今月の主題
「理解のための20題」
問題1
経口抗トロンビン薬による出血性副作用に改善効果のみられるのはどれか.1つ選べ.
A:血漿交換
B:トロンビン製剤
C:新鮮凍結血漿輸血
D:非活性化凝固因子濃縮製剤
E:活性化凝固第VII因子製剤
問題2
次の各疾患で抗血小板薬の適応とはならないものはどれか.1つ選べ.
A:慢性動脈閉塞症
B:脳梗塞
C:一過性脳虚血発作(TIA)
D:心房細動
E:経皮的冠動脈形成術(PCI)が適応される急性冠症候群
問題3
心房細動症例の抗凝固療法について正しいものを1つ選択せよ.
A:脳卒中予防のために全例抗凝固療法を施行すべきである.
B:アスピリンが第一選択である.
C:ワルファリンの薬効をモニタリングする必要はない.
D:新規経口抗凝固薬はワルファリン治療に勝る.
E:合併するリスク因子と患者の意思に併せて適切な介入を考えるべきである.
問題4
次のうち,ダビガトランについて正しいものはどれか.2つ選べ.
A:第Xa因子阻害薬である.
B:プロドラッグであり,吸収されてはじめて活性体になる.
C:血中半減期は約24時間である.
D:腎臓から約80%が排泄される.
E:バイオアベイラビリティは高い.
問題5
以下の文章で誤っているものはどれか.1つ選べ.
A:ワルファリン投与中の患者について,長期にわたりPT-INRが安定し,出血性合併症がなくてもモニタリングは必要である.
B:Xa阻害薬は,出血部で止血のために生成されたトロンビンの活性は阻害せず,ワルファリンなどに比べて副作用としての出血傾向誘発のリスクが少ないことが期待できる.
C:急性冠症候群の血管形成術後に抗血小板治療に加えて,ワルファリンを投与したところ二次予防効果が向上した.
D:直接Xa阻害薬リバーロキサバン,アピキサバンは低分子量ヘパリンと比較して整形外科手術後の血栓症予防により有効である.
E:直接Xa阻害薬リバーロキサバン,アピキサバンはワルファリンと比較して心房細動の血栓症予防により有効である.
問題6
以下のうち,新しい経口抗トロンビン薬はどれか.
A:ダビガトラン
B:リバーロキサバン
C:アピキサバン
D:エドキサバン
E:ワルファリン
問題7
心房細動の抗凝固療法について正しいものはどれか.1つ選べ.
A:高齢者の心房細動には抗凝固療法は不要である.
B:ワルファリンはアミオダロンで影響を受けるが,経口トロンビン阻害薬のダビガトランは影響を受けない.
C:心房細動の塞栓症の高リスク群は出血に関する高リスク群でもある.
D:心房細動の塞栓症予防に対してワルファリンを使用しており安定している患者も,ダビガトランはより有効であり切り替えるべきである.
E:弁膜症を伴う心房細動患者でダビガトランは有効である.
問題8
アピキサバンについて,次のうち正しいのはどれか.1つ選べ.
A:トロンビン阻害薬である.
B:非弁膜症性心房細動患者の脳塞栓症,全身性塞栓症の予防に有効な薬剤である.
C:ワルファリンに比較し半減期が長い.
D:ワルファリンに比較し薬物相互作用が多い.
E:ワルファリンに比較し出血性合併症は同等である.
問題9
ワルファリン療法で正しいのはどれか.1つ選べ.
A:モニタリングはPT-INRで行う.
B:モニタリングはトロンボテストで行ってもよい.
C:PT-INRがいったん治療域に入ればモニタリングは不要である.
D:納豆は少量なら摂取を許可してよい.
E:内服を開始すると約4時間後から抗凝固作用を発揮する.
問題10
以下のうちで正しいものはどれか.1つ選べ.
A:経口抗トロンビン薬は抗凝固作用にアンチトロンビンを必要とする.
B:抗トロンビン薬投与時にAPTTは延長しうる.
C:経口Xa阻害薬の作用はワルファリン同様にPTでモニタリングできる.
