HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧49巻8号(2012年8月号) 今月の主題「理解のための26題」
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今月の主題

「理解のための26題」


問題1

32歳男性.検診で受診時の血清尿酸値8.5 mg/dlであった.痛風関節炎の既往もなく,ほかの検査所見に異常は認めなかったが,BMI=28.5と肥満を認めた.正しくないのはどれか.1つ選べ.

A:血清尿酸値を再検する.
B:肥満の改善を指示する.
C:飲酒の制限を指導する.
D:過去の検診記録を調べさせる.
E:アロプリノール100 mgを処方する.


問題2

次のうち正しいものを2つ選べ.

A:血清尿酸値はほとんど遺伝的要因で決まる.
B:高尿酸血症をきたす遺伝病は頻度が比較的高い.
C:GWAS(ゲノムワイド関連解析)で用いられるSNPの数は1千個程度である.
D:血清尿酸値を対象としたGWASは量的形質を対象としたものである.
E:複数のトランスポーターが血清尿酸値に関係している.


問題3

ベンズブロマロンの主な作用機序として正しいのは次のうちどれか.1つ選べ.

A:URAT1による尿酸再吸収を阻害し,尿酸排泄を促進する.
B:GLUT9による尿酸再吸収を阻害し,尿酸排泄を促進する.
C:ABCG2による尿酸分泌を促進し,尿酸排泄を抑制する.
D:キサンチンオキシダーゼによる尿酸合成を阻害し,尿酸排泄を抑制する.
E:ウリカーゼによる尿酸分解を促進し,尿酸排泄を抑制する.


問題4

血清尿酸値を上昇させるのはどれか.2つ選べ.

A:牛乳
B:ビール
C:コーヒー
D:グルコース
E:フルクトース


問題5

高尿酸血症・痛風について,正しいのはどれか.1つ選べ.

A:女性では閉経後,減少する.
B:高尿酸血症は,ほとんどが痛風を発症する.
C:成人男性における高尿酸血症の頻度は,10%以下である.
D:日本における痛風の男女比は,約10:1である.
E:高尿酸血症は,腎障害のリスクとなる.


問題6

高尿酸血症をきたさない疾患はどれか.1つ選べ.

A:ダウン症候群
B:重症脱水症
C:Wilson病
D:HGPRT欠損症
E:チアノーゼ性心疾患


問題7

痛風発作発症の起点となるサイトカインはどれか.1つ選べ.

A:TNF-α
B:IL-1β
C:IL-6
D:IL-8
E:TGF-β


問題8

痛風関節炎について正しいのはどれか.1つ選べ.

A:発赤は伴わない.
B:60%に再発を認める.
C:2週間以内に改善する.
D:痛風結節は後頭部に多い.
E:発症後1週間で関節痛がピークに達する.


問題9

急性単関節炎の診断を進めるうえにおいて,次のうち正しいものを1つ選べ.

A:痛風,偽痛風などの結晶誘発性関節炎と化膿性(敗血症性)関節炎が合併することはない.
B:急性の膝関節炎があり単純X線で膝軟骨に石灰沈着が認められたら,偽痛風性関節炎の診断を確定することができる.
C:関節液中の白血球数が50,000/mm3以下なら化膿性(敗血症性)関節炎は否定できる.
D:化膿性(敗血症性)関節炎ではグラム染色の陽性率はほぼ100%と高い.
E:化膿性(敗血症性)関節炎では関節破壊の進行が早い.


問題10

痛風発作の治療について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:痛風発作の治療にはNSAIDsやグルココルチコイドなど抗炎症薬を短期に用いる.
B:尿酸降下薬は発作時には開始しない.
C:尿酸降下薬は発作が起きたら中止し,抗炎症薬の治療をする.
D:NSAIDsは高齢者や消化管潰瘍の既往,心・腎障害など注意が必要である.
E:コルヒチンカバーは連日0.5 mg錠を内服する発作予防療法である.


問題11

健診において高尿酸血症を有する受診者に合併しやすい病態として,正しいのはどれか.1つ選べ.

A:肥満
B:高血圧
C:脂質異常症
D:慢性腎臓病(CKD)
E:上記のすべて


問題12

腎性低尿酸血症で,合併しやすい疾患はどれか.2つ選べ.

A:尿路結石
B:低カリウム血症
C:運動後急性腎不全
D:尿細管性アシドーシス
E:横紋筋融解症


問題13

痛風患者の外来マネジメントについて正しいものを1つ選べ.

