HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧49巻3号(2012年3月号) 今月の主題「理解のための27題」
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今月の主題

「理解のための27題」


問題1

気管支喘息とCOPDの鑑別に有用なものはどれか.2つ選べ.

A:病歴と身体所見
B:胸部X線写真
C:気道可逆性試験
D:気道過敏性試験
E:薬物療法の効果


問題2

日本のCOPDの有病率はどのくらいと考えられるか.

A:約0.2%
B:約2%
C:約10%
D:約20%
E:約50%


問題3

重篤な喘息発作の誘因はどれか.2つ選べ.

A:喫煙
B:過労
C:気道感染
D:β2刺激薬
E:胃食道逆流症


問題4

FEV1低下に関与しない因子はどれか.1つ選べ.

A:喫煙
B:加齢
C:増悪
D:気道可逆性
E:心血管系疾患


問題5

COPDの多面的評価について正しいものはどれか.1つ選べ.

A:予測値に対する1秒量が予後予測因子としては最良である.
B:COPD患者の死因のほとんどは増悪や呼吸不全である.
C:BODE indexでは,増悪の回数がスコアに含まれる.
D:MRCスケールを用いた呼吸困難の評価は有用である.
E:COPD Assessment Test(CAT)はCOPDの診断に有用である.


問題6

アトピー型喘息と非アトピー型喘息で治療効果が異なる薬剤はどれか.1つ選べ.

A:吸入ステロイド薬
B:抗IgE抗体(オマリズマブ)
C:ロイコトリエン受容体拮抗薬
D:長時間作用性β2刺激薬
E:テオフィリン


問題7

アトピー型喘息と比較したときの非アトピー型喘息の特徴で誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:高齢発症が多い.
B:血清総IgE値が低値である.
C:気道粘膜にTh2型炎症がみられる.
D:軽症例が多い.
E:女性に多い.


問題8

オーバーラップ症候群について誤っているのはどれか.1つ選べ.

A:発作性の呼吸困難がある.
B:体動時の呼吸困難がある.
C:アトピー素因がある.
D:喫煙歴がある.
E:気管支拡張薬吸入後の1秒率(FEV1/FVC)は70%以上である.


問題9

スギ花粉によるアレルギー性鼻炎合併喘息患者で,吸入ステロイドの増量でも喘息コントロールが不十分な場合の対処法について正しいものを2つ選べ.

A:吸入ステロイドの効果がないと判断されるため中止する.
B:アレルゲン免疫療法を考慮する.
C:短時間作用性β2刺激薬の頓用のみで対処する.
D:ロイコトリエン受容体拮抗薬を併用する.
E:キサンチン製剤を併用する.


問題10

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症について正しいものを1つ選べ.

A:組織学的に肉芽腫病変を認める.
B:MPO-ANCA陽性例が多い.
C:神経炎症状を伴う.
D:抗真菌治療薬と吸入ステロイド薬併用が治療の第一選択である.
E:シクロスポリンが著効する.


問題11

リンパ脈管筋腫症(LAM)で誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:癌抑制遺伝子であるTSC遺伝子の異常で生じる腫瘍性疾患である.
B:妊娠可能年齢の女性に発症するため,高齢者で嚢胞性病変を呈する場合には,LAMは否定的である.
C:胸部X線写真ではCOPDのほかに間質性肺炎と鑑別困難な場合がある.
D:鑑別,診断にあたっては,スライス厚1~2 mmのCTで評価することが重要である.
E:国際共同臨床試験により,シロリムス(mTOR阻害薬)が肺機能を安定化することが明らかにされた.


問題12

気流閉塞が軽度であるCOPDにおける死因で比率が最も高いのはどれか.1つ選べ.

A:肺高血圧症
B:肺癌
C:虚血性心疾患
D:呼吸不全
E:気胸


問題13

COPDに合併した肺高血圧症の治療として,生命予後を改善するのはどれか.1つ選べ.

A:リハビリテーション
B:長期(在宅)酸素療法
C:抗凝固療法
D:エンドセリン受容体拮抗薬の投与
E:ホスホジエステラーゼ5(PDE-5)阻害薬の投与


問題14

喘息増悪時の治療で誤っているのはどれか.1つ選べ.

A:軽症(小発作)の初期治療として全身ステロイド投与を行う.
B:短時間作用性β2刺激薬の反復吸入は発作初期治療では重要である.
C:テオフィリン投与は頻脈,不整脈があるときは控える.
D:酸素飽和度を目安にして迅速に酸素投与を行う.
E:細菌感染が疑われる場合は抗菌薬投与を行う.


問題15

咳喘息にみられる所見はどれか.1つ選べ.

