HOME雑 誌medicinaバックナンバー一覧48巻10号(2011年10月号) 今月の主題「理解のための27題」
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今月の主題

「理解のための27題」


問題1

大球性貧血で疑われるものとして誤っているのは次のうちどれか.1つ選べ.

A:ビタミンB12欠乏
B:葉酸欠乏
C:溶血性貧血
D:慢性アルコール中毒
E:慢性疾患に伴う貧血


問題2

真性赤血球増加症に合致しない所見はどれか.1つ選べ.

A:血清エリスロポエチン高値
B:白血球増加
C:血小板増加
D:脾腫
E:JAK2遺伝子の変異


問題3

次の中からPTは正常でAPTTが延長する疾患を2つ選べ.

A:von Willebrand病
B:血友病A
C:血液凝固第VII因子欠乏症
D:血液凝固第X因子欠乏症
E:血小板無力症


問題4

血栓性素因について誤りはどれか.2つ選べ.

A:先天性血栓性素因は,幼少時から血栓症を繰り返す.
B:血栓性素因の検索には,治療前の血液検体が必要である.
C:血栓性素因は,血栓症発症時の凝固能検査(PT, APTT)で予想される.
D:抗リン脂質抗体症候群は,動脈にも静脈にも血栓症をきたしうる.
E:アンチトロンビン(AT)欠乏症やプロテインC欠乏症は,わが国の代表的な先天性血栓性素因である.


問題5

反応性血小板増多症でみられない所見はどれか.2つ選べ.

A:脾腫
B:CRP陽性
C:高カリウム血症
D:血小板機能異常
E:血清フェリチン値低下


問題6

白血球減少をきたす疾患に関して,間違っているのはどれか.1つ選べ.

A:チアマゾール(メルカゾール®)使用中に高熱と咽頭痛をきたしたため,白血球数と白血球分画を検査した.
B:Felty症候群における好中球減少には大顆粒リンパ球増多症が関与している.
C:好中球絶対数200/μlで発熱がみられたので,経口抗菌薬を処方した.
D:ウイルス感染後の軽度の好中球単独の減少は経過観察とした.
E:慢性好中球減少症の一部には抗好中球抗体が関与している.


問題7

好酸球増多症候群/慢性好酸球性白血病(Hypereosinophilic syndrome/chronic eosinophilic leukemia:HES/CEL)について正しいものはどれか.1つ選べ.

A:好酸球数が5,000/μl以上のものを指す.
B:アレルギー性疾患の有無は問わない.
C:最もよく知られた分子異常はFIP1L1-PDGFRA融合遺伝子である.
D:チロシンキナーゼインヒビターのダサチニブが保険適応となった.
E:末梢血を用いたnested-RT-PCR法では偽陰性に注意が必要である.


問題8

多クローン性高γグロブリン血症をきたす疾患はどれか.

A:多発性骨髄腫
B:原発性マクログロブリン血症
C:MGUS
D:Sjögren症候群
E:Crow-Fukase症候群


問題9

19歳の女性.発熱,咽頭痛,頸部リンパ節の腫大を主訴に来院した.
身体所見:咽頭発赤がみられ,1.5~2 cm大のリンパ節を頸部,鼠径部に複数触知する.
血液・血清生化学所見:WBC 10,200/μl, Hb 11.2 g/dl, Plt 13.5万/μl.AST 122 IU/l, ALT 221 IU/l, LDH 353 IU/l.
この患者の診断のためにまず行うべき検査は次のうちどれか.

A:白血球分画
B:造影胸部CT
C:リンパ節生検
D:リンパ節吸引細胞診
E:可溶性IL2レセプター


問題10

56歳の男性.4週間以上前から38℃以上の発熱,易疲労感があり受診.肝脾腫を認めた.既往歴,薬歴に特記事項なし.胸部・皮膚に異常なく,体表リンパ節腫脹なし.血液・生化学所見:白血球2,500/μl(異常細胞なし),ヘモグロビン10 g/dl,血小板12万/μl,AST 40 IU/l,ALT 60 IU/l,LDH 320 IU/l,抗核抗体陰性,補体価正常.その他,血液培養陰性.CT画像上,リンパ節腫脹なく肝脾腫のみであった.外来精査中,汎血球減少は増悪した.
診断のために最初にすべき検査はどれか.1つ選べ.