A:痛風発作を疑ったときは,直ちに血清尿酸値を測定して血清尿酸値が高値であれば尿酸降下薬を開始する.
B:母趾基節部発赤腫脹疼痛を主訴として受診した患者の血清尿酸値を測定したところ3.2 mg/dlと低値であったため痛風を否定した.
C:血清尿酸値が正常範囲の状態が1年以上続き,痛風発作の再発も認めなかったため尿酸降下薬を中止した.
D:尿酸降下薬服用中に痛風発作が再発した場合は,尿酸降下薬と非ステロイド系消炎鎮痛薬などを併用する.
E:コルヒチンを発作間欠期に服用しても痛風発作の予防効果は期待できない.


問題14

混合型高尿酸血症の原因となるのはどれか.1つ選べ.

A:Lesch-Nyhan症候群
B:溶血性貧血
C:腫瘍融解症候群
D:Down症候群
E:飲酒


問題15

高血圧合併高尿酸血症の治療に対する考え方について正しいのはどれか.2つ選べ.

A:高血圧患者では産生過剰型高尿酸血症が多い.
B:血清尿酸値が7 mg/dlを超えた場合,尿酸降下薬の投与を検討する.
C:カルシウム拮抗薬やARBのロサルタンは高尿酸血症合併例に適した薬剤である.
D:利尿薬による尿酸値の上昇は痛風や心血管病のリスクとなる.
E:女性では尿酸値が低く,高血圧や心血管リスクとしての意義は低い.


問題16

高血圧合併高尿酸血症に関して間違ったものを1つ選べ.

A:生活習慣の改善では特に肥満の是正が重要である.
B:血清尿酸値は9 mg/dl以上から治療開始を考慮し,4 mg/dl以下を目指す.
C:酸性尿の場合は尿のアルカリ化を行う.
D:病型分類に即して尿酸コントロール薬の種類を選択する.
E:降圧薬は尿酸代謝に好ましい薬剤を選択する.


問題17

高尿酸血症の誘因となる病態・事例で適当でないものはどれか.1つ選べ.

A:果物の過剰摂取
B:利尿薬の投与
C:閉経
D:高インスリン血症
E:尿酸生成抑制薬(キサンチン酸化酵素阻害薬)の投与


問題18

高尿酸血症と関係しないのはどれか.1つ選べ.

A:高血圧
B:アルカリ尿
C:慢性腎臓病
D:インスリン抵抗性
E:メタボリックシンドローム


問題19

尿路尿酸結石の再発予防としてふさわしくないものはどれか.1つ選べ.

A:アロプリノール投与
B:飲水指導
C:ベンズブロマロン投与
D:尿アルカリ化薬投与
E:食事指導


問題20

血清尿酸値を低下させる薬剤のうち,腎機能障害例に投与した場合に腎機能障害を悪化させるものはどれか.1つ選べ.

A:アロプリノール
B:フェブキソスタット
C:ベンズブロマロン
D:プロベネシド
E:上記のいずれでもない


問題21

アロプリノールの副作用で最も多いものはどれか.1つ選べ.

A:肝障害
B:腎障害
C:骨髄抑制
D:痛風発作
E:Stevens-Johnson症候群


問題22

新規高尿酸血症治療薬フェブキソスタットについて誤っているものを1つ選択せよ.

A:フェブキソスタットは非プリン体骨格をもつ尿酸生成抑制薬である.
B:フェブキソスタットは,軽度から中程度の腎機能低下患者において用量調節なしに使用できる.
C:フェブキソスタットは1日2回内服が必要である.
D:血清尿酸値を6.0 mg/dl以下にコントロールするようにフェブキソスタットの維持用量を調節する.
E:成人にはフェブキソスタット1日10 mgの少量から開始する.


問題23

誤っているのはどれか.2つ選べ.

A:ベンズブロマロンはURAT1を阻害する.
B:ベンズブロマロンは尿酸産生を抑制する薬剤である.
C:ベンズブロマロンは肝機能障害を有する患者でも使用しやすい.
D:尿路結石を有する患者ではベンズブロマロンを使用しない.
E:ベンズブロマロンはワルファリンと相互作用をきたす.


問題24

高尿酸血症をきたす薬物はどれか.2つ選べ.

A:シルニジピン
B:スピロノラクトン
C:ヒドロクロロチアジド
D:ピラジナミド
E:ロサルタン


問題25

腫瘍融解症候群が生じやすいのはどれか.1つ選べ.

A:膵がん
B:Burkittリンパ腫
C:濾胞性リンパ腫
D:肺腺がん
E:多発性骨髄腫


問題26

高尿酸血症・痛風患者の生活指導で適切なものを1つ選べ.

A:食事指導は,厳格なプリン体制限を主体とする.
B:エネルギー摂取制限を行っても血清尿酸値は改善しない.
C:血清尿酸値の低下作用に優れた無酸素運動を推奨する.
D:プリン体カットのビールなら,血清尿酸値は上昇しない.
E:尿路結石を予防するために,十分な飲水で尿量を確保する.


(解答は本誌掲載)