A:聴診にて呼気時喘鳴(wheezes)
B:スパイロメトリーにて閉塞性換気障害
C:咳受容体感受性の亢進
D:β2刺激薬が有効
E:少量長期マクロライド療法が有効


問題16

COPDの増悪を予測する因子として最も重要なものを1つ選べ.

A:生涯喫煙量
B:過去の増悪歴
C:好酸球増多
D:血小板増多
E:SP-D高値


問題17

COPDの増悪時に用いられる薬物療法で正しいのはどれか.2つ選べ.

A:短時間作用性β2刺激薬は10分ごとに頻回に吸入する.
B:メチルキサンチンの血中濃度は8~15 μg/mlに調節する.
C:レスピラトリーキノロン薬を14日間続ける.
D:プレドニゾロン60 mg/日を14日間投与する.
E:長時間作用性抗コリン薬は増悪予防効果がある.


問題18

次のCOPD患者の肺炎について正しいのはどれか.2つ選べ.

A:増悪の原因としては多くない.
B:病原微生物ではMoraxella catarrhalisが多い.
C:治療に全身性ステロイドは使用しない.
D:吸入ステロイドがリスクとなる可能性がある.
E:健常者と比べて明らかに予後不良である.


問題19

軽症気管支喘息について,間違っているものを1つ選べ.

A:軽症気管支喘息でも喘息死を起こしうる.
B:発作時は短時間作用性β2刺激薬を使用する.
C:吸入ステロイドはコントロール良好となれば,できるだけ早期に積極的に中止する.
D:吸入ステロイドは喘息の診断がつけば早めに導入するほうがその後のコントロールを改善する.
E:『喘息予防・管理ガイドライン2009』では,治療ステップ1でも吸入ステロイドの使用を推奨している.


問題20

抗IgE抗体(オマリズマブ)について間違っているものはどれか.1つ選べ.

A:遊離IgEを減少させる.
B:急性増悪の頻度を減少させる.
C:重症持続型患者に適応となる.
D:ヒト化抗IgE単クローン抗体である.
E:高親和性受容体に結合しているIgEにも結合する.


問題21

大規模臨床試験によりQOLの改善効果が報告されていない治療介入はどれか.1つ選べ.

A:短時間作用性β2刺激薬による薬物療法
B:長時間作用性β2刺激薬による薬物療法
C:長時間作用性抗コリン薬による薬物療法
D:呼吸リハビリテーション
E:セルフマネジメント教育


問題22

喘息発作時に用いる薬剤として正しいものはどれか.1つ選べ.

A:短時間作用性β2刺激薬
B:短時間作用性抗コリン薬
C:長時間作用性β2刺激薬
D:長時間作用性抗コリン薬
E:吸入ステロイドと長時間作用性β2刺激薬の配合薬


問題23

喘息とCOPDのオーバーラップ症候群の治療に必須の薬剤はどれか.1つ選べ.

A:吸入ステロイド
B:テオフィリン徐放製剤
C:長時間作用性β2刺激薬
D:長時間作用性抗コリン薬
E:ロイコトリエン受容体拮抗薬


問題24

長時間作用性抗コリン薬,長時間作用性β2刺激薬およびテオフィリン製剤を使用しても増悪を繰り返す重症COPDで,追加使用する治療薬として最も適切なのはどれか.1つ選べ.

A:抗IgE抗体
B:ロイコトリエン受容体拮抗薬
C:ヒスタミン(H1)受容体拮抗薬
D:吸入用ステロイド
E:トロンボキサンA2阻害・拮抗薬


問題25

以下の記載のうち正しいものを2つ選べ.

A:呼吸不全のうち,PaCO2が45 Torr以上の場合,I型に分類される.
B:PaO2が60 Torr以下の場合,在宅酸素療法の適応となる.
C:在宅酸素療法はCOPDの生命予後を改善する効果がある.
D:平均肺動脈圧が40 Torrの場合,在宅酸素療法の適応とならない.
E:肺性心の原因として最も頻度が高い疾患はCOPDである.


問題26

COPDの急性増悪に対するNPPVの効果として当てはまらないものはどれか.1つ選べ.

A:血液ガス所見の改善
B:死亡率の改善
C:気道分泌物の減少
D:入院期間の短縮
E:気管挿管率の低下


問題27

気管支喘息,COPDについて正しいものはどれか.1つ選べ.

A:気管支喘息治療のコントロール状態を示すACTでは,20点未満はコントロール良好である.
B:高齢者喘息患者は基幹病院への通院が困難であり,病診連携は必要ない.
C:肺機能検査(スパイロメトリー)を行わずにCOPDの確定診断は可能である.
D:COPDの重症度判定には,肺機能検査だけで十分である.
E:COPDはステージII,IIIでも増悪をきたすことが多く,増悪時のベッド確保の意味でも地域医療連携が重要である.


(解答は本誌掲載)