D-dimer


問題12

次のうち正しいものはどれか.2つ選べ.

A ラクナ梗塞(LI)はsmall vessel diseaseであるが,再発,機能障害,生命などに関する長期予後は,非ラクナ型に比べ,必ずしも良好とはいえない.
B Branch atheromatous diseaseでは,必ず,MRAなどで同定される母動脈の有意な動脈硬化を伴う.
C 近位部の主幹動脈が50%以上の狭窄を示しても,拡散画像で梗塞サイズが15 mm以下の小梗塞がみられる場合は,心原性脳塞栓など,その他の原因を考える.
D 頸動脈の高度狭窄で内膜剥離術や血管内治療が適応できない場合,スタチン,EPA製剤,抗血小板薬などの内科治療が有効となり得る.


問題13

心原性脳塞栓症について正しいのはどれか.1つ選べ.

A 血小板血栓が塞栓源となる.
B 非弁膜症性心房細動が1/3を占める.
C 持続性心房細動の脳塞栓発症リスクは発作性心房細動よりも高い.
D 房室ブロックは洞不全症候群よりも心原性脳塞栓症をきたしやすい.
E 僧帽弁狭窄症は僧帽弁閉鎖不全症よりも心原性脳塞栓症をきたしやすい.


問題14

大動脈原性脳塞栓症に関する次の記述のうち,正しいものを2つ選べ.

A 経食道心臓超音波検査での厚さ4 mm以上の動脈硬化性病変は脳梗塞の発症と関連する.
B 大動脈弓部の動脈硬化性病変に潰瘍や可動性の病変が存在しても脳梗塞発症リスクが上がることはない.
C 抗血栓療法は禁忌である.
D 胸部大動脈近位側の病変はすべて経食道心臓超音波検査で検出可能である.
E 可動性病変の評価には超音波検査が有用である.


問題15

奇異性塞栓症の発症に関与するものはどれか.1つ選べ.

A 大動脈弁狭窄症
B 急性心筋梗塞
C 拡張型心筋症
D 卵円孔開存
E 心房細動


問題16

人工心肺使用中に急激な血小板数の低下を認め,回路内の血栓形成を認めたため,ヘパリン起因性血小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia:HIT)を疑い直ちにヘパリン投与を中止した.次に行う処置で適切なものはどれか.1つ選べ.

A 経口抗凝固薬(ワルファリン)単剤投与
B 血小板輸血
C 抗トロンビン薬投与
D 抗血小板薬投与
E メシル酸ナファモスタット投与


問題17

超急性期の脳梗塞治療において適切でないものはどれか.1つ選べ.

A rt-PA静注療法の適応は,脳梗塞発症から4.5時間以内である.
B 発症直後に来院した患者に対しては,rt-PA静注療法可能時間に余裕があるため,じっくりと時間をかけて精査をし治療を開始する.
C rt-PA静注療法を行うにあたっては,大動脈解離を除外することが必須である.
D rt-PA静注療法の治療効果を高めるにはdoor-to-needle timeの短縮が重要である.
E telestrokeの活用によって,専門医不在の地域における脳卒中診療レベルの向上や患者自身の機能予後の改善が期待できる.


問題18

rt-PA静注療法の適応となるのはどれか.

A 前日就寝時は普段どおりだったが,起床時に全失語,右片麻痺で発見され3時間以内に搬送された症例
B 発症4.5時間以内の脳梗塞症例
C 小さな被殻出血の既往を有する症例
D 3週間前の脳梗塞の既往を有する症例
E 来院時のPT-INRが1.8であった症例


問題19

脳梗塞急性期治療における脳保護療法で正しいものはどれか.1つ選べ.

A tPAとの併用はできない.
B エダラボンは発症後24時間以降でも開始できる.
C エダラボンの適応は発症後7日目までである.
D Neurovascular unit障害を軽減する.
E 低体温療法は脳保護療法ではない.


問題20

睡眠時無呼吸症候群について正しいのはどれか.2つ選べ.

A 肥満の軽い本邦では欧米に比べて,睡眠時無呼吸症候群の有病率は低い.
B 延髄,橋,中脳や大脳皮質の障害によりさまざまな呼吸障害がみられる.
C 閉塞性睡眠時無呼吸症候群は主に脳梗塞の結果生じ,中枢性無呼吸症候群は脳梗塞の危険因子として存在する場合が多い.
D 閉塞性睡眠時無呼吸症候群は脳卒中の主要な危険因子の1つであり,CPAP治療は有効である.
E 睡眠時無呼吸症候群は70歳以上の高齢者では脳血管障害のリスクとはならない.


問題21

早期リハビリテーション(リハ)について正しいものはどれか.1つ選べ.

A 一般病棟と脳卒中ユニットで退院時機能予後に差はない.
B 急性期リハはリハチームによる集中的かつ包括的なリハを行い最大限の回復および早期の社会復帰を目指す.
C 脳卒中の運動麻痺の評価としてFIM(functional independence measure)が用いられる.
D 口腔ケアは誤嚥性肺炎の予防に役立つ.
E 嚥下障害に対する間接訓練では食形態を考慮した食材を用いる.


問題22

72歳,男性.糖尿病,高血圧症を有し,脳梗塞後遺症としてごく軽度右片麻痺はあるも認知症なく自立歩行レベルにて暮らしていた.左頸部頸動脈狭窄が確認されている.1年前から通院を自己中断している.本日起床時から歩行が不安定となり言葉も話しにくいため昼に妻に付き添われ受診となった.来院時意識JCS I-2,軽度右片麻痺,血圧212/98 mmHgであった.適切な処置を選べ.

A 降圧薬を処方し帰宅経過観察とする.
B アスピリンを処方し帰宅経過観察とする.
C 自院で点滴補液し経過をみる.
D 紹介状を書き近日中の専門医受診を勧める.
E 専門医へ連絡し緊急での転送を手配する.


問題23

頭蓋内出血が少ない抗血栓薬はどれか.

A アスピリンやチクロピジン
B ワルファリンやアルテプラーゼ
C シロスタゾールやダビガトラン
D モンテプラーゼやウロキナーゼ
E アスピリンとジピリダモールの併用


問題24

虚血性脳血管障害に対する外科治療の適応として正しいのはどれか.2つ選べ.

A 症候性頸動脈狭窄(70%)に対する頸動脈内膜剥離術(CEA)
B 症候性頸動脈狭窄症(50%)に対する頸動脈内膜剥離術(CEA)
C 無症候性頸動脈狭窄(70%)に対する頸動脈ステント留置術(CAS)
D 無症候性内頸動脈閉塞症に対するEC-ICバイパス
E 循環予備能が低下した中大脳動脈狭窄症に対するEC-ICバイパス


(解答は本誌掲載)