A:肝生検
B:PET-CT
C:骨髄穿刺
D:上部消化管内視鏡検査
E:ガリウムシンチグラフィ


問題11

症候性多発性骨髄腫の診断時に,骨髄腫の臓器障害と考えて正しい障害はどれか.2つ選べ.

A:白血球減少
B:貧血
C:血小板減少
D:腎障害
E:リンパ節腫脹


問題12

慢性疾患に伴う貧血について,正しいものを1つ選べ.

A:血清鉄が増加する.
B:総鉄結合能が増加する.
C:血清フェリチンが低下する.
D:リンパ球からTNF-α が分泌される.
E:肝臓からヘプシジンが分泌される.


問題13

妊娠中にしばしばみられる血液所見の変化はどれか.次のうち2つ選べ.

A:貧血
B:白血球減少
C:血小板減少
D:凝固能低下
E:線溶系亢進


問題14

20歳の大学生.2週間前から持続する乾性咳嗽と微熱を主訴に来院.発症後4日目に近医を受診し,急性上気道炎の診断にてセフェム系抗菌薬の投与を受けたが改善せず,胸部X線とクオンティフェロン検査が実施されたが異常を認めなかったため,精査目的に紹介された.夜中にも発作性の咳がみられ,咳のために目覚めることが続いているとのこと.咳嗽時,胸の奥に響くような胸痛があり,同じ大学の同級生にも同様の症状を訴えている生徒が多いと言う.
身体所見:体温 37.5℃,胸部理学所見に異常なし.
検査所見:WBC 11,800/μl(好中球23%,リンパ球58%,単球15%,好酸球 4%)Hb 14.6 g/dl, Plt 36.5万/μl.
最も考えられる疾患はどれか.1つ選べ.

A:結核
B:インフルエンザ
C:百日咳
D:咳亜型喘息
E:レジオネラ肺炎


問題15

84歳,男性.心筋梗塞で循環器内科通院中,汎血球減少進行し血液内科紹介.WBC 2,100/μl(blast 3%,promyel 2%,myel 2%,metamyel 1%,band 27%,seg 33%,Baso 1%,Eo 2%,Ly 31%),Hb 6.1 g/dl,PLT 1.5万/μl,MCV 108 fl,MCH 36.1 pg,MCHC 33.3%, LDH 820 IU, UA 3.8 mg/dl, CRP 1.5 mg/dl.
この患者への治療としてふさわしくないのはどれか.1つ選べ.

A:多剤併用化学療法
B:ビタミンB12
C:シタラビン少量療法
D:アザシチジン
E:輸血


問題16

多発性骨髄腫において治療導入の可否を決定するのに重要ではない検査項目はどれか.1つ選べ.

A:ヘモグロビン値
B:血清カルシウム値
C:血清免疫グロブリン値
D:血清クレアチニン値
E:脊椎・腸骨MRI検査


問題17

血液疾患において敗血症を発症した場合,劇症血管内溶血を合併する可能性がある原因菌はどれか.1つ選べ.

A:Clostridium perfringens
B:Pseudomonas aeruginosa
C:Streptococcus pneumoniae
D:Mycobacterium avium complex
E:Methicillin-resistant Staphylococcus aureus


問題18

検診で貧血を指摘された44歳,女性.経口鉄剤(100 mg/日)を3カ月間投与したが貧血は改善せず,血清フェリチンも低いままであった.貧血が改善しない原因として考えにくいのはどれか.1つ選べ.

A:過多月経
B:服薬コンプライアンスの不良
C:自己免疫性萎縮性胃炎
D:Helicobacter pylori感染
E:アルコール多飲


問題19

輸血後鉄過剰症治療について誤っているものはどれか.1つ選べ.

A:治療開始基準はフェリチン1,000 ng/ml以上である.
B:治療開始基準は赤血球輸血40単位以上である.
C:第1選択薬は非経口鉄キレート剤である.
D:治療により血液学的改善が期待できる.
E:治療により予後改善が期待できる.