D:経口抗トロンビン薬は他の凝固因子活性測定に影響を及ぼさない.
E:経口Xa阻害薬はトロンビン時間に影響を及ぼす.
問題11
APTTが延長するにもかかわらず出血傾向をきたさないのはどれか.1つ選べ.
A:凝固第XII因子欠損症
B:凝固第XI因子欠損症
C:凝固第IX因子欠損症
D:凝固第VIII因子欠損症
E:凝固第XIII因子欠損症
問題12
選択的トロンビン阻害薬ダビガトランの脳梗塞再発予防の適応として正しいのはどれか.1つ選べ.
A:人工心臓弁置換による脳梗塞
B:非弁膜症性心房細動による脳梗塞
C:内頸動脈狭窄患者の血行力学的脳梗塞
D:アテローム血栓性脳梗塞
E:ラクナ梗塞
問題13
心房細動に対して抗凝固療法を行われている78歳女性.高血圧以外の合併症はない.血圧の管理目標は以下のどれか.1つ選べ.
A:収縮期血圧150 mmHg,拡張期血圧90 mmHg
B:収縮期血圧140 mmHg,拡張期血圧90 mmHg
C:収縮期血圧135 mmHg,拡張期血圧85 mmHg
D:収縮期血圧130 mmHg,拡張期血圧80 mmHg
E:収縮期血圧125 mmHg,拡張期血圧75 mmHg
問題14
慢性腎臓病患者における心房細動について正しいのはどれか.1つ選べ.
A:慢性腎臓病患者における心房細動の罹患率は,非慢性腎臓病患者に比して低値である.
B:慢性腎臓病患者では血栓塞栓症と出血性疾患双方の罹患率が高い.
C:保存期慢性腎臓病患者では,心房細動合併による血栓性合併症の発症率の増加は確認されない.
D:血液透析患者では,透析中のカリウムの低下が小さいと心房細動が起きやすい.
E:血液透析患者の心房細動はダビガトランの適応疾患の1つである.
問題15
安定狭心症に対し,金属ステント(BMS)を用いて冠動脈インターベンション(PCI)を行った.術後にアスピリン+チエノピリジン系の2剤の抗血小板療法を続けるべき期間のうち正しいのはどれか.1つ選べ.
A:1日
B:1週間
C:1カ月
D:1年
E:BMSには2剤の抗血小板薬は不要
問題16
次のうちダビガトラン投薬禁忌ではないのはどれか.1つ選べ.
A:腎不全患者
B:イトラコナゾールを服用中の患者
C:5カ月前に食道静脈瘤からの出血を認めた患者
D:慢性肝炎患者
E:出血傾向のある肝硬変患者
問題17
以下のうち,正しいものを1つ選択せよ.
A:ランダム化比較試験により有効性,安全性を証明された治療法がよい治療法である.
B:ランダム化が適切に行われれば,二重盲検化は必ずしも必要ない.
C:ランダム化比較試験の結果をそのまま実臨床に応用できるとは限らない.
D:新規経口抗凝固薬の使用により出血性合併症が減少する.
E:新規経口抗凝固薬のなかではアピキサバンがもっとも優れている.
問題18
下記の凝固因子において,著明な活性低下によっても重症出血を生じにくい因子を1つ選べ.
A:VIII因子
B:IX因子
C:VII因子
D:X因子
E:XI因子
問題19
ダビガトラン服用中の患者が脳出血を発症した場合の対応として誤っているものはどれか.1つ選べ.
A:ダビガトランの休薬
B:活性炭の投与
C:昇圧薬の投与
D:プロトロンビン複合体製剤の投与
E:外科治療(開頭血腫除去術)
問題20
抗血栓薬を内服中の患者のうち,上部消化管出血のリスクが比較的低いものを1つ選べ.
A:十二指腸潰瘍の既往歴を有する者
B:低用量アスピリンと腰痛に対する鎮痛薬の併用者
C:心筋梗塞の再発予防に低用量アスピリンを内服している75歳の男性
D:原疾患が脳梗塞で低用量アスピリンを内服している者
E:H. pylori 感染陽性者
(解答は本誌掲載) |