問題20

25歳の男性.血友病A重症型(第VIII因子活性<1%)で通院中である.週3回第VIII因子製剤の定期補充療法を行っているが,これまでに比べて関節出血の頻度が多くなった.まず行うことを2つ選べ.

A:関節評価を行う.
B:第VIII因子製剤の投与量を増量する.
C:他の第VIII因子製剤に変更する.
D:連日の定期補充療法に変更する.
E:インヒビターの有無を検査する.


問題21

45歳の女性.1年前人間ドックで血小板減少を指摘され,特発性血小板減少性紫斑病と診断された.夫の転勤にともない転居したため,紹介状を持参し受診した.現在,出血症状は自覚していない.家庭の主婦で,既往歴は特記すべきことはない.身体所見に異常を認めない.
血液所見:WBC 4,600/μl,ヘモグロビン12.0 g/dl, Plt 5万/μl.
適切な治療はどれか.1つ選べ.

A:プレドニゾロン
B:デキサメサゾン
C:摘脾
D:ガンマグロブリン製剤
E:経過観察


問題22

フィラデルフィア染色体がみられる疾患を1つ選べ.

A:急性骨髄性白血病
B:慢性骨髄性白血病
C:成人T細胞性白血病
D:真性多血症
E:再生不良性貧血


問題23

62歳の男性.健康診断の血液検査で異常を指摘され来院した.自覚症状はない.血圧130/70 mmHg,脈拍62/分.血液検査:赤血球430万/μl,Hb 14.0 g/dl,Ht 41%,白血球5,600/μl(桿状核好中球4%,分葉核好中球65%,好酸球2%,好塩基球1%,単球8%,リンパ球20%),血小板18.8万/μl.血液生化学:総蛋白10.2 g/dl,アルブミン4.0 g/dl,BUN 18 mg/dl,クレアチニン0.9 mg/dl,Ca 9.8 mg/dl,総ビリルビン1.0 mg/dl,AST 30 IU/l,ALT 32 IU/l,LDH 250 IU/l,ALP 285 IU/l.蛋白分画でM-peakがみられる.骨髄中に形質細胞を30%認める.全身骨単純X線写真で異常はみられない.適切な治療法はどれか.

A:メルファラン+プレドニゾロン療法
B:自己造血幹細胞移植
C:サリドマイド療法
D:ボルテゾミブ療法
E:経過観察


問題24

好中球減少患者への化学療法について正しいものはどれか.1つ選べ.

A:好中球が減少する可能性のあるすべての化学療法で顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の投与を行うべきである.
B:好中球が500/μl 以下に低下しても発熱がなければG-CSFのルーチンの投与は推奨されない.
C:発熱性好中球減少症(FN)では,起因菌が80%の確率で同定される.
D:FNを発症した症例は全例入院させたうえで,点滴抗菌薬治療を行う.
E:FN発症例では,最初から積極的にグリコペプチド系抗菌薬を併用する.


問題25

血液悪性腫瘍の化学療法後5年以上完全寛解/奏効を得ている患者のフォローアップにおいて,正しいのはどれか.2つ選べ.

A:急性白血病患者における定期的な骨髄検査
B:DLBCLあるいはHodgkinリンパ腫患者における定期的な採血検査の実施
C:DLBCLあるいはHodgkinリンパ腫患者における定期的なCT検査の実施
D:アントラサイクリン投与歴のある患者における心不全症状の問診
E:がん検診受診の推奨


問題26

血栓症発症リスクが高く,「高リスク」と考えられない病態はどれか.1つ選べ.

A:心臓弁膜症を伴う心房細動
B:僧帽部位の機械弁
C:その他の機械弁であって血栓塞栓症イベントの既往
D:大腿静脈血栓症
E:薬剤溶出冠動脈ステント設置後の抗血小板療法


問題27

次の薬剤のうち,NSAIDsと併用したときに起こりうる有害事象はどれか.2つ選べ.

A:レボフロキサシン―痙攣
B:ワーファリン―プロトロンビン時間短縮
C:トルブタミド―高血糖
D:メトトレキサート―骨髄抑制
E:ボリコナゾール―視覚異常


(解答は本誌掲載)